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NPCの町-5

決闘が終り、暫くして月影と星影が居なくなっていた事に気付いた。

二人もやや遅れてその事に気付いたのだが、3人で探そうかという話をしようとしていたら、二匹が揃って戻ってきた。

二匹が何をしに何処に行ってきたのかは、分からなかった。


二人は二匹を叱っていたのだが、通じているかは怪しい。

何故なら、二匹はゴロコロと喉を鳴らして二人に擦り寄っていたから。


擦り寄ってくる、二匹の様子に二人は叱ることを諦めたようで苦笑を浮かべて頭を撫でていた。猫化の動物になつかれて気分が悪くなる人間などそうそういないから、二人が苦笑を浮かべる気分も分からないではない。


一通り町を見て回れて、さてどうするか?と切り出す前に、ヒカルとイリスからふねに戻ると言われた。

俺もそうしようかと思ったのだが、二人から自分達が一緒にいたら、集められない情報がある場所に行って集めてきて欲しいと言われ、同行を止められた。


事実、二人をふねに送ってからそういった場所に情報を集めに行こうと考えていたのも事実で、二人には考えを読まれた格好だ。


此方は、苦笑を浮かべるだけに留めアニマル達へ顔を向けて、二人無事にふねに送り届けた後は艦内で待機する様に告げる。

一応、俺がアニマル主人ではある様だが俺自身アニマル達を同等の仲間と見ている意識が何処かにある。

それ故、5匹のアニマル達に強く命令出来ない気分がある。


アニマル達から返ってくる視線には、「1人で大丈夫か?」という意志が乗せられているのだが、俺はアニマル達に笑いかけながら心配するなと告げ、一匹ずつ頭を撫でるに留める。


それで、アニマル達も渋々納得しヒカルとイリス共にふねへと戻っていった。


それを見送り、俺は1人ストリートを歩く。

向かう先は、NPC達が集う路地裏の酒場。

表通りであるストリートの酒場では獲られない情報が其処にあるかは分からないが、無いと決めつけて行かないという選択肢は無い。

二人から、「自分達がいては集められない情報を集めてきて欲しい。」と言われた事が最大の理由だから。


NPCのソルジャー達が集う路地裏の酒場を探し歩く事数分。

ストリートから隠れる様に、しかし存在感ある佇まいの酒場を見付ける事が出来た。

が、そのまま入る事はせずにストリートの一角に陣取って其処から酒場を暫し観察する事にした。

理由は、人の出入りを窺う為である。

理由としては、出入りが多いか少ないかで酒場が情報交換の場として成立しているかが分かるからだ。


人の出入りが少なければ、その酒場は犯罪者が占領していて、情報の流出が統制されている可能性が大きい。

また、人の出入りが多いのなら情報交換が頻繁に為されていて、酒場内でただ話を聴いているだけでも、此方に有益な情報を獲られる可能性が大きいから。


そういった理由もあって、人の流れを邪魔しない一角に陣取って酒場を観察する事にしたのだ。


幾人かは、俺が酒場を観察している事に気付いた様だが、何かを言ってくる事はなくそのまま酒場へと入っていった。

無論、酒場の主人も俺が観察している事に気付いた様ではあるが、酒場の客を使って俺に何かを言ってくる事はなかった。


観察を続けること、1時間程が経過し人の出入りを一通り見終えると、観察していた場所から酒場へと向かい、歩を進める。



酒場内に入ると、一時喧騒が止むが何事も無かったかの様に再び喧騒に包まれる。

主人に、ツマミを注文し空いているカウンター席に座る。

酒場に飛び交う話は、様々でやれ何処其処でモンスターが出たとか、行商人トレーダーが護衛を探している。薬剤師が薬の材料になるなにがしを求めているといった話が酒場のそこかしこで飛び交っているのだ。


そういった話を聞くとなしに聴きながら、

注文の品を待つ。

やがて、注文のツマミが出来上がったらしく主人がそれをもって、俺の所へとやって来る。


「若いの・・・この酒場を見ていた様だが、欲しい情報が入るとは限らんぞ?」


開口一番そう告げられるが、俺自身それは分かっていた事だ。


「一度しか来ていない余所者が、有益な情報を手に入れられると考えてませんよ?」


そう主人へと言葉を返すと、主人はニヤリと笑い


「分かってんじゃねぇか!若いの。見た目より鉄火場潜ってるみてぇだな?」


と言葉を返してきたのだった。

無論、カウンター越しに俺の肩をバンバンと叩くオマケ付きで。


主人と数分言葉を交わしてみての感想だが、この町には顔役といえる集団があるとの事だが、この町に於いては、治安維持に貢献しているらしく、幾度もモンスターの襲来からこの町を防衛する。

盗みや人拐い、殺人等といった犯罪を取り締まる等、住人達から信頼されている様子。

最近では、俺達の様な「渡り人」絡みの犯罪も多く、彼ら集団も頭を悩ませているとの事だ。

その内容は?といえば、「渡り人」同士の決闘を行って車両を奪い、それを売り捌く。

町にモンスターを生きたまま連れてきて、町を壊す等をしている奴等がいるとの事。

ソイツらの構成を聞くと、ドロイドの3人組で車両持ちの「渡り人」に絡んで不利な決闘仕掛けるとの事だった・・・


それを聞いて、俺には思い当たる節がある。

何故なら、先程決闘を仕掛けてきた2人と逃走した1人がドロイドだったからだ。

決闘の内容も主人の話と合致する。


つまり、俺は知らずに町の治安維持を受持つ集団が抱える問題を解決していたらしい。


問題解決を黙っているのも、俺には問題無いのだが迷惑を掛けていたのは、赤の他人と言えど同じプレイヤーである。


個人的に放置しておくのも気分的によい物ではない。

そういった事もあり、俺は酒場の主人へその問題行動を起こしている3人組から決闘を仕掛けられた事。

仕掛けてきたソイツらの内、2人を返り討ちにした事。

残り1人は逃走を謀った事を伝える。


そうすると主人は、大声で笑いだし再び俺の肩をバンバンと叩いてきながら、よくやったと褒めてきたのだった。

そして、主人はこの話を集団に伝えて良いか聞いてきたので、断る理由もない俺はそれを了承する。


ただ、俺達は旅の途中でこの町へ流れ着いただけであり、ある程度時間を措いたら再び旅へ戻るので、この町に貢献は出来ないであろう事を伝える。


主人は、俺の言葉に頷き、問題は解決はしたが解決に関わった者達は、今後この町と関わる事は無いだろうと、集団へ伝える事を確約してくれた。


それが、終われば俺と主人は何気ない会話を交わす程度の関係へと戻り、俺は酒場内に飛び交う話に耳を傾け、必要な情報がないかに終始する事になったのである。



余談になるが、時間を掛けてしまった事で俺はヒカルとイリスから、在らぬ疑いを掛けられてしまい晴らす事は出来たのだが、替わりにこの町の有名な甘味処で高いデザートを奢らされる嵌めになった。

何気に理不尽では無かろうか?





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