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第9章: 一つの空の下の二つの仮面

歳月は流れ、影はより深く、より鋭く研ぎ澄まされた。

かつての「救済」から数年。クロウとレイは、自らの異能を「凡庸」という仮面の裏に隠し、鉄木王立魔法学院の門を叩く。

神々すら視界を遮られ、魔王たちがその行方を追う中、当の「闇の主」は学生として静かに盤上を整え始める。

怪物二人が混じる、偽りの学園生活。その幕が今、静かに上がる。

鉄木の森の小屋 ― 朝の修行場


鉄木の森の上の朝日は、古のオークと囁く松の厚い樹冠を突き抜けようと奮闘する、青白く濾過されたものだった。


ヴェルグリス家の小屋の裏の切り開かれた草地では、空気は単に松葉と湿った土の香りを運ぶだけではなかった。鋭くオゾンの重いマナの香りでパチパチと鳴っていた。


ダルケンとリラ・ヴェルグリス――かつてその名が鉄木王国のギルドで敬意を集めた元A級冒険者――は開拓地の端に立っていた。


大陸で最も危険なダンジョンを生き抜いた年月によって鍛え上げられた目が、草地の中心にいる若い少女に固定されていた。


「火炎炸裂!」レイが叫んだ。


凝縮された熱の球が、差し伸べた掌から噴出し、流れ星の速度で距離を駆け抜けた。それは巨大な花崗岩の標的岩に直撃し、熔けた破片へと粉砕した。


一息も置かずに、彼女は翻り、足は芝生の上で軽やかだった。


「風刃!」


圧縮された空気の刃が空をヒスと切り裂き、訓練されていない目には不可視だが、きらめく航跡を残した。それは外科医のような精密さで二つ目の標的岩を二分した。


切り口はあまりにも滑らかで、岩の上半分はゆっくりと律動的な摩擦音と共に土台から滑り落ちた。


リラは手を打ち合わせ、真の微笑みが戦で鍛えられた顔立ちを和らげた。


「完璧な制御だわ、レイ。ここ数十年で見た中で最高よ。学院ですら、あなたの歳であれほどの安定性を習得した三年生はいないわ」


ダルケンは豪快な笑い声をあげ、手は背中に吊った大剣の柄に置かれていた。


「そんな腕前なら、レイ、お前はただ卒業するだけじゃ済まんぞ。いつか国々の基盤さえ揺るがすだろうよ!」


レイは柔らかく微笑んだ。表情は唇に触れたが、その目の奥深くまでは届かなかった。


視線はすぐさま開拓地の端へと移った。そこには一人の少年が胸の前で腕を組んで立っていた。


クロウ・ヴェルグリスは静止したままで、木々の影の中の静かな観察者だった。両親にとって、彼は静かで、おそらくはやや無気力な、刃よりも本を好む子供に見えた。


しかしレイはよく知っていた。彼女は彼の影核の十パーセントを体内に宿していた――彼が完全に静止しているときでさえ発する、押し潰すような無音の圧力を感知することを可能にする深淵の断片だ。


彼女は額の汗の玉を拭いながら、ゆっくりと彼の方へ歩いた。


「今日は修行しないの、クロウくん?」


クロウは首を振り、銀の髪がはぐれた一筋の陽射しを捕えた。「もう済んだ。お前が見てなかっただけだ」


レイはためらい、心臓が肋骨に打ちつけた。彼女は深淵の冷たい虚無を、彼の前世である石田清志を定義した黒い書の心理学の重みを思い出した。


彼女は知っていた。自分が元素魔法を練習している間、クロウはおそらく心の中で時間と影の織物そのものを操作し、何千もの異なる戦闘のシミュレーションを走らせているのだと。


「とにかく、クロウくん…」と彼女は囁き、両親に聞こえないよう声を潜めた。


「お願い…あなたに従わせて。修行だけじゃなくて、すべてのことにおいて」


クロウはいつもの判読不能な平静さで彼女を見た。紫の目は、周囲の光を呑み込むかのような虚無だった。


「お前はすでに従っている、レイ。俺がお前を闇から引き上げた日からずっとだ」


彼は立ち去ろうと向きを変えたが、立ち止まり、声は臨床的で鋭くなった。


「次からは全力を見せるな。溶け込め。呪文に苦労する学生のように振る舞え。他人が見ているときは、俺がやった力を忘れろ。煌めく星よりも、隠された資産としての方が、俺にとっては有用だ」


レイはまばたきし、かすかな、従順な微笑みが顔に現れた。「承知しました、主様」


---


嵐の目


その夜、鉄木の森は満月の冷たい銀色の光に浸されていた。クロウは独り、小屋の屋根の上に座り、木の屋根板が体重の下でかすかに軋んでいた。星々に向けて掌を掲げ、一瞬、自然界が息を止めたかのようだった。


崩壊した太陽のように小さく高密度な黒い球が、肌の数インチ上に浮かび始めた。それは光を放たなかった。それを消費した。


森の周囲のマナ――木々の生命力と風の精霊――が、無音で飢えた重力で球へと吸い込まれていった。


彼には感じ取れた。


それは転生以来彼が慣れてきた感覚だった。目の感覚。


それらは高い空から、魔族帝国の闇の鏡から、そして神界の神聖なる玉座から覗いていた。神々、魔王たち、宇宙的存在のすべてが、存在すべきでない運命の書の波紋を感じ取っていた。


