NPCの町-3
【???side】
決闘が終った直後に離脱を試みた。
アイツは間違いなくプレイヤーだろう。
だが、このゲームの技能頼みで戦うプレイヤーでは断じてないのは確かだ。
ドロイドのプレイヤー二人を一撃で一刀両断するその技量は、凄まじいの一言に尽きる。
動き始めの拍子が全く掴めなかった。
身体の何処にも力が懸かっておらず、それでいて自然な構えを体現した剣士と言って良い。
何処であの様な技量を培ったのか、どの様な師に学んだのだろうか?
とてもではないが、アイツらが殺られた隙を突いて襲い掛かったとしても、あのプレイヤーを殺れるとは到底思えない。
剣を振り切った後の残心をみる限り、襲い掛かった段階で斬られている筈。
あのプレイヤーは、今まで死に戻りさせてきたプレイヤー達と違う種類の人間だ。
恐らく、後ろに庇った二人のプレイヤーと共に、「始まりの町」へ必ず辿り着く事を最優先にしている。
それを、邪魔するならどんな強力なプレイヤーであっても斬り臥せる覚悟を内に秘めている筈。
恐らく、リアルでも剣を振るなりして鍛練を欠かしていないのでは無かろうか?
でなければ、間違いなくあるレベル差を無視して敵を一刀両断出来るものではない。
その証拠に、俺にはあのプレイヤーのレベルが見えていた。
レベルの差は20はあったのは間違い無い。
私も含めて3人共々レベルは40あり、あのプレイヤーはレベル20なのは見て解っていた。
たが、あのプレイヤーが放った斬撃は技量頼みのプレイヤーが放つ斬撃よりも遥かに鋭過ぎるモノだった。
だからこそ、私は奴等をおいて逃げ出した。
恐らく、レベルだけならあのプレイヤーに勝っているだろう。
だが、個人的技量だけならあのプレイヤーには到底及ばない。
覚悟は遥かに劣っている。
私1人で、今後プレイヤーを襲う事は出来なくなるだろう。
死に戻りが怖くて、町中専門のPKをやって来たが、今後は出来なくなりそうだ。
ほとぼりを冷ます為にも今は逃げる事を選択しなければ。
充分、戦場になった所から離れただろう。
もう、安全だろうと思い速度を落とす。
ふと、何者かの気配を感じて周囲を見渡す。
建物の陰にその気配の主は居た!
あのプレイヤーが連れていた、バトルアニマルの黒豹が・・・
何故ここにコレが?どうやって私の後をつけてこれた?隠蔽技能を切っていない私をどうやって突き止めた?
何故?どうして?どうやって?
あのプレイヤーが指示を出したのか?
出した気配はなかった筈。
では、コイツの判断なのか?
逃げ切れるのか?逃げる隙を作れるのか?
あの黒豹は私に視線を留めたままだ。
下手に動く訳にはいかない。
どうにか、隙を作らなければ・・・
と考えていると、別の建物の陰からもう一匹いた黒豹がその姿を現した。
その二匹を目前にして、私は黒い絶望という物を感じた。
絶望の使者とは、この二匹なのであろうか?
動けない。
動けば死ぬ・・・逃げなければ!逃げなければ!逃げなければ!・・・
逃げな・・・けにゃ・・・
コレが自業自得というものだろうか?
二匹がPKプレイヤーの前にその姿を露にした時、そのPKプレイヤーは既にそのLPを全損させていたのだ。
二匹が装備していたのは、主人が装備している太刀と種類は同じ物。
高周波振動を刃に発生させて物体を切り裂くブレード。
それを、この二匹は装備していた。
この二匹は、主人に命じられたからこのPKプレイヤーを追ってきたのではない。
自身の判断で、このPKプレイヤーを追いかけ、今後表れるであろうプレイヤーの為にその刃を振るったのだろうか?
二匹は互いの顔を見合わせると、足音を立てることなくその場から、建物の陰へと翻り姿紛れ込ませ消え去る。
二匹の考えは、二匹しか解らない。
ただ言えるのは、この二匹は主人の忠実な「従者」ということであろう。
数分後、二匹の姿は主人と共に歩く女性プレイヤー二人の傍にあった。
大人しい大型の黒猫としか回りからは見えない程大人しく、気性も穏やかに見えるだろう。
陰から陰へと渡り、PKプレイヤーを容易く葬れるとは誰も思わないだろう。




