043 王都でみんな集合
家に着くと、魚の焼けるいい匂いがしてきた。
「ただいまー。」
「ただいま!呼んできたよー!」
「ただいま。」
ジア、レーヤに続いて、扉を通った。
「お、おかえり。今日はどうだった?」
台所にはツィーゼが立っていて、ルカンは横で野菜を洗っていた。
「新しいお客様は二人増えたよ。あとは、ロッキングがよく売れたかな。」
ほかの露天商の見分けをつけるために魔法で出した帽子を、外しながら返事をする。
子供ってだけでも分かりやすい気もするけれど、帽子や服装とかもう一個あってもいいかなって思って、みんなお揃いで緑色の帽子を露天商を始める前に出した。効果があるかは流石にまだ分からないけれど、何もないよりはいいかと思い、みんなでお店に立つときは必ず被るようにしている。
「そうか。地域的なものか季節的なものかな…今後色々試してみよう。」
手を動かしながらも、ルカンはお店のことを考えてくれているみたいだ。
「うん、そうだね。」
「今日さかな!?いい匂い!」
そんな会話をしていると、目の前でツィーゼに話しかけているレーヤがいた。
「そう。お店見てきたら安かったから、買ってきたの。美味しそうでしょ。」
私たちの食卓には私の魔法で出したものや、露天やお店で買ってきたものなど様々なものが並ぶ。
ヌリズ領よりも流通がいいのがあるのか、王都のお店には様々な品が出ていて、王都に来てからは使われる食材の種類がかなり増えた。
「あ、レーヤ。手洗ってきたか?」
「もちろん!帽子置いて手洗ってきた後だよ!」
完成しているラソジの炒め物に手を伸ばすレーヤをルカンが一度止めた。
いい笑顔だけど…ふふっ、バレてたね。レーヤ。
「それは偉いが、ご飯まで待ってような。」
「…はーい。」
きちんとルカンに釘を刺されたレーヤはすごすごと台所から出ていった。
さて、私は手を洗ってこようかな。
ここでは家から出て、少し歩いたところに井戸がある。
ちなみに、家と家の間の小さな道を通ると少し近道。
王都のいいところは水が完備されていて、トイレに関しても技術が進んでいること。
流石に料理に使える水は買うか井戸から持ってくるかしかないけれど、野菜などを洗って汚れた水や排泄物を含む水は行き先が決まっている。
王都全体の地下に大きな穴があるみたいで、水はそこを流れて、魔法で綺麗にされて、川に戻っているらしい。
井戸はそんなにたくさんの場所にはないから、水を持ってくるのは大変だけど、道端に排泄物が転がっていない王都はすごく綺麗だ。
ちなみに、これは人間の技術ではなく穴を掘ることができる魔法使いのおかげでできており、水を綺麗にしているのは施設に在中している魔法使いの魔法のようで、溜めて一気に綺麗にして、溜めて一気に綺麗にして…を繰り返しているらしい。
でも、王都はヌリズ領と違い、井戸の水が凍る心配がなくて、水が不足することはないし、水が少し身近になった気がする。
ちなみに、手を洗う習慣ができたのは王都の露店でモノを売り始めたとき、お客様に言われたことがきっかけ。
そのとき土で汚れた私たちの手を見て、「身体が不潔だとお客さんは寄ってこないから、手とか見える範囲だけでも綺麗にしたほうが良いよ」と声をかけてくださった方がいて、ハッとなって洗うようになった。
今までは触れても雪で見えなかったり、私たちは全然気にしてなかったから気付けなかったけれど、お客様は雪でも気になっただろうし、土なんて視覚的に分かりやすくて、なおさら気になるよねって思った。
そんな言葉をかけて、気付かせてくれたお客様は初日以降いらっしゃっていないけれど、本当に私たちは感謝しているから、来てくださったら何かそのときの商品をあげようって話になっている。
にしても、やっぱり王都は綺麗だなあ。
施設の区別を分かりやすくするために屋根の色は統一されているけれど、屋根の形や建物の形は統一されていないから、色々違って綺麗。
大きな三角屋根のお家もあれば、小さな三角三つの屋根もある。
西部や南部も北部とは建築が違ったけれど、東部の建築もいいなと夕日と綺麗な町並みを見て改めて思った。




