第一章「剣? 頭脳のほうがもっと危険だ!!」
お前たちが語ることは、最強についてのことばかりだ。
では、最強の者の運命は何だと思う?
栄光、名声、影響力……
そのすべてが、儚い瞬間にすぎない……
本当に起こるのは、愛する者たちが一人、また一人と倒れていくのを見続け、最後には、倒れていったすべての者たちの夢を背負って、一人残されることだ。
降伏は裏切りだ。
痛みは習慣だ。
そして、野望は……
少しずつ……
色褪せて……
いく……
それでも……
たとえ時間が千回、彼のもとへと戻ったとしても、彼はそのたびに、なおも力を選ぶだろう……
勘違いするな、少年。
人類は、自らの意思で茨の道を歩むことを強いられてきた。
なぜなら、この茨の道とは異なる道々でお前を待っているものは、燃え盛る溶岩以外の何ものでもないからだ……
徐々に、お前は茨に慣れていく……
徐々に、お前はその痛みを味わうようになる……
そしていつか、それらが消えたなら、お前は真っ先に、それらを探し求める者となる……
狂っている!!
そうだろう?……
違う!
これは信条だ……
戦士の信条だ……
.............
魂が消え去ったとき……ハイヴェンに最後に残ったものは……
一つの記憶だった……
少年はゆっくりと……ゆっくりと……目を開ける。
その顔には、疲れ切ったような表情が浮かんでいた。
前を見る。
右を見る。
左を見る。
斜面は、一面草に覆われている。
立ち上がろうとする。
だが……できない。
全身を痛みが駆け巡り、頭の奥では激しい頭痛が脈打っている。
彼は自分の手を見下ろし、それから足へと視線を落とした。
そして、驚愕する。
手。
足。
身体。
巨大な鎖が、彼の身体全体を拘束していた。
その鎖は、地面にしっかりと固定された巨大な重りへと繋がっている。
だが、奇妙なことに……
彼は叫ばなかった。
恐怖も、狼狽も感じない。
驚きさえもない。
その代わり、彼の顔に浮かんでいたのは……困惑だった。
彼は身体を動かそうとする。
すると、鎖がさらに深く身体へ食い込んだ。
動こうとすればするほど痛みが増し、頭の中では頭痛が激しく脈打つ。
やがて、彼はため息をついた。
そして、困惑したまま自分自身に問いかける。
「なぜ、俺は拘束されている……?」
痛みに耐えながら、彼は苦労して頭を動かし、周囲を見回す。
右。
左。
そして……上まで。
濃い霧が、辺り一帯を覆っている。
激しい頭痛のせいで、彼自身の視界もぼやけていた。
それでも……彼は、かろうじて何かを捉えた。
遠くに、小さな影。
彼はさらに目を凝らす。
次第に、その正体がはっきりしてくる。
それは、遠くに立つ男の影だった。
その手には、一振りの剣が握られている。
彼はさらに目を見開く。
すると、いくつかの雲がゆっくりと流れ、視界が少しずつ晴れていく。
そしてついに……
目の前の光景が、完全にはっきりとした。
そこにいたのは、片膝をついた謎の男。
そして、その男の前には……一人の謎めいた剣士が立っている。
剣士は、剣を頭上高く振り上げていた。
片膝をついた男を、斬り殺そうとしている!
その瞬間……
なぜか……
ハイヴェンの心臓が激しく鼓動した。
目が限界まで見開かれる。
そして数秒間、彼は激しく息を喘がせ始めた。
まるで、呼吸することそのものが突然、途方もなく疲れる行為になったかのように。
痛みを無視し、自由の利かない身体を必死に動かそうとする。
だが、鎖はなおも彼を拘束し続けている。
叫ぼうとする。
だが……口からは一音たりとも出てこない。
それすらも……できない……
結局、彼にできるのは、心の中で叫ぶことだけだった。
「やめろ! やめろ!!」
剣士が素早く剣を振り下ろす。
片膝をついた男を斬り殺そうとしている!
そしてついに、剣が振り下ろされた瞬間――
ハイヴェンは、ようやく叫んだ。
「やめろ!!」
……
まるで、時間そのものが数秒間、停止したかのように……
……
そして一瞬。
彼の目は、眼窩から飛び出しそうなほど見開かれた……
身体を拘束していたものが、すべて消えている。
鎖は、まるで最初から存在していなかったかのように消え去っていた。
そして、なんと……
どこからともなく一本の剣まで、彼の手に現れていた!
だが、その瞬間。
彼の頭を占めていたのは、ただ一つ。
目の前に突きつけられた剣。
あと一瞬で――
その剣が、彼の頭を真っ二つにする!!
