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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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22.教科書の中って、もっと遠い場所だと思っとった


 道は、


 もう完全に開いとった。


 誰も、止めん。


 藩兵たちは、


 槍を下ろしたまま、


 ただ、こっちを見とる。


(……通った)


 山縣は、


 まだ少し信じられんかった。


(ほんとに)


(撃たなかった)


 足が、


 少しだけ震えとる。


 今さら。


 本当に今さら。


(……怖)


 声を出した瞬間より、


 通ったあとに来る。


(これ)


(あとから来るタイプのやつだ)



「山縣」


 声。


 ――高杉晋作。


「何人じゃ」


(……また?)


 でも。


 今は、ちょっと分かる。


 この人は、


 人数を聞いとるんじゃない。


(“崩れてないか”見てるんだ)


 山縣は、


 後ろを見た。


 武士。


 足軽。


 町人。


 百姓。


 伊助もおる。


 誰も、欠けてない。


「……八十二」


 一拍。


「全員、います」


 高杉が、


 ふっと笑った。


「そうか」


 それだけ。


 でも。


 少しだけ、


 嬉しそうじゃった。



 そのまま、


 列は進む。


 そして。


 山を抜けた先。


 夜明け前の空の下に、


 長州の中心が見えた。


(……あ)


 山縣の足が、


 ほんの少し止まりかける。


(ここ)


(知ってる)


 いや。


 知っとるわけじゃない。


 来たことなんかない。


 でも。


(教科書で見た)


 幕末。


 長州。


 高杉晋作。


 功山寺挙兵。


 そして――


(ここから、変わる)


 頭の中で、


 歴史の線が繋がる。


(……っ)


 急に、


 息が苦しくなる。


(待って)


(わたし)


(今、そこにいるの?)



 そのとき。


「止まるな」


 低い声。


 振り向く。


 大村益次郎。


 相変わらず、


 表情が読めん。


「歴史を見に来たんじゃない」


 一拍。


「作りに来たんじゃ」


 短い。


 でも。


 山縣の背中に、


 まっすぐ刺さる。


(……っ)


 言葉が、出ん。



 そのとき。


 前方が、


 急に騒がしくなった。


 人影。


 声。


 足音。


(……何?)


 空気が、一気に張る。


 武士たちの手が、


 また刀へ向かう。



「高杉だ!」


 誰かが叫ぶ。


「高杉が来たぞ!」


 ざわ、と空気が揺れる。


(……っ)


 その瞬間。


 建物の奥。


 灯りが、一気に増えた。


 人が走る。


 声が飛ぶ。


 誰かが転ぶ。


 怒鳴り声。


(……混乱してる)


 山縣は、すぐに分かった。


(もう)


(向こうも止まってない)



「おもろいのう」


 横から声。


 高杉が、


 めちゃくちゃ楽しそうに笑っとる。


(……この人)


「やっと、起きたか」


 一歩、前へ。


 その顔を見た瞬間。


 周囲の空気が、


 また変わる。


(……あ)


 山縣は、


 そこで初めて理解する。


(この人)


(戻ってきた人なんだ)


 逃げた人じゃない。


 落ちた人じゃない。


(戻ってきた人)


 だから、


 空気が動く。


 人が揺れる。



 そのとき。


 伊助が、小さく言った。


「……山縣さん」


「なんじゃ」


「これ」


 一拍。


「ほんとに、変わるんですかね」


 山縣は、


 少しだけ黙った。


 変わる。


 たぶん。


 いや。


(もう変わってる)


 百姓が武士を止めた。


 武士が百姓に従った。


 撃たずに道が開いた。


(……もう)


(前と同じじゃない)


 山縣は、


 ゆっくり息を吐いた。


「……変えるんじゃろ」


 一拍。


「わしたちで」


 伊助が、


 少しだけ目を見開く。


 そのあと。


 ふっと笑った。



 夜明けが、


 少しずつ近づいとった。


 長州が、


 静かに、


 音を立て始めていた。

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