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そんな他愛のないことを話してる間に、目的地が近づいてきたみたい。
将軍は山って言ってたけど、どっちかっていうと、岩山? 薄い茶色ばっかで、緑がほとんどないし。
ってか、竜って、こんなとこで生まれて育つの? えー? どうやって?
目を凝らしてみても、竜っぽいものが飛んでるとか、そういうのはないし……どうなってんの?
ドナで飛んでた高さと同じくらいのとこに、ちょこっと広い場所があって。エレンさんはそこにドナを下ろして、あたしを抱え上げてぴょんって飛んだ。
……あたしって、エレンさんにまで、軽々と抱えられちゃうんだ……。
地面に下ろしてもらって、将軍もドナから下りてきて、フッと見たらそこにドアがあった。木でできてて、すっごい背が高いドア。あたしの目線くらいのとこに、切れ込みが入ってんの。
ここ、結構雪が降るんだね。出入りできなくなったら困るからって、上だけ別に動かせるようになってるドアみたい。普段は、中から止めてあるんだろうけど。
「ジリアン!」
誰かの名前を呼んで、エレンさんがドアをゴン、って叩いた。……ドア、壊れちゃわない? 大丈夫?
……留守なのかな? 返事もないし、出てこないけど。
「ヴァージル、任せたわ」
渋いんじゃなくって、怖い顔でエレンさんが戻ってきた。んで、あたしに背中からギュッと抱きついてきて。
「ああ、癒やされるわ……」
ひょっとして、頭のてっぺんに、エレンさんが頬ずりしてる? 何か、髪の毛がモシャモシャしてる気がするんだけど……。
まあ、あたしの髪の毛って、癖はつかないからね。別に、何されてもいいけどさぁ。
「エレン……」
「いいからさっさと行ってきて。ヴァージルじゃなきゃ、話にならないでしょ?」
ちょっと怒ってるっぽい将軍の声がしたけど、エレンさんはばっさり一蹴する。
どっちが強いか、力関係がよくわかるね。
今度は将軍が、ドアを叩いて名前を呼んだみたい。そしたらさ、すぐに返事がしたの。んで、ドアがバンッ、って勢いで開いて。
中から顔を出したのは、王女様の十年後って感じの美女。リノ姉よりは年上っぽい。ユウガ兄と同じくらいか、もうちょっと上かも?
「うわぁ、美人さんだ!」
名前、さっきエレンさんが言ってたけど、頭に入ってない。
「……新顔……可愛い子…………隠し子?」
美人さんは首を傾げて、将軍をジーッと見てる。
ってか、隠し子って、あたしのこと? いくら何でも、そこまで子供に見えるの? だとしたら、かなりショックなんだけど……。
だって、今まで十三歳? って聞かれてたんだよ? んで、将軍の隠し子扱いってことは、もっと小さいわけじゃん? もう五歳くらい、年下に見えてるってこと?
さすがに一桁はヤダ。あって欲しくない!
「いえ、宮廷騎士団傭兵部隊の一人で、ユノさんです」
「ユノ……セイライ国? 王族?」
ちょこんって感じで首を傾けて、美人さんがあたしをジーッと見てくる。緑色の目が、ちょっと無機質っていうか、感情が見えなくって怖い。んでも、綺麗。
グレースみたいに、サラサラした綺麗な金髪で、結構長い。全身見えてるのに、毛先がわかんないくらい長いんだけど……ってか、髪の毛、どこまであるの? 床這ってるよ、髪の毛!
「ユノ可愛い……小さい可愛い……エレン邪魔……どっか行って」
うっわ、露骨。すっごいあからさまなんだけど。
「いーやーよー。ユノ嬢は私のものだから。ジリアンにもヴァージルにもあげないわ」
あたしをギュッてしてるエレンさんの腕に、ググッと力が入った。
ちょっ、苦しい! 喉にちょこっと、腕かかってる!
ジタバタもがいてたら、気がついたエレンさんがスッと腕の位置を変えてくれた。ふー、助かったぁ……。
「邪魔……ヴァージル?」
「勘弁してください。エレンとここでやり合う気はありません」
「役立たず」
……あれ? あの美人さん、将軍のこと、確か気に入ってるって……んでも、今、役立たずって言ったよね? メッチャきっぱり。あ、でも、邪魔とか言われないだけ、お気に入りってのは間違ってない……のかも?
今までドアの向こう側にいた美人さんが、外に出てきた。んで、こっちに向かってスタスタ歩いてきてるよ。
髪の毛と、ヒラヒラした真っ白な服の長い袖と裾、みーんなズルズル引きずってるんだけど……。
「ユノ小さい……可愛い」
目の前に立った美人さんは、意外と背が高い。多分、グレースと変わんないくらい? あれでグレース、結構背が高いんだよね。すらっとしてて、出るとこ出てて……美人さんは、あんまり出てない。
その美人さんが、前からあたしにギュッて抱きついてきた。あたしの顔の右にエレンさんの、左に美人さんの顔がある状況。
……何か、空気がいたたまれないっていうか、冷え切ってて風邪引きそうっていうか。
多分、将軍は頼りにならない。だって、さっきエレンさんに負けたのに、この二人をどうにかできるわけないじゃん?
自力でどうにかしなきゃ、ってことだよね?




