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「では、治療が完了次第、報告に来い。その後、中へ突入する」
へぇ、突っ込んじゃうんだ? 出発前は確か、敵の様子を見て、籠城させるか突入するか、決めるって父さん言ってたけど。
ってことは、突入しちゃった方がいいってことだよね? 騎士様たちは、外で待ってんのかな? それとも、馬から下りて一緒に行くの? 馬から下りても、騎士様たちって、やっぱり強いのかな?
「んっふふー、楽しみだね!」
「突入が、か?」
呆れたみたいな、ベネットの声に。ちょこっとムッとしたけど、別に間違いじゃないから、こくりと頷いて肯定しておく。
楽しみなのは、騎士様たちが、下馬しても強いのかってことだけどね。
「ユノちゃんの場合、突入そのものより、強い人間がいるかもって方が楽しみなんでしょう? それで、セイガ隊長が活躍するところを見て、ワクワクする子だから」
「さっすがリアム。たいしてつき合いないくせに、あたしのことよくわかってんね」
あたし、ちゃーんと知ってるよ? あたしと同年代の子の間で、旦那にしたいナンバーワンになってること。
いい人だと思うけど、あたしはリアムは嫌だなぁ。対応があんまり大人すぎて、自分がやけに子供っぽく思えちゃうから。
「ユノちゃんはわかりやすいよ。わかりにくい代表は、リノちゃんだね」
「そう? リノ姉は意外と単純だよ?」
リノ姉は、母さんと同じだから。戦場ではビシッと決めて、私生活ではちょいだらしない男に弱い。っていうか、あたしの身近な人たち、イハル兄も含めて、そういう人が多いんだけどさ。
あー、でも、顔もよくなきゃダメとか言ってたから、その辺? だけど、リノ姉、趣味悪いんだよね。万人に理解できる美形じゃなくって、リノ姉にとっての美形だから。
「ほら、美男子の基準が……」
「あー、やっぱりそっち? イハル兄みたいなひよっこの優男は死んでも却下っていう、あの好み?」
一応、あたしから見ても、イハル兄だったら普通にカッコイイと思うんだ。優男って感じじゃないし。
ただ、あたしも、イハル兄とは、死んでも恋人になりたくないってだけで。
そーいや、顔だけ見れば、将軍も結構カッコイイよね。顔だけなら、セイライ国でも、イハル兄と人気を二分できると思う。うん、顔だけなら。
「どの人なら、リノちゃんがカッコイイと思うのか、ユノちゃんは知ってる?」
「んー? 知りたいの? まさかリアム、リノ姉狙い? お姉ちゃんがだいぶ年上だし、やめといたら? 年齢とか考えても、カノ姉のがマシだよ? ま、あたしがわかる範囲だと、リノ姉が好きなタイプはゲルトさん。多分、今でも騒いでるんじゃない? あんま好みの人、いないみたいだし。あれでリノ姉、結構しつこい性格だし」
「……おいおい、審美眼が完璧死んでるじゃねぇか」
「……えーっと……なかなか、渋好みなんですね」
人のお姉ちゃんつかまえて、何その微妙な言い方。ってか、ゲルトさんって、どんな顔してんの? つーか、いくつの人なんだろ。まあ、リノ姉の好みからすると、かなり年上で年相応の、厳ついおっさんなんだろうなぁ。
ユウガ兄ですら、若造だの青二才だの優男だの、ボロボロに言われてるくらいだし。
「ユノ、リアム、ベネット。そろそろ準備をしておけ」
「はぁい!」
「了解しました」
「うぃーっす」
父さんに言われて、とりあえず返事をして。
あたしは腰の剣に、そっと触る。
きっと中には、外よりいっぱい敵がいるはず。父さんたちに任せっぱなし、ってわけにもいかないよね。
ちゃんと、自分の力で頑張んなきゃ!




