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私、開業します

「おおおお!ざ!森!良いねぇ…」


森について、すぐさまログハウスを建てたアルは其処のベンチで寛いでいた。


森で暮らすといっても喫茶店のマスターだったのもあり、一応喫茶店として建てた。


「でも客こないんだよね…」


当然である。ここは森の中心部。その中心部にある湖の上に立っている。


既に半年経ったが今の所来た客は二人。


その二人も何故かクッキーやバウムクーヘン…珈琲を飲むと元気よく出ていってしまったのだ。


原因はアルの魔力をふんだんに含んでしまったクッキーなどを多量に摂取した為、身体がレベルアップし過ぎてカンストしてしまったのだ。


因みにこのログハウスはあくまで入り口であり、実際はその下に巨大な可動式の鉄鋼城がある。しかも四つ足で歩く奴。


最早ハ○ルの動く城である。普段は沈んでいるが。


「暇ねぇ」


そう言いながらログハウスの中へ入り、クッキーやバウムクーヘンを焼く。


「あゝ良い匂い(にほひ)。バターと卵のいい匂いもする。珈琲も仕入れたし。」


仕入れ方法は勿論チートである。説明するのも大変なので其処は割愛で。


アルが暫く菓子を作っているとノックの音がする。


「はいはーい!」


元気に扉を開ける…と其処には騎士風の男がいる。


「どなたですか?」

「ここが魔女のいる店か?」

「魔女かどうかは知りませんけど…まぁ店ですよ」


アルが小首を傾げながら答えると男は店の中にズカズカと入る。


「小さな店だな…」

「冷やかしなら帰れ」

「ふん!なら注文してやろう!ここの菓子で私の食ったことの無いものを寄越してみろ」


男としてはこんな森の中の小さな店…魔女云々かんぬんは置いておいても自分の様な貴族に食べた事など無いものなどないと思っていた。


「じゃあ…はい」

「ん?何だこれは?」

「スフレですよ…お熱いうちにどうぞ」


男の前に出て来たのは大きく膨らんだケーキの様な菓子。


試しに少しフォークで取り、口にする…と。


「ふおおおおおお‼︎⁉︎」


まるで雷に打たれなかの様な衝撃。


口に広がる絶妙な甘味ととろける様に口に広がる。それと同時に鼻に広がる嗅いだことのない甘い匂い。


それだけでなく、ここに来るまでに出会った魔物にやられた傷が塞がり、全身に溜まっていた疲れが弾けるかの様に無くなる。


「どうですか?」


アルの質問に食ってかかる様に男は顔を上げる。


「これはなんと言う菓子だ⁉︎」

「スフレって言いましたよ」


スフレ…スフレ…と暫く呟くと徐に顔を再び上げる。


「…ここに来れば食えるのか?」

「まぁいつも開いてますからね」


そうアルが答えると男は何か決めたかの様に立ち上がると無言で料金を置いて出ていった。


「何だったんだろ?」


心底不思議そうにアルは首を傾げ続けた。

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