魔導植物『セイヴィアーク』
写真の裏に書かれていた場所は、ブレイター地方の中心都市レネーヌ。
そこからさらにバスに乗ること一時間程度で到着する観光地『ブロードセリア』の森の中だ。
本当は昨日情報屋から写真を受け取ってすぐに向かいたかったけど、どうしても交通機関の都合上、翌日となってしまった。
気合いで向かってもよかったが、私の体力では途中で力尽きてしまうのが目に見えていた。
なので我慢して今日の朝一にやってきた訳だが……この間に誰かに奪われていなきゃいいけど。
それにしても、この森。魔女に関する逸話が残されているというが……
もしかして、私が知らないだけで魔女がなにかやらかした場所なのだろうか?
全然聞いたことがないんだよな。観光地、ってのは知ってたけど。
しかし今はそんなことより『セイヴィアーク』だ。
誰かに奪われる前に目的の場所に向かわねば。
写真は万が一誰かに見られてもいけないので、しっかりと私の記憶に刻み込んで、燃やして捨てた。
流石に再生魔法を使えるような奴はいない……と思いたい。
ええと確か……遊歩道から大きく外れた、立入禁止区域を1時間ほど歩いた場所だったな。
記憶を頼りに遊歩道からはずれ、立入禁止区域を歩いていると途中から整備された道もなくなる。
これではせっかくのオシャレ服も台無し……なんてことは私に限って当然ない。
私が身に纏う衣服は私が魔力処理を施した『魔導衣服』だ。
獣道を歩いてもそう簡単には破れないし、泥などの汚れが付着しても水だけで簡単に落とせる。
これが通常衣服なら、到着する頃には服も肌もボロボロ。そして乙女の綺麗な肌が傷ついて、私の心もボロボロとなるだろう。
懸念点は私の体力だけ。道無き道はやはり歩きづらく、私の体力をゴリゴリと削っていく。
だが『セイヴィアーク』に対する執念が私を突き動かす。
そう……思えば500年前。
魔力を大量に保有する『セイヴィアーク』は『勇者強化計画』という理由で、各地の『セイヴィアーク』や、それに似た魔導植物は根こそぎかっさらわれてしまったんだよな。
集めていたのが普通の兵隊なら、私でも片付けてられて簡単に手に入れられたものを、なぜか私が目星をつけた行く先々に現れたのは勇者御一行様。
……手ぇだせるわけないだろ……
結局、私は勇者が『セイヴィアーク』を引っこ抜くのを指をくわえて見ているしかなかった。
あの時の悔しさといったら、それはもう……
そして狩り尽くされた『セイヴィアーク』は『名誉の絶滅種』と認定され、ここ数百年は情報が全く出てこなかった。
しかしついに、そう500年ぶりに私の『セイヴィアーク』との再会だ。
これはもう、こんな道でもスキップしたくなるほどの高揚感。
ウキウキしながら進んで、そろそろ目的の場所だというところで、3人の人影が見えた。
……マジかぁ……やっぱり昨日のうちに無理してでもやってくるべきだったか。
さて。どうしたものか?