一瞬のうちに、いくつもの思考が頭の中を駆け巡る。
「今のほんの一瞬前まで、この攻撃は俺の頭を狙っていたんじゃなかったのか?!」
「何が起きている?!」
「いつ、あいつは消えた?!」
「そして、いつ俺があいつの代わりになった?!」
「いつ拘束が消えた?!」
「そして、いつ俺の手にこの剣が現れた?!」
だが、彼はすぐさま全ての疑問を振り払い、電光石火の速さで、辛うじて攻撃をかわした!
しかし、次の瞬間……
彼の瞳孔が突然、収縮する。
そして、心の中で叫んだ。
「フェイントだ!」
「くそっ! 罠だった!」
彼は即座に反応し、必死に身をかわそうとする。
辛うじて成功する。
だが……
攻撃が脇腹を捉えた。
彼は思う。
「くそっ! 完全には避けきれなかった!」
「しかも、バランスを崩している!」
「すぐに後退しなければ……」
その思考は、突然断ち切られた。
自分がバランスを崩したことで生じた隙を、敵が巧みに突いた。
そして、そのまま即座に次の攻撃へと繋げてきたのだ!
頭部へ一直線に迫る、直接攻撃!
ハイヴェンは、自分へ凄まじい速さで迫ってくる剣を見つめる。
このままでは、いつ頭を真っ二つにされてもおかしくない。
そう理解しながら、彼は自分自身に語りかける。
「直接攻撃!」
「くそっ!」
「追撃してくるとは思っていた。だが、こんなに速いとは!」
「こいつ……ものすごく強い!」
「今回は、生き残る望みがない。」
数秒の間、彼の目から光が消えていく。
まるで、その瞳そのものが底のない深淵へと変わってしまったかのように……
だが……
その瞬間……
まるで、時間そのものが一瞬だけ停止したかのように……
人間離れした速度で――
彼は驚異的な動きを繰り出した。
つま先だけで、かろうじて身体のバランスを保つ。
残された全ての力を込め、剣の柄を握り締める。
そして、狂ったような速度で剣を動かし――
敵の胸へと突き込む!
敵の剣が彼の頭を貫いた、そのまったく同じ瞬間に!
そして彼は、最後の言葉で自分自身を慰めた。
「少なくとも、一人では死ななかった……」
.............................................
ハイヴェンは地面へ倒れ込む。
そして、数秒後……
意識が少しずつ落ち着き始める。
だが、頭はなおも激しく脈打っていた。
彼はまだ困惑したまま、ゆっくりと目を開ける。
前を見る。
そこには、一人の少年が地面に倒れ、苦痛に身をよじりながら血を吐いていた!
ハイヴェンは衝撃を受けながら、心の中で叫ぶ。
「俺は生きている?!」
「なぜ?!」
「それに……あの地面に倒れている少年は、ほんの少し前に俺を殺した奴じゃないのか?!」
彼はすぐに頭へ手を当て、自分の顔に触れる。
そして、さらに考える。
「それに、なぜ俺の顔には血が流れている感覚がない?」
「あるのは……この頭の痛みだけだ。」
彼は周囲を見回し始める。
すると、装飾された柱が目に入った。
空を思わせる、ドーム状の天井。
そして、今起きた出来事に呆然とし、立ち尽くしている生徒たち。
そこでようやく、彼は気づいた。
自分は……訓練場にいる。
そして、自分の頭を打ったものは……
ただの木剣だったのだ!!
生徒たちの何人かが、ようやく呆然自失から我に返った。
そして、ハイヴェンの攻撃によって血を吐いている同級生のもとへ駆け寄る。
訓練官はすぐに決闘の中止を告げ、引き分けを宣言した。
そして、負傷した生徒のもとへ駆け寄る。
訓練官の手が、淡い青色のオーラを放つ。
その手を、負傷した生徒の胸へ当てる。
その手が……一瞬、止まった。
彼は衝撃を受けながら、自分自身に語りかける。
「肋骨が二本……!!」
「いや……」
「三本、折れている!!」
「もしバランスを崩していなかったら……」
「そして、剣が軌道からわずかに逸れていなかったら……」
「その剣は肋骨の一本を突き抜け、心臓を貫いていた。」
「この生徒は……今頃、死んでいた!!」
彼はゆっくりと手を離す。
そして顔を上げる。
その視線の先には、地面に転がった木剣。
その柄は、あの瞬間にハイヴェンが握り締めた力によって、完全に砕け散っている!
