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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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21.最初の一発、鳴ったら戻れんのよ

仕事が忙しくて、投稿できませんでした。飛んだ分は、まとめて投稿します。


 誰も、動かんかった。


 夜明け前。


 湿った空気。


 細い道。


 向かい合う、二つの列。


 こっちは、奇兵隊。


 向こうは、藩兵。


 でも。


(……同じ長州)


 それが、


 一番、胃に来る。



 山縣の声は、


 まだ空気に残っとった。


「同じ長州じゃろ!」


「取り返しに来たんじゃ!」


 そのあと。


 ぴたり、と止まった。


 風だけ。


 草の揺れる音だけ。


(……頼む)


 山縣は、


 内心で、何回も思う。


(撃つな)


(お願いだから)



 そのとき。


「止まれ!」


 向こうから声。


 年配の武士じゃ。


 槍を構えたまま、


 こっちを睨んどる。


「何を企む、高杉!」


 重い声。


 でも。


(……迷ってる)


 山縣には、分かった。


 完全に“敵”の顔じゃない。


 だから。


(まだ、いける)



「企む?」


 横から、声。


 ――高杉晋作。


 いつもの調子。


 でも。


 今日は少しだけ、静かじゃ。


「違うのう」


 一歩、前へ。


「戻しに来たんじゃ」


 槍の先が、


 少しだけ揺れる。


(……動いた)


 山縣は、見逃さんかった。



「藩命に逆らう気か!」


 別の声。


 若い。


 緊張しとる。


 怖いんじゃろう。


 こっちも。


 向こうも。


(……一緒だ)


 そのとき。


 かちり。


 小さな音。


(……っ)


 山縣の背中が、


 一瞬で冷える。


(火縄)


 向こうの一人が、


 火蓋に手をかけとる。


(やば)


 空気が、一気に変わる。


 周りも、動く。


 こっちの火縄組も、


 反射で構え始める。


(……ダメだ)


(ここで鳴ったら終わる)



 その瞬間。


 山縣の頭に、


 ふっと昔の景色が浮かんだ。


(……あ)


 体育館。


 文化祭準備。


 男子同士の喧嘩。


 誰かが机を蹴った瞬間、


 全員、一気に声が大きくなった。


(最初の一発だ)


 一回始まると、


 止まらん。


(……同じ)


 戦場も。



 山縣は、


 気づけば前へ出とった。


「撃つなぁ!!」


 声が、裂ける。


 全員が、一瞬止まる。


 山縣は、そのまま叫ぶ。


「ここで撃ったら!」


 一拍。


「もう、“同じ長州”に戻れん!!」


 空気が、止まる。


 完全に。



 火縄を持った若い藩兵の顔が、


 揺れる。


 怖い。


 迷い。


 怒り。


 全部、見える。


(……頼む)


 山縣は、


 まっすぐ、その顔を見る。


「お前も!」


 一拍。


「長州、守りたいんじゃろ!!」


 静寂。


 風。


 呼吸。


 そして――


 かち。


 火蓋が、


 閉じた。



(……っ!!)


 山縣の喉が、小さく動く。


(止まった)


 本当に。



 その瞬間。


「……通せ」


 低い声。


 最初の年配武士じゃ。


 槍を、下ろしとる。


「ですが!」


 若い藩兵が振り向く。


「責任は、わしが持つ」


 短く。


 でも。


 揺れん。


 そして。


 道の中央が、


 静かに開いた。



(……開いた)


 山縣は、


 しばらく動けんかった。


(……ほんとに)


(開いた)



 そのとき。


「おもろいのう」


 横から声。


 高杉じゃ。


 めちゃくちゃ楽しそうな顔。


(……この人)


「撃たんで、通したか」


 一拍。


「やりよる」


 山縣は、


 その場で、


 へなへなと力が抜けそうになる。


(……無理)


(今の、寿命縮んだ)



 そのとき。


「戦わずに通したか」


 後ろから声。


 大村益次郎。


「それが、一番強い」


 短い。


 でも。


 今までで、一番、


 静かに刺さった。



 山縣は、


 ゆっくり息を吐いた。


 目の前。


 開いた道。


 その先。


 長州の中心。


(……進める)


 もう、


 戻れん。


 でも。


(まだ、長州だ)


 山縣は、


 そう思った。

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