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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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15.守るために作ったんじゃない――取り返すためじゃ


 その夜は、妙に静かじゃった。


 風もない。


 虫の声すら、遠い。


 焚き火だけが、ぱちぱちと鳴っとる。


(……静かすぎる)


 山縣は、小さく息を吐いた。


 昼の言葉が、まだ残っとる。


「藩が、お前たちを選ぶか」


「潰すか」


(……潰す、か)


 軽く言ったわけじゃない。


 あの役人は、本気じゃった。


(つまり)


(次は、こっちが選ばれる番)


 視線を、火に落とす。


(……なんか)


(文化祭の最終日前みたい)


 全部が回り始めて、


 でも。


 何かが起こる前の、あの感じ。


(いや)


(こっちは死ぬんだった)


 すぐに、自分でツッコむ。



「何、難しい顔しとるんじゃ」


 横から声。


 ――高杉晋作。


 酒くさい。


(……飲んでる)


「してません」


「しとる」


 にやにや笑っとる。


(……この人)


 でも。


 今日は、少し違う。


 笑っとるのに、


 目が、あんまり笑っとらん。


(……あ)


(決めてる顔だ)


 山縣は、少しだけ背筋を伸ばした。


「……最初から」


 一拍。


「こうするつもりだったんですか」


 高杉が、酒を一口飲む。


「何がじゃ」


(絶対、分かってるよね)


「奇兵隊です」


 まっすぐ言う。


「百姓を入れて」


「武士を動かして」


「藩の命令じゃなくて」


 一拍。


「責任で回して」


 焚き火が、ぱち、と鳴る。


「……全部」


 少しだけ、間。


「ここに来るためだったんですか」


 沈黙。


 長い。


 高杉は、すぐには答えんかった。


(……あれ)


(珍しい)


 そのあと。


「守るためじゃない」


 ぽつり、と言う。


 山縣は、顔を上げる。


「……え」


「奇兵隊は」


 一拍。


「守るために作ったんじゃない」


 高杉が、火を見る。


 今までで、一番静かな顔。


「取り返すためじゃ」


 短く。


 でも。


 その一言で、空気が変わった。


(……取り返す)


 何を。


 答えは、すぐ分かった。


(藩か)


 長州。


 上。


 決められんやつら。


 現場を見んやつら。


(……この人)


(最初から)


 山縣の背中に、何かが走る。


(戦のためじゃなかった)


(政のためだった)


 そのとき。


「ようやく、気づいたか」


 後ろから声。


 大村益次郎。


(この人、ほんと気配ないな)


「軍とは」


 一拍。


「敵を倒すためにあるのではない」


 静かに続ける。


「政治を動かすためにある」


 短い。


 でも。


 今までで、一番重い。


(……政治)


 山縣は、小さく息を飲む。


 戦じゃない。


 組織でもない。


(その先か)



「怖いか?」


 高杉が、ふっと笑う。


 でも。


 目は、真っすぐじゃ。


(……そりゃ)


 山縣は、少しだけ考えて。


「めちゃくちゃ怖いです」


 正直に言う。


 一拍。


 高杉が、ふっと笑った。


「ええのう」


(またそれ)


「怖いのに」


 一歩、近づく。


(だから近いって)


「逃げんやつが、一番使える」


(使えるって言ったな、今)


 思わず、少しだけ睨む。


 でも。


 逃げたいとは、思わんかった。


 不思議と。


 そのとき。


「三日後じゃ」


 高杉が、さらっと言う。


(……え)


「は?」


「取り返しに行く」


 にやり、と笑う。


「長州をな」


 焚き火が、ぱち、と弾けた。


 山縣は、しばらく何も言えんかった。


(……三日?)


(いやいやいや)


(準備とか)


(根回しとか)


(資料とか)


 一瞬、頭の中に、


 文化祭前日の徹夜準備みたいな景色が浮かぶ。


(……いや)


(こっちはクーデターだ)


 山縣は、ゆっくり息を吐いた。


(……ほんと)


(この人)


 でも。


 口から出たのは、


 もう別の言葉じゃった。


「……回るんですか、それ」


 一拍。


 高杉が、にやりと笑う。


「回すんじゃろ?」


 山縣は、思わず空を見た。


(……出たよ)


 でも。


 口元が、少しだけ緩んだ。


(……やるしかないか)


 そう思った。

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