彼は数秒間、ただその剣を見つめた。
少しずつ、その表情が険しくなっていく。
彼が覚えているのは……あの最後の動きだけだった。
そして、困惑しながら自分自身に問いかける。
「本当に……」
「もし、あの瞬間、俺があの生徒の立場にいたら……」
「俺は本当に、あれを避けられただろうか?」
「それとも……」
「そもそも、あれを避ける方法など存在したのか?!」
その考えが頭をよぎった瞬間、全身に戦慄が走った。
負傷した生徒の命を案じての恐怖ではない。
あの壊れた剣の使い手――
その能力そのものに対する、純粋な恐怖だった!!
……
決闘が終わった後、訓練は一時的に中断された。
訓練官が負傷した生徒を速やかに医務室へ連れていくためだ。
休憩中。
ハイヴェンは訓練場の外で友人と座っていた。
やがて、二人は話し始める。
友人が心配そうな口調で尋ねる。
「どうしたんだ、ハイヴェン?」
「お前なら、あの攻撃くらい簡単に避けられただろ。」
「訓練中、それも特に決闘中に、お前が気を散らすなんて……らしくないぞ。」
ハイヴェンはかすかに笑った。
「心配するな。少し疲れていただけみたいだ。」
彼はわずかに目を細め、尋ねる。
「あの夢……」
「また見たんだろ?」
ハイヴェンは黙ったままだった……
友人は深く息を吸い、真剣な口調で話し始める。
「ハイヴェン……俺もお前も、あの人間離れした動きが、ただ木剣からの攻撃に反応しただけのものじゃないことを、よく分かっている。」
「あれは、お前の命に対する脅威への……本能的な反応だった!」
「最終試験まで、あと二か月もない。」
「敗者にどんな運命が待っているのか、お前もよく知っているはずだ。」
「そして、率直に言わせてもらう……」
「あの圧倒的な怒りを制御できないなら、お前は決してアルケトラを制御できるようにはならない!!」
ハイヴェンが遮る。
「アレス……」
「そのほうが、いいんじゃないか?」
「つまり、最終試験に落ちて、戦士の道に進めなくなる。」
「一族の中で普通の仕事に就いて、家庭を持つ。」
彼はしばらく黙った。
「そんなに悪い人生には思えない。」
「少なくとも、それなら……いつか俺が正気を失って、あの本能的な状態に入り、誰かを傷つける必要もない。」
アレスが口を開こうとする。
だが、ハイヴェンが遮った。
「さっきのあの少年……」
「あの一撃のせいで俺がバランスを崩していなかったら、今頃あいつは死者の中にいた。」
「アレス!」
「このまま選抜が続けば、最後にはお前が俺の相手になることは間違いない。」
「そのとき、お前に何かあったら……俺は一生、自分を許せない。」
アレスは数秒間、黙り込んだ。
少しずつ、その表情が険しくなる。
そして、穏やかな口調で話した。
「お前の言う通りだ……」
「戦士の道に進んだからといって、いつか正気を失い、あの本能的な状態に入らないという保証はない。」
「誰かを殺してしまうことだってあるかもしれない。」
「その代わり、お前が話しているような静かな人生なら……そのすべてから確かに逃れられるだろう。」
「だが……」
「お前は、本当にそれで満足なのか?!」
その瞬間、ハイヴェンの目が限界まで見開かれる。
アレスは恐ろしい眼差しで彼を見つめ、叫んだ。
「ハイヴェン!!」
「俺たちは、自らの意思とは無関係に生まれ、そして自らの意思とは無関係に死ぬ。」
「変えることのできない過去と、予測することのできない未来。」
「俺たちが持っているのは、人生――いや、俺たちの現在だけだ。」
「それを過去の悲しみと未来への恐怖で汚すのか……」
「それとも、どんな状況が立ちはだかろうとも、それでも前へ進むのか。」
「この世界で最も大きな喪失とは、後悔を抱えたまま死ぬことだ!!」
「今ここで退けば、お前は二度と自分自身を取り戻せない!!」
「死を何としてでも避けるために、身体が本能的に動き、あの狂ったような動きを繰り出す、その瞬間……」
「それは、静かな人生を生きるためじゃない。」
「無知なまま死ぬことを、拒んでいるんだ!!」
「ハイヴェン!!」
「そんな人生じゃ、俺は燃えない!!」
「周囲で何が起きているのか何も知らない、獣のような人生……」
「そんな人生に、生きる価値なんてない!!」
「お前は、あの圧倒的な怒りを制御できないんだろ?」
「それを呪いだと思うほどに?!」
「なら、抑え込め!」
「そして、俺たちが対峙する瞬間が来たら、そのすべてを俺にぶつけろ!」
「そうしたら、お前が降参を懇願するまで、その鼻を叩き潰してやると約束する!!!」
ハイヴェンは驚愕しながらアレスを見つめる。
そして一瞬、彼の目に強烈な光が宿った……
彼の中で、何かが動いた。
炎……
二度と消してはならないもの……
永遠に。




