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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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32.長州がおかしいんじゃない——時代が動き始めとるんかもしれん


【幕府側使者視点】


 長州を発ったのは、


 夕刻だった。


 空は薄曇り。


 風は穏やか。


 なのに。


 胸の中だけが妙に落ち着かない。



(……何なんだ、あれは)


 馬を進めながら、


 何度も考える。


 高杉晋作。


 大村益次郎。


 そして、


 あの若い男。


 山縣。



 誰が偉いのか、


 最後までよく分からなかった。


 いや。


 偉い者はいる。


 高杉は間違いなく中心だ。


 だが。


 高杉が命じているようにも見えなかった。



 飯一つ取ってもそうだ。


 誰かが命じたわけではない。


 なのに。


 人が動く。



 報せもそうだ。


 確認。


 整理。


 共有。


 勝手に流れる。



(気味が悪い)


 本当にそう思った。



 江戸なら違う。


 上役が命じる。


 下が従う。


 だから分かりやすい。


 止めるのも簡単だ。


 上を押さえればいい。



 だが。


 長州は違った。



(高杉を斬れば終わるのか)


 そう考えた瞬間、


 自分で首を振った。



 終わらない。



 あの百姓。


 伊助と言ったか。


 あれも動く。


 町人も動く。


 武士も動く。



 高杉が消えても、


 別の誰かが動く気がした。



(あれは危険だ)


 使者は小さく息を吐いた。



 危険。


 だが。



(羨ましい)



 思わず、


 苦笑が漏れる。



 江戸では、


 誰も勝手に動かない。


 動けない。



 上を見て。


 隣を見て。


 前例を見て。


 そして。


 何もしない。



 そんな光景を、


 何度見てきたことか。



(だが長州は)



 間違える。


 揉める。


 混乱する。


 だが。


 止まらない。



 そこが違った。



 馬の蹄の音だけが続く。



 そのとき。


 同行の者が声をかけた。


「どうでしたか」



 使者は少し考えた。



 長州は危険だ。


 そう報告するのは簡単だ。



 だが。


 それだけでは、


 何か大事なものが抜け落ちる気がした。



「長州は」


 一拍。



「変わりました」



 同行の者が眉をひそめる。



「良くですか」


「悪くですか」



 使者は、


 しばらく答えられなかった。



 良い。


 悪い。



 そんな話ではない。



 もっと大きな何か。



 そして。


 ふと、


 あの山縣の机を思い出した。



 紙。


 報せ。


 人。


 流れ。



 武士も百姓も、


 同じように出入りしていた場所。



(あれは)



 長州の机じゃない。



 未来の机だ。



 そんな気がした。



「分かりません」


 使者は静かに言った。



「ですが」


 一拍。



「何かが始まっています」



 風が吹いた。



 遠く西の空。



 そこには、


 新しく動き始めた長州があった。

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