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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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18.誰も来んかったら――それでも、行くんじゃろ?

 雨じゃった。


 最悪じゃ――と、


 普通なら思う。


 でも。


(……隠れるには、悪くない)


 山縣は、そんなことを考えとった。


(いや)


(感覚、おかしくなってきたな)


 ちょっとだけ、自分で怖くなる。



 山道は、ぬかるんどる。


 足を取られる。


 草は濡れ、


 袖も、裾も、


 とっくに重い。


 でも。


 誰も、文句は言わん。


(……静かだ)


 静かすぎる。


 雨音だけ。


 足音だけ。


 息遣いだけ。


(……何人)


 山縣は、歩きながら数える。


 前。


 横。


 後ろ。


(……三十七)


 出る前は、四十三。


(六人、来てない)


 思ったより、少ない。


 いや。


(むしろ、よく来たな)


 そんな気もする。



「山縣」


 前から声。


 ――高杉晋作。


 雨の中でも、


 あの人だけ、妙に楽しそうじゃ。


(……なんなん、この人)


「はい」


「何人じゃ」


(やっぱ聞くよね)


「三十七です」


 一拍。


「六人、来てません」


 高杉は、少しだけ空を見る。


 雨。


 真っ黒な空。


 そして。


「そうか」


 それだけ。


(……え)


(怒らないの?)


(焦らないの?)


 一瞬、拍子抜けする。



「ええんですか」


 気づけば、口に出とった。


 高杉が、ちらっと振り向く。


「何がじゃ」


「……減ってます」


 一拍。


「来るって言ってた人も」


「来てません」


 雨が、ぱたぱた落ちる。


 高杉は、少しだけ笑った。


「当然じゃろ」


(……え)


「怖いんじゃ」


 さらっと言う。


「わしも、お前も」


 一拍。


「来んやつも、同じじゃ」


 静かじゃ。


 でも。


 妙に、すとんと落ちる。


(……あ)


(責めないんだ)


 来なかった者を。


(この人)


(そういうとこ、あるんだな)



 そのとき。


「三十七で足りる」


 後ろから声。


 大村益次郎。


(……また気配ない)


「多すぎても、潰れる」


 一拍。


「今は、十分じゃ」


 短い。


 でも。


 揺れん。


(……あ)


 山縣は、そこで気づく。


(選んだんじゃなくて)


(残ったんだ)


 覚悟した者だけが。


(……それでいいのか)


 いや。


(それがいいのか)



 そのとき。


 前を歩いとった伊助が、


 ふっと立ち止まった。


「……どうした」


 山縣が聞く。


 伊助は、前を見たまま。


「……灯りです」


 一拍。


 全員が、止まる。


(……っ)


 山縣の喉が、小さく動く。


 木々の向こう。


 遠く。


 ほんの、小さく。


 揺れとる。


(……功山寺)


 ついに、来た。



 誰も、喋らん。


 雨音だけ。


 息だけ。


 鼓動だけ。


(……怖)


 今さら、


 また、胃が痛くなる。


(ここから)


(ほんとに始まる)



 そのとき。


 高杉が、くるっと振り向いた。


 雨で、髪も顔も濡れとる。


 でも。


 笑っとる。


 いつもの、あの顔。


「誰も来んでも」


 一拍。


「わしは、行く」


 静かに言う。


 でも。


 全員に届く。


「三十でも」


「十でも」


「一人でも」


 一歩、前へ。


「長州、取り返すんじゃろ」


 その瞬間。


 雨の冷たさが、


 少しだけ消えた気がした。


(……っ)


 山縣の背中に、


 何かが走る。


(……ずるいなあ)


(そういうの)


(断れなくなるじゃん)


 でも。


 口元が、少しだけ緩む。



「……人数」


 山縣は、ゆっくり言った。


「三十七」


 一拍。


 高杉が、にやりと笑う。


「十分じゃな」


 山縣も、


 小さく頷いた。


(……うん)


(回る)


 今度は、


 本当に。



 そして。


 三十七の足音が、


 雨の中、


 静かに動き始めた。

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