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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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27.報せ、多すぎても人って止まるんじゃね


 昼前には、


 机の上が紙だらけになっとった。


 西門。

 東門。

 火薬。

 兵糧。

 見張り。

 俗論派。


 次々、増える。


 しかも。


(……字、読みにく)


 急いで書いた報せは、


 殴り書きみたいになっとる。


 誰が書いたかも、


 分からんものまである。



「山縣さん!」


 また声。


「西門、兵増えてます!」


「さっきも聞いた!」


「いや、今度は二十です!」


「えっ、さっき十五じゃなかった!?」


「いや三十って聞きました!」


(……どれ)


 山縣の頭が、


 一瞬止まりかける。



 しかも。


「火薬届きました!」


「いや、届いてません!」


「どっち!?」


「えっ……たぶん届いて……」


(たぶん!?)


 思わず、


 心の中で叫ぶ。


(“たぶん”で戦するな!)



 周囲も、


 少しずつ苛立ち始めとった。


「誰の報せじゃ!」


「さっきと違うぞ!」


「だから確認中じゃ!」


 声が大きくなる。


 空気が荒れる。


(……っ)


 山縣の背中に、


 嫌な感覚が走る。


(これ)


(回ってるんじゃない)


(流されてる)



 その瞬間。


 ふっと、


 昔の光景が浮かぶ。


(……あ)


 修学旅行の班LINE。


 集合時間。


 変更。


 また変更。


 誰かの聞き間違い。


 スクショ。


 別の先生情報。


 最終的に、


「で、どれが本当!?」


ってなったやつ。


(……あれだ)


 情報が増えすぎると、


 逆に止まる。


(同じだ)



「止めてください!」


 気づけば、


 山縣は叫んどった。


 場が、一瞬止まる。


「全部、持ってこんでください!」


 全員が、


 ぽかんとする。


(……言った)


 でも、


 止まらん。


「確認した情報だけ!」


「あと!」


 一拍。


「誰から聞いたか、書いて!」


 沈黙。


 でも。


 みんな、聞いとる。



「山縣さん」


 伊助が、小さく聞く。


「確認って、どうやって」


(……そこだよね)


 山縣は、


 一瞬だけ考える。


(全部は無理)


(じゃあ)


(絞る)



「見る場所、決めます」


 一拍。


「西門は、西門の担当だけ」


「火薬は、火薬担当だけ」


「他の人は、混ぜないで」


 周囲が、


 少しずつ静かになる。



(……あ)


 山縣は、


 そこで気づく。


(これ)


(クラスの連絡係だ)


 誰でも連絡すると、


 ぐちゃぐちゃになる。


 だから。


 連絡係を決める。


(同じか)



「つまり」


 伊助が、ぽつりと言う。


「誰が言っていいか、決めるんですね」


「そう!」


 山縣は、


 思わず食い気味になる。


「全部が全部、同じ重さじゃない」


 一拍。


「情報にも、役割があります」


 言ってから。


(……情報に役割)


 自分で少し驚く。


(そんなこと考えるようになったんだ)



 そのとき。


「ほう」


 後ろから声。


 大村益次郎。


「情報の階を作るか」


(……階?)


「誰でも声を上げられる」


 一拍。


「だが、誰の声を通すかは別」


 静かに続ける。


「それが、組織じゃ」


 山縣は、


 少しだけ息を飲む。


(……また一段上だ)



 そのとき。


「おーい!」


 また、でかい声。


 ――高杉晋作。


「飯、まだ来んのかー!」


(……この人)


 周囲が、


 一瞬だけ止まる。


 でも。


 今度は違った。


「台所担当!」


「高杉殿の飯、優先!」


「誰か持ってって!」


 勝手に流れが動く。



(……っ)


 山縣は、


 そこで気づく。


(流れって)


(自分で回り始めるんだ)


 全部を命令せんでも。


 形があると。


 人は、


 勝手に動き始める。



 山縣は、


 机の上の紙を見下ろした。


 まだ多い。


 まだ混乱しとる。


 でも。


(昨日より、見える)


 少しずつ。


 本当に少しずつ。


 長州が、


 “国”みたいになり始めとった。

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