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EP10 ダンジョンマスターとメイドカフェ

祝10話!

という訳でメイドさん(ファンタジー世界仕様)です。


仕事後の一杯。

あるいは自分へのご褒美。


それは万人に等しく送られる頑張った今日への報酬であり、明日への活力である。

万人に送られる物なので、世界の敵であるダンジョンマスターにもその恩恵は贈られてしかるべきである。



△▼△▼△▼



やはり転生して良かった。

そう思うのは何度目か、既にレグニルスは数えていない。


現代日本では味わえなかった、ささやかな幸せが転生後の生活にはあった。


「美味しくなーれ、もえもえきゅ~ん」


目の前の可愛いメイドさんと一緒に両手でハートをつくり、料理が美味しくなる魔法をかける。

するとメイドさんの両手からキラキラ光るピンク色の粒子が現れ、オムライスに降りかかった。


「ありがとー」


魔法をかけおわったレグニルスはハートを形作っていた両手で小さく拍手し、自分が楽しんでいる事を伝えるのだった。

それに答えるようにメイドさんのネコミミがピコピコと動き、笑顔の明るさが強くなる。


残念な事にメイドさんは次の仕事があるので膝立ちの体制から立ち上がり、キッチンへ戻ってしまう。

その後ろ姿も、特に大きくゆっくり動く尻尾が、レグニルスの目を楽しませる。


店内を見渡せば、先程の猫耳メイドさん以外にも、犬耳メイドさんにウサ耳メイドさん、狼耳メイドさん、狐耳メイドさんと色々な獣耳のメイドさんが働いている。


今日は出勤していないが、同じ犬耳メイドさんでも頭頂部に犬耳があるメイドさんと、側頭部に犬耳があるメイドさんとバリエーションがあったりする。


「やっぱり本物は良いなぁ」


ここはダンジョン内にあるメイドカフェ。

中世ファンタジー世界にあるという立地と、神様の転生特典をフルに使ったメイドカフェだ。


従業員は神製のホムンクルス。

マンション内の店舗を運営する事を主任務とするため、通常の人間と同じ体格をしている。


しかし、それは運営に支障が無い範囲であればカスタマイズ可能だという事でもあった。


レグニルスは発注者の立場を最大限活用、マンション内で活動するホムンクルスの半数は獣耳と尻尾を装備させている。

獣耳を装備していない半数も、エルフ耳などを装備したオタクのロマンが詰まった容姿をしていた。


「あ、この絵カワイイ」

「でしょ、ココちゃんが書いてくれた」


レグニルスがオムライスに手を付けずに店内を見渡していると、近くを通りかかった犬耳メイドさんが話しかけてきた。


メイドカフェはご主人様、お嬢様に対してメイドさんの数が少なく、メイドさんと会話する機会が少なかったりする。


しかし、このメイドカフェのご主人様はレグニルス一人。

対してメイドカフェで勤務しているメイドさんは5人。

完全なハーレムであった。


「ココちゃん、絵上手だよね」

「子犬リクエストしたら可愛く書いてくれたんだ」

「え、これ犬なんだ?」


レグニルスはメイドさんが書いてくれた子犬の絵を褒めるが、犬耳メイドさんは訝しげに眉をひそめる。


犬耳メイドさんは顔を左右に揺らし、レグニルスの目線は揺れる犬耳と犬尻尾を追いかけた。


「タヌキじゃない?」

「いや、犬も狸も似たようなモノでしょ」

「もう、全然違います!」


オムライスに書かれた絵はケチャップで書かれているため、大分デフォルメされている。

少しふっくらした顔に頭頂部にケモミミが二つ、犬っぽい口とひげ。


見る者によってはふっくらした犬にも見えるし、狸にも見えるし、穿った見かたをすれば猫に見えない事も無い。


「犬と狸は全然違うんです!」

「ちょこの言う通りです、狸なんて滅びれば良いのです」

「あんずちゃん、私そこまで言ってないよ!」


犬耳メイドさんのちょことレグニルスの間に、キツネ耳メイドさんのあんずが割って入った。

お店のメイドさんの中ではクール系で知られるあんずだったが、今は暗い笑みを浮かべていた。


「タヌキ、それはこの世で最も汚らわしい生き物です」

「いや、イヌ科の動物だから仲間でしょ」

「「全然違う!」」


レグニルスの意見は、二人のメイドさんによって黙殺された。

どうやらレグニルスには分からないナニかが、犬耳メイドさんとキツネ耳メイドさんにはあるらしい。


「だって、タヌキの男って、こ、股間のアレを露出させているんですよ」

「しかもヤツらはソレで空を飛ぶ」

「・・・ジ○リ映画の見過ぎですって」


この世界に狸がいるのか、それはレグニルスには分からない。

しかし、ジ○リ映画に出て来たような狸はいないだろう。


「いや、異世界だからこそ化ける狸がいるのかも?」

「おぞましい事をおっしゃらないでください。同じ化ける動物と言っても、妾達狐とは優雅さが違うのです」

「ホントですよ、アレが同じイヌ科だなんて信じられません」


二人のメイドさんは汚物について語るように、顔をしかめながら狸を批判する。


メイドさんとのフレンドリーな会話はレグニルスの望む所だが、メイドさんが顔をしかめるのはレグニルスの望みでは無い。


「でも、狸もカッコいいですよ。有頂天○族とか」

「たしかに有頂天○族は面白かったです」

「鬼灯の○徹の狸はダメでした」

「いや、あればウサギのキャラが強かったせいですよ」


狸談義でメイドさんと盛り上がる。

レグニルスとしては、もう少し別の話題で盛り上がりたいが仕方ない。