「もう良い」とクロウは呟いた。


手を閉じると、球は音もなく砕けた。魂隠蔽の魔法の波が外へと波紋を広げた。それは神や魔族の占いに対して、彼の存在を透明に見せる受動的な心理防御だった。


彼はただ力を隠しているのではなかった。彼らの精神から、自分自身の概念そのものを消去していた。


---


魔族領土 ― 魔王たちの召集


紅の宮殿


魔族領土の奥深く、決して沈まぬ黒い太陽の圧迫的な熱の下で、召集が行われた。四体の魔王たちが、死せる神々の骨から削り出した紅の宮殿の中で、円を描いて立っていた。中央には、大魔王が黒曜石の高き玉座に座していた。


ぼろぼろの黒いマントに覆われた下級の手下が、床に跪き、体は恐怖に震えていた。


「少年を見張る視覚のリンクはすべて失われました、諸卿。虚空の鏡でさえ、ただ黒い呪われた砂嵐を映すのみ。まるで奴はもはやヴェルグリスの世界に存在していないかのようです」


東の魔王が咆哮し、声が広間の柱を揺るがした。「奴は我々の神の視力すら遮れると? たかが人間の子供が? 奴は何者なんだ?」


大魔王は血の色の目を見開き、冷徹な計算の表情を浮かべた。


「奴は人間以上だ。奴は何か死んで古きもののオーラを帯びている――おそらくは闇魔法の神ウムビャス自身の転生だ。スパイを鉄木王国に送り込め。奴らの学校、市場、影に至るまで。奴が我々を見つける前に、我々が奴を見つけねばならぬ」


---


神々の領域 ― エルミリアの玉座


光の繭


神々の領域、終わりなき白い雲と黄金の柱の世界で、世界の女神エルミリアは光の水盤の上に立っていた。水面の波紋がインクに変わり消え去るのを見守るにつれて、顔には稀な懸念が刻まれていた。


「彼はリンクを切断しました」と彼女は囁いた。「もはやいかなる神も彼を見ることはできません…均衡が深淵に向かって傾いています」


背後に立つ火の神が、冠の周りの太陽フレアのちらつきとして具現する怒りに震えた。


「召喚をより早く完了させねばなりません。闇の異端者が、抑制されずにヴェルグリスの世界を歩き回るのを許すわけにはまいりません」


エルミリアは頷き、宙に浮かぶ輝く繭へと手を伸ばした。内部では、現代の東京からの少年――リュウト――の魂が眠っていた。彼は光の英雄であり、闇の主への指定された対抗者だった。


彼女は神の手を広げ、星々のエッセンスを繭に注ぎ込んだ。


「英雄よ…これを受け取りなさい。審判の炎、天空の刃を。あなたはかつて彼の友でした、そして今、あなたは彼の審判者とならねばなりません。あなたはまもなく目覚めるでしょう、そして目覚めた時…あなたはあの影を滅ぼすのです」


---


クロウの家 ― 秘密の部屋


主の誕生


ヴェルグリス家に戻ったクロウは、幻影魔法の層で補強した地下室の秘密の部屋に座っていた。彼は黒い鏡――神々でさえ覗き込めないよう細工したレリック――の前に座っていた。


彼は闇の染料石、容姿の操作能力を高めるアーティファクトを手にした。


思考と共に、マナが湧き上がった。この世界での彼の血統の印である銀の髪が、深い黒曜石の黒へと滲んだ。この姿では、彼はもはやクロウ、冒険者たちの静かな息子ではなかった。


「この世界はチェス盤のようなものだ」と声が小さな部屋に響いた。十歳の体が許すより老成し冷笑的に響いた。

「そして最初の英雄と神々が棋士なら、俺は盤の背後にある影とならねばならない」


立ち上がり、黒い髪が冷たい紫の目の上に落ちた。

「主、影の達人…闇の主。今、始まる」


---


ヴェルグリス連合暦216年 ― 鉄木王立魔法学院 ― 数年後


王立魔法学院


首都ヴァレリオンは金色の石と白大理石の傑作であり、道路は商人や騎士たちで賑わっていた。


鉄木王立魔法学院の門で、二人の転入生が群衆の中に立っていた。


クロウは銀の髪に戻し、物腰は静かでほとんど内気だった。傍らで、レイは学院の黒い制服を着て、目は優しく微笑みは親切だった。彼らは田舎から来た二人のありふれた幼なじみのように見えた。あらゆる点で取るに足らない者たちだ。


「私たち、これから幼なじみね、クロウ様?」とレイは囁いた。背後では荷物が音もなく転がっていた。

「覚えておいて…優しく、平均的な少年を演じるのよ」


クロウは静かに頷き、目で中庭を走査し、臨床的な効率性で周囲の学生たちの力量レベルを見極めていた。


「そして従者は、大陸を粉砕する力を秘めているようには振る舞わないことだ」


背後で、ダルケンとリラは目に涙を浮かべて手を振り、普通の子供たちを誇りに思っていた。クロウとレイは手を振り返した。孝行の完璧な絵姿だった。


そして、彼らは門の内側へと足を踏み入れた。

こうして、二体の怪物が人間の広間に入った。世界がまだ見る準備のできていない、完全に平均的な仮面の背後に隠れて。


---


✦ つづく…

第9章を読んでいただき、ありがとうございます!

ついに学園編がスタートしました!最強の二人が「平凡な学生」を演じるという、いわゆる「能ある鷹は爪を隠す」展開にワクワクしていただけたでしょうか。

神々の切り札である「光の英雄」リュウトの覚醒も気になるところです。かつての友との再会が、血で血を洗う戦いになるのか、それとも……。

「学園編の無双が楽しみ!」「レイの忠誠心がたまらない!」と思っていただけたら、ぜひ下の**「★」評価やブックマーク**で応援をお願いします!

次回、学院での実力測定。隠しきれない王者の片鱗。

第10章も、どうぞお見逃しなく!

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