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「あ、あのさぁ……ここって、騎竜がいるんだよね?」

 思い切って聞いてみたら、美人さんがあたしからバッと離れてパァッて感じで笑った。

「竜……見る?」

「見る! 見たい!」

 っていうか、竜が見れると思って来たんだし、見なきゃ損じゃん?

「竜……危ない……ヴァージル」

「……私が、ですか?」

「エレン嫌い……邪魔」

 相変わらず露骨な言い草なんだけど……美人さんも将軍もエレンさんも、全然気にしてないっぽい。

 っていうか、将軍、実は美人さんのこと苦手っしょ? 美人さんも、エレンさんよりはまだ将軍のがいい、って程度じゃないの?

「あら、奇遇ね。私もジリアンが嫌いだし、邪魔だと思ってるの。だからユノ嬢は、私が責任を持って運ぶわ。だいたい、ヴァージルに任せられると思って?」

「ダメ……ヴァージル」

「じゃあ、ユノ嬢に決めてもらえば?」

 へっ? 何でいきなりあたしに選択権が? っていうか、竜ってそんなに危険……あー、ベネットの竜みたいなのがいっぱいだったら、確かに危ないよね。

 あれ? でも、エレンさん、運ぶとか言わなかった? どういうこと?

「あたし、一人で行っちゃダメなの?」

「危ない……ダメ」

「あたしで危ないと、美人さんも危なくない?」

「大丈夫……ユノ危ない……ダメ」

 むー。危ないの、あたしだけ? 何で?

「ユノ嬢、騎竜になっていない幼い竜は、小さなものを見ると食べ物だと思っちゃうの。ユノ嬢は間違いなく、確実に食料と間違われるから、私が近くまで運ぶわ」

「ダメ……エレン強い……わたし強い……ヴァージル」

 ……あ。今、美人さんが何言いたいか、何となくわかった気がする……気がするけど……それ、そんなにはっきり言っちゃっていいの?

「まあ、仕方ないわね。槍を取ってくるから、少し待ってて」

 あっという間にエレンさんがドナに乗って、槍を握り締めてヒラッと下りてきた。軽々と乗り降りしてるけどさぁ……竜って、結構おっきいよね? 手綱あっても、あたしだとだいぶ苦労しそうなんだけど。

 しかも、鎧着てるし、槍持ってたら、もっと大変だと思うんだけどね。

「……ってか、槍?」

 武器持ってくの? 何で?

「万一襲われた時は、これで威嚇するのよ」

「竜……エレン怖い……槍……必要」

「そうなんだ……さっすがエレンさん……」

 子供っていっても、竜だよ? それが怖がるって……。

「では、失礼します」

「へ? ……わわっ!」

 すごい! 将軍、あたしを片手でひょいって持ち上げたよ! しかも、体も使ってるけど、左腕にあたし乗っけてちゃんと支えてる!

 割としっかりしてるけど、グラグラして落ちたら嫌だから、将軍の肩に右手でしっかりつかまって……っと。

 今日の将軍は、いつもの隙のない鎧じゃなくって、胸と肩と腰だけ守る形の、ちょっと軽い鎧着てるんだよ。エレンさんと同じ形のやつ。だから、肩当てをギュッとつかんでるわけ。

「うわぁ……」

 すっごい、景色が違うよ。いっつも見上げてる将軍の顔、あたしより低いとこにあるし! エレンさんたちも、みんな見下ろせちゃう!

「ああ、それなら確かに、ユノ嬢は襲われないわ」

「そうなの? 何か、すっごい背が高くなった気分!」

 見晴らしいいね! 将軍とかイハル(にぃ)って、いっつもこんな感じに見えてるんだよね? いいなぁ……。

「……ねえ、ヴァージル。もしユノ嬢を落としたら、あなたをここから突き落とすから」

「ユノ落とす? ……ヴァージル攻撃する」

 えっ、二人がそれやったら、将軍が死んじゃわない? ってか、こっから落ちたら、どこまで落ちるの?

 そーっと覗いてみようと思ったけど、足元見なくっても、ずいぶん高いとこにいるのはわかった。無理無理、落ちたら絶対死ぬよ、これ。

「私が落とすとでも?」

「だから、もしも、の話でしょ?」

 何か、バチッて火花が散ったような……ううん、多分、きっと、あたしの気のせいだよね? うん。

「竜……見る?」

 パッて目を逸らした先で美人さんが、こてん、って感じで首を傾げて聞いてきたから、あたしは思いっきりおっきく頷いた。んで、ちょっとバランス崩して、落ちそうになっちゃったよ。

 慌てて将軍にしがみついたから、落っこちないで済んだけどね。

「あー、びっくりした。思いっきり頷くの、不安定になるからダメなんだね。そういえば、竜って、しゃべってたら襲ってくる?」

「あまりない……ユノ小さい……可愛い……未知数」

 とりあえず、襲われる可能性はそんなにないってことかな? んでも、最後の未知数って、どういうこと?

 ……ひょっとして、あたしが小さいから、しゃべってるとそこにいるってわかって、餌って認識で襲ってくるかも、ってこと?

「恐らく、私たちのそばにいる間は大丈夫でしょう。絶対に、一人にならないようにしてくださいね?」

「……あのさぁ、竜って、そんだけ危険な生き物なの?」

「危険というよりは、まだ分別がついていない竜ばかりですので、人を襲うことがあるだけです。それでも、より恐ろしい存在には刃向かわないので……ああ、危険を感じたら、エレンかジリアンのそばに行けば問題ないでしょう」

 そこで将軍じゃなくって、エレンさんと美人さんって辺りが、もう……。

 宮廷騎士団の団長なのに、何か情けないよね、将軍って。

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