今、メイドさんと盛り上がっている現実こそが何よりも優先されるのだ。


「ウサギと聞いて」


ウサギという単語に反応した、うさぎ耳メイドさんのはれ。

メイドさんの中では一番大きな耳だからか、彼女はメイドさんの中で一番耳が良い。


「呼んでないです」

「お仕事してください」

「…頑張ってください」


メイドさんの中では弄られキャラなので、レグニルスのテーブルに寄ってくると同時に弄られた。

弄られたうさぎ耳メイドさんのはれは、ぴんと立っていたうさぎ耳をへにゃっとしおらせた。


「お仕事します。お水はいります?」


仲間のメイドさんに弄られたはれは、持っているウォーターピッチャーをレグニルスに見えるように少し掲げて見せた。


しかし、所詮は無料で配られる水である。

オムライスと一緒にコーヒーを頼んでいるレグニルスには無用の長物。


その証拠に、レグニルスのお冷は入店時に出されたまま、一口も口をつけていなかった。


「お水、大丈夫です?」


しおれたウサ耳と、悲しげな表情。

そんなメイドさんの言葉を無視する事は、レグニルスは出来なかった。


レグニルスは一口も飲んでいないグラスを手に取り、躊躇わずに一気に飲み干す。


「水貰って良い?」

「はい!」


空になったグラスをはれに差し出すと、彼女は嬉しそうに水を注いでくれる。


「ありがと」

「お仕事なので」


レグニルスはお礼を言うと、水の入ったグラスをテーブルの端っこに置く。

あくまでもメインはオムライスとコーヒーなのだ。

その為、おまけの水は邪魔にならない場所に置かざるを得ない。


「お水、大丈夫ですか?」

「?」


レグニルスが水の入ったグラスから手を放すと、うさぎ耳メイドさんはすかさず仕事を始めた。

当然、意味の分からないレグニルス。


「ご注文はお水ですか?」

「いや、それをはれちゃんが言っちゃダメでしょ」


「木○みの家と石○の街」の喫茶店が舞台のアニメを思い出し、著作権的なヤバさを感じたレグニルスは咄嗟に止めに入る。


しかし、うさぎ耳メイドさんは自分の仕事をしているだけなのだ。

特に狙って言っている訳では無い。


「お水、いります?」

「え、飲むまで許してくれない系?」

「はれちゃん、お仕事頑張ってる」

「私達も頑張る」


はれの頑張りに感銘を受けたのか、今までレグニルスと話しをしていた犬耳メイドさんのちょこと、キツネ耳メイドさんのあんずは仕事に戻ってしまう。


ウォーターピッチャーを抱えているウサ耳メイドのはれと、再び水を飲み干すレグニスルを残して。

そして空になったグラスに、はれは嬉しそうに水を注ぐ。


「いや、この絵についての結論は」

「ココちゃんに聞くから大丈夫!」


レグニルスは離れていく二人を呼び止めようとするが、二人は無常にも去って行ってしまう。

二人は頼りにならないと判断したレグニルスは、絵を描いてくれた猫耳メイドさんのココを探すが見当たらない。


彼女とオムライスに書かれた絵について話し、その隙に目の前で水がなみなみと注がれたグラスをじっと凝視するウサ耳メイドさんから逃れられる。


それがレグニルスが咄嗟に思いついた作戦だった。


「ココはお散歩」


猫耳メイドさんの行方を教えてくれる、キツネ耳メイドさんのあんず。

ここでの散歩は本当の散歩では無く、お客さんを呼び込む為のチラシ配りを言う。


「ここ、住民一人しかいないじゃん」


通常ならチラシ配りは重要なお仕事だが、ここマンション型ダンジョンでは話は別だ。

ここの住人はレグニルス一人なので、当然チラシを受け取る人間は一人だけ。


そして受け取る一人は今、ウサ耳メイドの熱視線に負け、水のグラスを手に取ろうとしていた。


「ココちゃんはお仕事熱心なので」

「いや、この場合は逆に不真面目なんじゃ?」


自由気ままな猫耳メイドさんはチラシ配りという散歩では無く、本当の散歩に行ってしまったのかもしれない。


「私もお仕事、頑張ります」

「はれちゃんは頑張りすぎ」


三杯目を飲み干したレグニルスのグラスに、嬉しそうに水を注ぐウサ耳メイドさんのはれ。

お仕事が出来て嬉しいのか、何時の間にかしおれていたウサ耳がピンと立っていた。


「お水足りてます?」

「・・・大丈夫です」


こうしてレグニスルはウォーターピッチャーの水が無くなるまで、水のお替りを続ける事になる。

ウォーターピッチャーの水が無くなった時、ようやくウサ耳メイドさんはレグニルスの前から立ち去ってくれた。


水でお腹が膨らんだレグニルスはメインのオムライス攻略に取り掛かるが、彼は一つの事実を忘れていた。


すなわち、水は無料と言う事を。


「ご注文はお水ですか?」


オムライスを食べるレグニルスの前に、ウォーターピッチャーに水を補給したウサ耳メイドさんが現れるのはもう直ぐだ。




当初、犬耳メイドさんと猫耳メイドさんの名前は、ぽちとたまでした。

適当に考えたのですが、途中で何処かで読んだ事がある事に気づき修正。


この話の半分は昨日某メイドカフェでスマホいじりながら書きました。

なので書いてたメイドカフェの特色が出たり、キャラクター名の由来になってたりします。


ちなみに、この話の半分はノンフィクション(ちょっと脚色してますが)。昨日体験した事を書いてみました。


次回更新は9/18 15時の予定ですが、自転車操業になって来たので延期するかもしれません。

(すいません、有給休暇とって半日メイドカフェに籠ってました。)


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