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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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19.三十七で始めるんか――いや、始めたから集まるんか


 雨は、


 少しだけ弱くなっとった。


 でも。


 冷たさは、変わらん。


 足も。


 袖も。


 草鞋の中まで、


 とっくに濡れとる。


(……気持ち悪)


 山縣は、そんなことを思いながら、


 前を見とった。



 木々の向こう。


 ぼんやり揺れる灯。


 そして。


 黒い影。


(……着いた)


 ――功山寺。


 ついに。


 ここまで来た。



 でも。


 誰も、動かん。


 門の前。


 三十七人。


 雨。


 静寂。


 そして――


(……少な)


 今さら、


 めちゃくちゃ少なく見える。


(これ)


(文化祭なら、クラス一個分だよね)


(いや)


(比べるな)


 すぐ、自分でツッコむ。


(こっちはクーデター)



「山縣」


 声。


 ――高杉晋作。


「はい」


「何人じゃ」


(……また?)


「三十七です」


 一拍。


「変わってません」


 高杉が、にやりと笑う。


「そうか」


 それだけ。


(……だから)


(なんで落ち着いてんの)



 そのとき。


 伊助が、小さく言う。


「……来ませんかね」


 一瞬。


 全員が、黙る。


(……言うよね)


 山縣も、


 同じこと考えとった。


 功山寺で合流する。


 そう聞いとる。


 でも。


(誰も、おらん)


 灯りはある。


 でも。


 人の気配が、ない。


(……もし)


(誰も来なかったら)


 胃が、


 また、きゅっとなる。



 そのとき。


 高杉が、


 ふっと前へ出た。


「来るじゃろ」


 さらっと言う。


「……根拠は?」


 気づけば、山縣が聞いとった。


(いや)


(聞くよね)


 一拍。


 高杉は、少しだけ振り向いて。


 にやり、と笑った。


「わしが来た」


 それだけ。


(……は?)


 一瞬、


 本気で意味が分からん。


 でも。


 次の瞬間。


(……っ)


 ちょっとだけ、


 笑いそうになる。


(なんだそれ)


(めちゃくちゃなのに)


(妙に、納得する)



「人はのう」


 後ろから声。


 大村益次郎。


 相変わらず、気配がない。


「勝ちそうな方ではなく」


 一拍。


「始めた方に集まる」


 短い。


 でも。


 妙に、重い。


(……始めた方)


 山縣の中で、


 その言葉が残る。


(待つんじゃなくて)


(始めるのか)



 そのとき。


 ――ぎぃ。


 小さな音。


 全員の顔が、上がる。


(……っ)


 功山寺の門が、


 ほんの少しだけ、開いた。



 誰も、喋らん。


 雨音だけ。


 息だけ。


 鼓動だけ。



 門の隙間。


 暗闇の中から、


 一人。


 また一人。


 影が、現れる。


(……え)


 一人。


 二人。


 三人。


 五人。


 十人。


(……っ)


 山縣の喉が、小さく動く。


(来た)


 しかも。


(増えてる)



「高杉殿!」


 低い声。


 武士じゃ。


 しかも。


 装いで分かる。


(……上の人たちだ)



「待っておりました」


 一拍。


「我らも、共に」


 その瞬間。


 後ろで、


 誰かが、小さく息を呑んだ。


 伊助じゃ。


 武士も。


 町人も。


 百姓も。


 みんな、


 少しだけ、背筋が伸びた。


(……来た)


 本当に。



 高杉が、


 ふっと笑う。


「ほう」


 一歩、前へ。


「遅いのう」


 いつもの調子。


(……いや)


(この人、ほんと)


 でも。


 次の瞬間。


 門の向こうから、


 また、影。


 また、影。


 また――


(……増える)


 三十七じゃない。


 もう。


(……止まらん)



 山縣は、


 ゆっくり息を吐いた。


(……そうか)


 集めたんじゃない。


(始めたから、集まったんだ)


 そのとき。


 高杉が、


 ちらっと振り向いた。


「どうじゃ」


 一拍。


「回りそうか?」


 山縣は、


 少しだけ笑った。


 今までで、


 一番自然に。


「……もう」


 一拍。


「止まらん気がします」


 高杉が、


 にやりと笑った。


「じゃろうな」



 そして。


 長州は、


 静かに、


 動き始めた。

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