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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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24.壊れるんは、悪いことばっかじゃないんじゃな


 藩庁の空気は、


 もう限界じゃった。


 声。


 怒鳴り声。


 足音。


 槍の音。


 障子の開く音。


 全部が混ざっとる。


 でも。


(……崩れてる)


 山縣には、分かった。


 さっきまでとは違う。


 これは。


(止まってるんじゃない)


(壊れてる)


⸻


「高杉を止めろ!」


「門を閉めろ!」


「俗論派はどうした!」


「もう抑えきれん!」


 声が飛ぶ。


 でも。


 もう、誰も全部を聞いとらん。


(……分裂してる)


 指示が、


 組織の形を保てなくなっとる。


⸻


 そのとき。


 ――がん!


 大きな音。


 誰かが、机を蹴倒した。


 場が、一瞬で張る。


(……っ)


 刀に手がかかる。


 空気が変わる。


(やば)


 山縣の背中が、一気に冷える。


(ここで抜いたら)


(終わる)


⸻


「もうよい!」


 怒鳴り声。


 年配の武士じゃ。


 顔が真っ赤になっとる。


「高杉!」


 一歩、前へ。


「お前のような者が!」


 刀に手をかける。


(……っ)


 周りも動く。


 奇兵隊側も、


 反射で構える。


 空気が、


 一気に“斬る側”へ傾く。


⸻


(ダメだ)


 山縣は、反射で思う。


(ここで始まったら)


(“同じ長州”が終わる)


⸻


 その瞬間。


 高杉が、


 ふっと前へ出た。


 止める間もない。


(え)


 しかも。


(刀、抜いてない)


⸻


「斬りたきゃ、斬れ」


 静かに言う。


 場が、止まる。


「じゃが」


 一歩、前へ。


「そのあと、誰が長州守るんじゃ」


 重い。


 めちゃくちゃ重い。


⸻


「……っ」


 年配武士の顔が、揺れる。


 怒り。


 悔しさ。


 恐怖。


 全部、混ざっとる。


⸻


「お前らは」


 高杉が、静かに続ける。


「長州を守りたかったんじゃろ」


 一拍。


「わしもじゃ」


 空気が、変わる。


 怒鳴り声が、消える。


⸻


(……あ)


 山縣は、


 そこで初めて気づく。


(敵じゃないんだ)


 俗論派も。


 藩士たちも。


 みんな。


(守りたかったんだ)


 方法が違っただけで。


⸻


 そのとき。


 年配武士の手が、


 ゆっくり刀から離れた。


 完全な沈黙。


 そして。


「……もう」


 一拍。


「止められんのか」


 小さい声。


 さっきまでの怒声とは、


 全然違う。


⸻


「止まらんのう」


 高杉が、


 少しだけ笑う。


 でも。


 今までで、一番静かな顔。


⸻


 その瞬間。


 周囲の空気が、


 ふっと抜けた。


 張っていた糸が、


 切れたみたいに。


 刀を下ろす者。


 座り込む者。


 壁に寄りかかる者。


(……終わった)


 山縣は、


 ゆっくり息を吐いた。


⸻


 でも。


 その直後。


(……違う)


 終わったんじゃない。


 これは。


(壊れたんだ)


 今までの長州が。


⸻


 そのとき。


「山縣」


 後ろから声。


 大村益次郎。


「見えたか」


 一拍。


「組織が、壊れる瞬間じゃ」


 静かに言う。


 山縣は、


 少しだけ黙る。


 怖かった。


 本当に。


 でも。


(……必要だったのか)


 止まったままじゃ、


 変われん。


 回らん。


⸻


「壊れたあと」


 大村が、ぽつりと言う。


「何を作るか」


 一拍。


「そこからが、本当の仕事じゃ」


 短い。


 でも。


 今までで、一番重かった。


⸻


 山縣は、


 崩れた空気を見渡した。


 刀を下ろした武士。


 息を吐く百姓。


 座り込む足軽。


 そして。


 真ん中で、


 笑っとる高杉。


(……ほんと)


(この人)


 壊しに来たんじゃ。


 でも。


(作り直すために)


 山縣は、


 ゆっくり息を吐いた。


 夜明けの光が、


 少しずつ、


 長州を照らし始めとった。

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