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遭遇

ダンスホールはとても広く人がわらわらといた。

きらびやか。その一言に尽きる。


上はキラキラの大きなシャンデリアがいくつもあり正面には色とりどりのドレスに身を包んだ淑女にそれをエスコートする男性もおしゃれにドレスアップ。

社交界にずっといたら目がつぶれそう。



マルシャ義兄様たちと一緒に挨拶にまわる。

その際たくさんの人にたくさんの賛美をいただきへろへろです


人に少し酔ったので私はバルコニーに行こうとそちらに向かって歩き出す。


「そこの美しいレディ。どうかお待ちを」


その声を無視するわけにはいかないのが社交界。

私は出来るだけ優雅に見えるように振り向いた。

そのには緑の髪をしたまぁまぁハンサムな男性。


「あぁ、なんとお美しい。私と一曲踊っては頂けませんか?」


うわーめんどくさいわー

それに今人酔いでこの場にいたくないのだ


「まぁありがとうございます。しかし私少し人に酔ってしまいまして……またの機会にお誘いくださいませんか?」


私がちょっと儚げ風に微笑むと相手は頬を染めながらほぉと溜め息をついた。

ちょっとキモい。


「それなら私がバルコニーまでエスコートして差し上げましょう。」


は?余計なお世話だ


「いえいえ、あなた様はパーティーをお楽しみください。私のためにお手を煩わせるわけにはいきませんわ」


「そんな具合が悪そうなレディを一人ほっとくわけにはいきませんよ」


すごくしつこくて煩わしい。

だんだんイライラしてきた。


「さぁ、お手を」


手を指したしてきた目の前の男。

正直気持ち悪いと思った。

しかしここで断るべきではないのは私にだってわかる。相手がどのくらいの爵位かもわからない今は特にだ。

私は諦めて手をとろうとしたときだった。


「あぁこんなところにいたんだね。」


低くて甘い声が辺りに響き渡った。

あまり大きくないはずの声なのになぜかよく通った。

声の方向を見ると、金のきらびやかな髪に碧眼で暖かい目をしたまるで白馬にでも乗っていそうな王子様がいた。

服も白を貴重として金糸がはいつている。

明らかに上等な物であるのがわかるのであながち王子様という予想は間違っていないのかもしれない。

それにしても……なんだろうこのモヤモヤした気持ちは

このとき私は変な既視感をおぼえていた。


「探したよ?会場に来たときはまず僕のところにおいでと言っただろう?どこにいこうとしていたんだい?」


そんなこともちろん言われてはいないしこの人知らない。

ていうか周りを見るとぽっかり私たちのところだけスペースができてる。パンダになった感じなんだけど。

しかしこのイケメンがつくってくれた状況を逃がすつもりはない。


「申し訳ありませんわ。私人酔いしてしまってバルコニーに出ようと思っていましたの。あなた様に会いに行くのなら体調がよくなってからがいいと思いまして。」


「そうなのかい?なら私がエスコートしてあげよう。お手をどうぞレディ?」


惚れ惚れするような美しい動作で私に手を差し出した。

私は戸惑いなくその手をとりイケメンにエスコートしてもらった。


いやぁ役得だわ~

なんてバカなことを考えつつバルコニーにでた。

バルコニーに出るもイケメンはそのまま中庭に降りて私を噴水近くまで案内してくれた。

行動までもイケメンとは恐れ入った。


「さぁここまで来れば安心だろう」


すっと手を離したイケメンは私を見て息をついた。


「お助けくださりありがとうございました」


「いや、たまたまだよ」


輝く笑顔を向けてくるイケメン。

しかしかっこいいがやはりこの笑顔をどこかで見たことがあるような……。


ガサッ


ほんとに小さな小さな物音だった。

長年いろいろ鍛えてきた私はそれに反応して音がした方向を見る。

じっと見つめれば見つめるほど魔力の流れがわかりそこに誰かがいるのがわかる。


覗き見をする不躾なやつは誰だと好奇心が勝り私はイケメンのことも忘れそっちに歩を進めた。


葉が茂る木の影にいたその覗き魔。

紫の髪をしているのがわかる。その人は見つからないようにしているのかうずくまっていた。


「どなた?」


私が声を発するとその人ははっと顔をあげた。

なぜかそこでポツリと無意識に呟いた。


「紫の姫?」


今度は私がはっとして口許を押さえる。

紫の姫って……あれ?なんだっけ


「………あ、なたもしかして」


私を見て彼女は紫の瞳を揺らす。

何が言いたいのかわからない。


私が困惑しているとき近くに人の気配がして振り替える。

それは忘れていたイケメンだった。


「ミリィ!どうしてここに?」


しゃがみこんでいる彼女の隣に同じくしゃがみこんだ彼は大切なものを扱うかのような繊細な手つきで彼女の手をとった。

彼女は困惑するようにイケメンと私を交互に見ている。


「どうなってるの?」


なにに困惑しているかわからないが私はこの思い出せないときに起こる胸のモヤモヤを解消したくってたまらなかった。

紫の姫ってどっかで………

じっと再び彼女の顔を見る。

釣り上がった目にキリッとした眉をしている。

しかし今は少しだけ緩和しているのがなんとなくわかる。

そして目を引く紫の髪と目。

ていうかあきらかに眼光が鋭い。まるで悪役のよう………だ?


「あっ!!」


わかった!

あれだ!

ミリィティ・クラインデッド!

通称紫の姫だ!

そうかそうか彼女だったのかー………ん?


そこで私はおかしいことに気づいた。

なぜ彼女が今でてくる?


そんな風に脳内でいろいろ繰り広げていた私は気づくのが遅れた。


《主人よ!》


ヒカリのその声に私は現実に引き戻されて目の前に迫っていたなにかをかわす。やたら小さいキラリと光るなにかだった。

この体がやたらハイスペックなお陰でなんかに当たらずにすんだ。

飛んできた方向を見ると数人の魔力を感知する。


こんなとこにまでなんかヤバイのがいるのね


私はせっかく結論にたどり着きそうだったのに邪魔をされて腹が立った。それを解消させたいのでさっさと片付けてしまおう。


ヒカリにまだ気づいていない二人をさりげなく任せることにした。


あぁ私に平和はいつおとずれるのだろうか。(いや、おとずれない)







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