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旅の始まり-2

ブリッジの端中央にあったメインコンソールとおぼしき、機材へと二人で歩み寄る。

と、そのコンソールは生きているらしい。

ウィンドウがポップアップし動いている事を俺達に伝える。

チェックデータが流れていくのを暫く見つめていると、画面が止まり「ホームメニュー使用者を決定して下さい」と標示され、俺達は互いに顔を見合わせる。


「どういう事ですかね?」

「多分・・・コレは戦闘車両であると同時にプレイヤーホームも兼ねているんじゃないか?」


ヒカルに問われて、予想を伝える。


「プレイヤーホーム?・・・確かそれって・・・プレイヤーがゲーム内通貨を使って買えるプライベートスペースですよね?何故それが最初に取得出来たんでしょうか?」


ヒカルがいうのも最もな話だ。始めたらばかりの俺達が取得出来る物では無い筈である。


嫌な予感が脳裏をよぎる。


「AI!起動しているなら答えろ!!現在位置は何処だ?広域マップを開いて俺達がいる位置を示せ!!」


その予感に突き動かされて、知らず大声をあげて艦に付属しているであろうサポートAIに指示を出していた。


『メインAI起動済みです。広域マップを展開。現在位置をブルーで標示します。・・・尚、現在マスターとなっているプレイヤーは、初期配置位置とは違う場所に出現しています。初期配置位置をレッドカーソルで示します。」


標示された広域マップに出ている青マーカーを見ると、広域マップの端にあった。

そして、初期配置位置の赤いマーカーは・・・マップの中央から南へ下がった位置にあり、現在位置から遠く離れた位置にあることを示していた。


「えぇ・・・?つまりそのあの・・・えぇぇぇ?!」


どうやらヒカルは、内容理解した上で混乱したらしい。

分からないでも無い。初期配置位置ならばチュートリアル的な物があるだろうが、俺達にはそれが現状ない。それをやる為には初期配置位置へと自力で戻らなければならない訳だ。


しかし、レベルが1しか無い俺達には無謀といえる旅程なのだ。


「・・・レベル1でも初期配置位置へと帰還が可能とする為に、この陸上戦闘艦ランドバトルシップが取得になった?旅程の長さを鑑みて、ホーム設定が可能な物が選択された?」


口をいて出たのは、レベルと戦闘艦の関係とその使い方を示唆する推論である。


『マスターが口にされた推測を肯定します。』


AIに問う前に肯定され、頭を抱えたい気分になった。

が、それどころでは無い。初期配置位置である『始まりの町』にこの陸上戦闘艦を使って戻る以外にゲームその物を始める手段がこの陸上戦闘艦を使用して戻る選択肢が無いのだ。


「AI・・・サブマスターにプレイヤー「ヒカル」を登録。艦内にある共有スペース以外の設備及びコンソール類の使用を俺「ジン」と「ヒカル」のみに設定する様に。他の人員が追加された場合は俺達二人の承認での許可で解除とする。」


途中でプレイヤーを拾うという事がないとは言えない。更に言えばそのプレイヤーに悪意が無いとも言い切れないのだ。


「簡単にいうと、プレイヤーを何処かで拾ったが、そのプレイヤーが車両を持たない人物であったとしよう。・・・で、その人物がこの陸上戦闘艦を欲しいと思ったとするよな?」


ヒカルに向き直り、そう切り出し


「どういう手段が一番早いかな?」


とヒカルに問い掛けるとヒカルは


「私達がログインして居ない間に、船のコントロールを自分に書き換える?」


と返してくる。いつそういったプレイヤーに遭遇するかは分からない。しかし、そういったプレイヤーは俺達よりレベルが高いのは間違いない。しかし、労を少なくしてレベルの高い車両を獲るなら、乗っ取るが一番早い。

乗っ取ってしまえばホームメニューのマスター権限を使い、ホーム登録している人物を強制的に追い出す手段を使えるのだ。


この方法ならホーム登録している人物をPK する手間もないし、自分がPK 扱いされる事もなく安全かつ確実に強い車両を手に入れられる手段であるなら使わない者は居ないだろう。


ヒカルの答えに肯定しつつ、俺が考えた事を伝えると大いに納得してくれた様子で頷いていた。


「無闇やたらに人を疑いたくはない。

だが、ゲームだからどんな手段を使っても『犯罪』にはならないと考える奴等は確実にいるだろう。

更に言えば、車両が武器として使えるこのゲームにおいて、高性能な車両を獲る為なら手段は選ぶ必要はない『奪えば』良い。そう考える奴等は確実にいるとみて間違いないだろう。」


とヒカルへと告げる。

残酷な話だが、起きないとは決して言えない現実を口にする。


「そうだねぇ・・・顔が相手から見えなければ『罪』にならないってうそぶく人いるもんねぇ・・・」


そう呟いて、何処か遠くを見る表情になるヒカル。現実でそういった事があったのだろうか?








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