1.それ、ほんまに回るんかいね?……わしなん?σ (°ロ°)?!!
ちょっと時間が開きましたが、井伊直弼の次を投稿します。
色々、実験していきたいと思ってます。
ドタバタ、コミカルにしたいんですが、ちょっと作りながらなので、どうなるか、まだ見えませんが。
仕事が、忙しく落ち着かないので、途中で、少し止まるかも。
夕刻。
日が沈みきる前の、少しだけ赤い空の下。
集まっとる人間を見て、山縣はひとつ思った。
(……なんこれ)
(いや、統一感なさすぎでしょ)
(文化祭の初日かって)
統一感、ゼロじゃ。
百姓に町人、浪人に武士。
服装も、言葉も、立ち方も、全部バラバラ。
(いや、寄せる気ある?)
同じ集まりとは、とても思えん。
けれど、中心にはひとりおる。
――高杉晋作。
「ええか」
軽い調子で、でも声だけは通る。
「身分なんぞ、もう関係ない」
そう言い切る。
「戦えるやつを集めりゃ、それでええんじゃ」
ざわ、と空気が動いた。
頷く者もおれば、戸惑う者もおる。
でも、誰も止めん。
(いやいやいや)
(いや、わかるけどさ)
(それで回るかは別じゃん)
山縣は、少しだけ視線を逸らした。
(それ、“思想”の話じゃろ)
(問題は、そのあとじゃ)
誰が指揮を取るんか。
命令はどう流れるんか。
責任は誰が持つんか。
(……全部、曖昧じゃ)
このまま動かしたらどうなるかは、だいたい見える。
(崩れる)
誰かが勝手に動いて、
誰かが止まって、
最後は、ぐちゃぐちゃ。
高杉は、そんなこと気にもせん顔で笑う。
「これからはな、強いもんが前に出る時代じゃ」
(それはそう)
(じゃけど、“回る”とは別問題じゃろ)
頭の中で、勝手に整理が始まる。
役割。
配置。
責任。
(最低限、それがないと回らん)
――で。
気づいたら、口が動いとった。
「あの」
何人かが振り向く。
高杉も、面白そうに目を細めた。
山縣は、少しだけ迷ってから言う。
「それ」
一拍。
「それ、ほんまに回るんかいね?」
空気が、止まる。
けれど。
「はっ!」
高杉が笑うた。
「ええこと言うのう、お前!」
楽しそうじゃ。ほんまに。
「回るかどうかじゃないんじゃ」
指をひとつ立てる。
「回すんじゃ」
(出た)
(いや、それができんから困っとるんじゃろ……)
根拠、なし。
でも、不思議と人は動く。
それが、この男の厄介なところじゃ。
高杉は、ぐっと顔を寄せてくる。
――少し近い。
(……近いって)
(距離感どうなっとるん)
「……回らんかったら、そのとき考えりゃええ」
「ほんなら、お前」
にやり、と笑う。
「どうすりゃ回ると思う?」
(あー、これ)
(言わせる流れじゃな)
でも、もう止まらん。
「まず、役割を決めるべきです」
自然と出る。
「戦う者、支える者、まとめる者」
「指揮を一本にせんと、動きがバラけます」
周りが、少し静かになる。
「あと、責任の所在も」
「はっきりさせんと、崩れます」
言い切る。
一瞬の沈黙。
――そして。
「ええのう」
高杉が頷いた。
くるりと振り返る。
「聞いたか!」
声が響く。
「これからは役割を決める!」
「指揮も一本にする!」
「責任もはっきりさせる!」
(おい)
(それ、今わしが言うたやつじゃろ)
でも、もう遅い。
周りは頷き、動き始めとる。
高杉は満足そうに笑った。
「よし」
そして、当然のように言う。
「お前、やれ」
「回せる顔しとる」
間。
……間。
(……え?)
(え、ちょっと待って)
(なんでそうなるの?)
高杉は、もう次の話をしとる。
完全に“決まったこと”として。
周りも、当たり前みたいにこっちを見よる。
(いやいやいやいや)
(今の流れ、そうなる?)
ゆっくり、自分の胸元を指差す。
(……わし?)
誰も否定せん。
その空気に、思わず口から出た。
(……わしなん?)




