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灰色ノ魔女  作者: マメ電9
第一章 灰色から虹色世界へ
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第十九話 初めての依頼


「旦那〜!ルークの旦那!いやすかー?手紙っすよ〜」


チャイムを鳴らしたのはトトーだった。

私はあのトカゲが苦手だ。

何故か妙に気に入られたみたいで、絡みがウザイ。


「待て、今行く」

私もルークのあとをついて玄関へ向かって扉を開けようとしたのだが、トトーは既に家の中に入っていた。


「チロル〜っ元気にしてやしたか!お??ドラゴンの子供じゃねぇかよー!どしたんだこの子〜可愛い顔してるじゃないっすか〜!」


これだよ、このノリが嫌いなんだ私は!

ってかチロルじゃないし!

シロナだし!!

勝手に家に上がってくるわ、馴れ馴れしく接してくるわ、何なんだこのトカゲー!!


コハクはトトーに触られまくっていて、私と同じように非常に不快な表情をしている。


子は親に似るってこの事か。


だんだんイライラしてきた私の肩に、ポンっと手が置かれた。

後ろを振り返ると、ジェイトとモノンが立っている。


「あれ?トトーじゃん。お勤めご苦労様です」

「え?ジェイト?なんだなんだ!シフト入れてないって思ったら、こんな所に居たんすか〜」


ん?シフト?

あぁ、そっか。

ジェイトの今の仕事は便り飛びだったっけ。だからトトーと知り合いなのか。


「こんな所って失礼だな。それより、俺に渡すものがあるんじゃないのか」


「ああ!そうでやした!えーと‥‥今日は確か‥‥あ、あったあった。この2通っすよ!」


トトーは大きなカバンをガサガサと掻き回して、2通の手紙をルークへ渡した。


よくあんな大量の手紙の中から、特定の手紙を取り出せるなぁ。


ルークは渡された手紙を裏返し、送り主を確認する。

「あぁ、施設からか。でも納品は2週間前に行ったばかりなんだが‥‥トトー何か聞いてるか?」


施設?


「んーおいらには詳しく話さなかったっすけど、なんかよく怪我をする子が来たっぽくて薬がすぐ無くなるみたいな事は言ってやしたかね〜」


「そうか」


2人のやり取りを聞いたジェイトはルークの肩に腕を回した。

「おうおうおう。ルークちゃんお仕事かー?大変だな人気薬師は」


ルークはそれを煙たそうに振り退ける。

「くっつくな、今回俺はサポートに回るつもりだ。だから俺だけの仕事じゃない」


「およ?それってまさか‥‥」


全員の視線が私に集まる。


え?なに?

皆していきなり‥‥



「まさか‥‥私が?」


御明答!と言いたげな表情で微笑む。


「シロナ、お前の初仕事だ」


えええー!やっぱり!!!

でも待って、私はまだ魔法が‥‥あ、使えるようにモノンがしてくれたんだっけ?

でもまだ自信が‥‥うぅ、どうしよう‥‥。


「心配すんなってぇ!このフリーターの俺でさえ1ヶ月で全部マスターしたんだ。シロナだってすぐにルークなんか追い越しちまうぜ」


不安で落ち込む私を慰めてくれてるんだな‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ん‥‥?

今、なんて言った?

1ヶ月でマスター?


「ジェイト、もしかしてここで働いたことあるのか?」


「おうよー。マスターしたらすぐ辞めたけどな〜!」


なんて迷惑な人!!


ルークはため息を零した。

「まぁ、そういう事だ。俺に聞きにくいことがあったらコイツに聞くのもありだからな。そんな心配するな、俺もフォローするから」


そうは言っても〜‥‥。


すると、私の後ろに立っていたモノンが身体を震わせていて、いきなり大声を出した。

「ルーク!!!あのぉ!師匠の願いだと思って聞いて欲しいのですが!いいですか?!」


唐突だったので皆驚き引いている。

「あ、あぁ。いいですけど‥‥」


モノンは私の左手を握ってきた。

「孫の初仕事!僕のが初めてでもいいですか?!」

「ぼ、僕の??モノンって薬使う人なのか?」


「こう見えて長ーく生きてますからね、魔具を3つも装備してるんですが、魔力を制御する脳の器官が弱っていってるんですよ。だから僕はルークの作った薬を飲んでるんですけど‥‥それを君に作って欲しいんです!!」


「ちょっ、ちょっと待って!いきなりそんな‥‥」


なんか、聞くからに難しそうな薬。

断りを入れようとしたが‥‥


「ね!いいですよね!ルーク!」


私の言葉は、重ねられてしまった。

「おい!勝手に決めるな!」


ルーク‥‥頼む!あんたからも断ってくれ!!!


しかし、そんな願いは儚く散った。


「まぁ、先生がそれでいいなら」


ルークのバカァァァァァァ!!!!






モノンは嬉しそうに上機嫌で帰って行った。

トトーは次の手紙を届けるとのこと。

ジェイトは、また明日試作の武器を持って来ると言って帰った。



やる事が一気に増えてしまった。

上手くいくかもわからない不安が溜め息となって出ていく。

コハクもトトーに触られまくったせいでヘトヘトだ。


3人を見送りリビングに戻ると、ルークがトトーから渡されたもう一通の手紙を読んでいた。


それも真剣な表情で。


「誰から?」


その質問でようやく私に気づいた。

かなり集中して読んでいたみたいだ。


「仕事‥‥皆には2件としか言ってなかったが、実は‥‥全部で3件ある」


「3件目?どこに納品するやつなんだ?もしかして、皆に言えないような所?」


「そうだな‥‥魔物であるあいつらには‥‥でもシロナにならいいかと思って」


そんなやばい所にも納品してるのか‥‥?

闇の組織とか??!

一体どこの依頼‥‥。


緊張が走る。

そして、いよいよ、ルークの口が開いた!


「まっ、それは着いてからのお楽しみだ。その仕事は俺がするから、後2つは任せたぞ」


「え?!教えてくれるんじゃないのか!?今の流れで?!」


「だって、その方が面白いだろ?」


「お、面白いとかそんな‥‥勝手なこと言うなーーーーー!!」



そうして、あっという間に日が暮れていった。


明日はまず魔法の練習と、薬の作り方を教わる。

あと、ジェイトが来たら武術も習う予定だからやる事がいっぱいなので、今日は早めにベッドに潜る事にした。


でも沢山眠ったところで、またあの夢を見てしまうから休まった気は全くしない。

毎日毎日毎日‥‥。

もぅ、嫌になる。


今日もほら‥‥また‥‥。


相変わらず父さんの声は聞こえない。

まぁ聞こえなくても分かる。

毎度その言葉を受け入れて、目が覚めるんだ。


見飽きた映像。

血に塗られた土。

這いつくばって倒れている父さん。


そして‥‥最後に‥‥あの言葉。


私は夢の中の父さんの口の動きに合わせ、言葉を放った。





「私のせいだ」

「《テメェのせいじゃねぇ》」





ハッと目が覚め飛び起きる。

空が薄明るくなっている時間だった。


いつもとは違うラスト。

私は驚きを隠せないでいた。


今のは‥‥。

最後はいつもノイズがかかって終わるはず、なのに私以外の声が‥‥。

空耳か?

いや、違う。確かに聞こえた。


他の誰かの声が。


でもそれは、父さんの声ではない別の誰かのものだ。

初めて聞く声だった。


一体‥‥‥‥‥‥誰だ?

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