表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
4章・朱霊+陶謙÷徐州=騒乱
268/268

〜徐州騒乱〜己の勝利を信じて

 曹嵩の介錯をし、その最期を見届けた張闓。


 その亡骸を大きな布で丁寧に包んでいく。


 張闓の部下達も曹一族の亡骸を大きな布で包んでいる。


 遺族である曹操に引き渡す為だ。


 契約金は既に受け取っているのだが、依頼主だった曹嵩が死んだ為にその遺族である曹操に契約の終了を報告せねばならなかった。


 亡骸を引き渡すのはアフターサービスの様なもの。


 本来なら地中深くに埋めてしまう。


 契約中、曹嵩との関係は良好であったし、色々と便宜を図って貰っていた。


 その礼のつもりなのだ。


 張闓は布で包んだ曹嵩の亡骸を担ぎ上げた。


 そこへ、



「クハッ!雇い主の首を落とす事になるたぁテメェも貧乏くじを引いたな」



 投降した并州兵の処遇を曹豹と赫萌に丸投げした陶謙が何とも言えない笑みを浮かべながら歩いてくる。



「そうは思わん。……だが、死ぬには早過ぎたのではとも感じている」



 陶謙に目を向ける事なく張闓は歩き出す。



「自分で死ぬ時を選べたんだ、悪くはねぇと思うがな」



 少し淋しそうに吐き出された陶謙の言葉。


 それを聞いた張闓は思わず足を止めた。



「……それは残された者が悲しむとしてもか?」


「ああ」



 張闓の問いに陶謙は頷いた。


 付き合いの長い気の合う酒呑み仲間を失ったのだ。


 多少の淋しさはあるだろう。


 その答えに何かを思案するように暫し俯いた後、



「そうか」



 と、短く返し張闓は再び歩き出した。


 死にたがりとして、陶謙の答えに張闓は何を思ったのであろうか。




 ☆☆☆




(さぁて、今回の事で現状を鑑みるに北の情勢は袁基・公孫度の連合が圧倒的に有利に見えるが、袁成に味方してる黒山の正確な数が分からねぇ。

 東海王の身柄はどっちが握ってる?袁基か?袁成か?

 事が済んだら志牙に判断を仰ぐか……)



 瑯琊の城の解放後、投降した并州兵から情報を引き出していた郝萌。


 一番欲しかったのは劉備に関する情報だったのだが、それは末端の兵には分からなかった様だ。



「おいキサマ」


「あん?」



 考え込んでいた郝萌に声が投げられ、その肩に手が置かれた。


 振り返った先にいたのは甘寧であった。



「あぁ、甘寧殿か。どうだったよ志牙が考案した新しい船は」


「船足は予想以上に速く、安定性も今までの船挺に比べると非常に高いな」


「みてぇだな。アンタらが南下してくるのが想定してたよりも随分と早かった。船足は倍以上はありそうだな」



 既存の船と朱霊が設計した船の性能差を頭に叩き込む郝萌。


 今回は事態が急な物だった事から、郝萌は朱霊の許可を得る事無く甘寧の水軍の『初の実戦投入』へと踏み切っていた。


 故にその情報の収集にも余念がない。


 無断で動かしたのであれば、動かしたなりの成果を見せる必要があるのだ。


 結果、甘寧の水軍は素晴らしい機動力を発揮。


 手薄になっていたとは言え、北海の奪取にまで成功していた。


 これ以上に無い戦果である。



「ま、甘寧殿には無茶振りして悪かったな」


「構わん。此度の件はそれだけ急を要する事でもあった。志牙もキサマを咎める様な真似はしないだろう」


「だと良いけどな」



 郝萌と甘寧が南西の方向へと視線を向ける。


 その視線の先の先のまた先で。


 曹操と雌雄を決するべく動いた朱霊を幻視していたーー。



 ☆☆☆




 陶謙や曹嵩、そして下邳の留守を預かっていた将達が南下して来た袁成軍を蹴散らしていた頃ーー。


 前代未聞の『空からの奇襲』を以て曹操の前に降り立った朱霊。


 それを覇王と称された少女は笑みを浮かべ迎え入れた。



「まさか空から来るなんて……。周瑜は一体どんな顔をして貴方をみていたのかしらね」



 ーー『朱霊をこの手で引き摺り落とすのも面白そうだと思っただけだよ』ーー


 そう語っていた周瑜。


 しかし、蓋を開けてみれば引きずり落とす事は疎か、どれだけ手を伸ばしても届き得ない遥か上空の彼方から飛来した朱霊をただ見上げる事しか出来なかっただろう。


 そんな周瑜の姿を思い浮かべたのか、曹操は随分と楽しそうである。



 ーー私の目に狂いは無かったーー



 覇王は北叟笑んだ。


 眼前に降り立った奸雄を前に笑みを浮かべる覇王だったが、彼女を支える臣下達はそれどころではなかった。


 想定していた中で一番最悪な状況。


 万全の状態の朱霊が曹操の前にいるーー。


 絶対に阻止しなければならなかったはずのソレ。


 だが、現実は無情だった。


 周瑜が広げた網も、軍師達が腐心して練り上げた作戦もこの奸雄の前では全てが無意味であった。


 そんな絶望的な状況の中で、



「すぅーっ、はぁぁ……」



 短く呼吸を整え、



「じゃあ、始めましょうか」



 己が得物を構えた曹操だけが自身の勝利を信じていたーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