試作秘匿兵器
日が開くとなに書きたかったのかわかんなくなるよね(いいわけ)
避難所
酒匂大尉
アメリカ兵の襲撃を乗り切った日本軍の避難所は被害もそこそこに壊れた施設の応急処置と死体や武器の回収に大わらわだった
「ダメです、やはり応答がありません、おそらく芹沢隊は全滅したのかと」
「そうか、残念だ……」
酒匂大尉が略帽を脱ぎ、坊主頭を掻き毟る
青梅軍医いわく、無線手の大石一等兵は眉間以外にも肝臓と腸に弾を食らって、手の施しようがなかったようで死んでしまった
なので今はもともといた別の隊の無線手に頼んで無線機を動かしてもらっていた
「芹沢隊が全滅した以上、我が隊は明日中に羽田少尉と合流して青波港に向かわねば……貴様、名前と所属は」
「小官は坂田一等兵であります。所属は混成第二十八歩兵小隊第一連絡分隊であります」
「よし、坂田一等兵。原隊に戻っていいぞ」
「はっ!坂田一等兵、原隊に戻ります、失礼します!」
坂田一等兵は敬礼を決めると駆け足で立ち去った
「毒島、もう一度我が分隊の状況を話せ」
「はっ!」
毒島が手帳をめくりながら答えた
「葛原、栗林、大石の三名が戦死、装備の欠落はありません。現状生き残ってるのは大尉殿と自分、そして小川と猿飛の計四名です」
「これではとても合流なんて無理だな。仕方ない。鹿目少将に頼んで、部隊を再編成しないといかんな」
「ですが、それでは最悪吸収されてしまうのでは」
「そこは、この島からの脱出を条件になんとかするよ。そもそも我々の最優先任務は機密物資の回収だ。一厘五銭の哀れな兵隊は二の次なのだ」
「……今のは忘れることにします」
「そういうことだ、鹿目少将のところへ行ってくる。いつでも動けるようにしておけ」
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第二分隊
兵器試験場入り口
羽田少尉
「ここか」
丸太と金網で作られたゲートを前に、羽田少尉は唸った
日が昇ると共に捕虜収容所を脱出し、捕虜と民間人を守りながら兵器試験場にたどり着いたのだった
「少尉殿、試作兵器とはどういう物なのですか?」
穂摘伍長が羽田少尉に質問した
「わからん。なんでもアメリカから亡命してきた兵士が乗っていた機体らしいからすぐわかるとしか聞いてない」
試験場の入り口のゲートを跨ぎ、建物に入る
中は先に突入した志村二等兵と佐垣二等兵が不死人と戦い、安全を確保していた
「佐垣、銃剣が折れとるぞ」
「えっ、あっ」
「お前はいつも銃剣を研いでるから銃剣が薄くなって脆くなったんだろう、ほらこれを使え」
鞠川一等兵は道中の不死人から回収した銃剣を
佐垣に渡した
「ありがとうございます!」
折れた銃剣を鞘ごと体革に挟み、新しい銃剣を二式小銃につけた
「兵器は外にあるはずだ。そこまでの進路を確保しろ」
「ハッ!」
志村と佐垣が敬礼と共に駆け出し、外への通路を繋ぐ扉を蹴破った
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「セェイ!」
志村の気合の一声と共に突き出された二式小銃の銃剣が防毒面を貫通し、兵士の不死人が崩れ落ちた
「伏せろ!」
志村がしゃがむと同時に佐垣が二式小銃を撃ち、眉間を撃ち抜かれた看護師の不死人の後ろに迫っていた不死人に銃床の一撃を見舞った
血濡れた略帽が吹き飛び、佐垣は元の位置へ下がった
「手榴弾!」
佐垣がピンを引き抜いた手榴弾を投げ、志村と佐垣が廊下の曲がり角に身を隠す
爆発が起き、千切れた腕や血糊が飛び散った
「行くぞ!」
先手を取った佐垣が飛び出し、血糊で滑らないように摺り足で歩き、下半身が千切れた作業着を着た不死人の脳天に銃剣を突き刺した
「今ので最後だな」
「佐垣、弾はあとどれくらいある?」
「手榴弾が一発と小銃弾は……三十発位だな、お前は?」
「俺は小銃弾が四十発程あるけど、手榴弾は一個もない」
「新しい武器がないとキツいな」
「収容所の弾はアメ公がみんな持ってっちまったからなぁ……」
「そうだな」
そんな会話んしながら二人は第三開発廠と銘打たれた部屋に入る
中は簡単な工作機械や金属片、何かの部品が散乱した部屋だった
「まぁ、そう都合よく武器は落ちてないか……」
「いや、あの兵器棚を見てみろ、一個あるぞ」
志村が指差した兵器棚には木と鉄で組まれた小銃が一丁あった
「なんだこりゃ?小銃か?」
志村が鍵を壊し、佐垣が仕様書を読む
「試製散弾銃?ぶどう弾みたいなもんか?」
机に仕様書を広げ、使い方を調べていく
「槓杆をこう、弾を、下から入れるのか……で、戻して、撃つ」
引き金を引くと同時に飛び出た散弾が壁を粉砕した
「……こりゃあ、使えるなぁ」
志村が呆然と呟いた
*****
「これが、Fか……」
羽田少尉が目の前の巨大兵器を見て呆然と呟いた
秘匿兵器は巨大な輸送機だった
六個のエンジンを翼に三つ乗せ、機体の色は夜空に溶け込む漆黒の色
「隣の奴がスケアクロウの奴ですか」
「ああ、奴の話によるとXB-29というらしい、超長距離を飛行可能、日本から出発しアメリカを爆撃し支那の友軍基地か欧州のドイツに着陸することが理論上可能だとか」
「すごい……」
「XBを雛型に、F、いや富嶽というらしい、この爆撃機は開発されたらしい」
羽田少尉と穂詰軍曹が話しながら設計図を鞄に押し込む
「あのドイツ人の研究者はこの富嶽に載せるものを研究していたそうです」
「なんだ、ドイツ語がわかるのか?」
「片言の日本語だったので、理解するのに苦労しましたよ」
「少尉殿!爆破準備完了しました!」
「よろしい」
表に出ると爆弾が仕掛けられた富嶽とXB-29が変わらず佇んでいた
「設計図があればなんとでもなるし、起爆!」
「了解、起爆!」
鞠川が起爆装置のボタンを押すと同時に機体が木っ端微塵に吹き飛んだ
「さて、大尉と合流せねばな」
燃え上がる富嶽から視線を外し、羽田少尉は地図を広げた




