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第4章: 鎖の下の少女

深淵から救い出された少女、レイ。

彼女に向けられるクロ(Kuro)の言葉は冷徹そのもの。しかし、その影には誰にも知られてはならない「力」の受け渡しがあった。

闇の主の断片を宿した少女。そして、二人の平穏な日常を冷笑するように見つめる赤い瞳――。運命の鎖は、さらにきつく締め付けられていく。

朝 ― 鉄木王国人間領土外の森


その朝、鉄木王国の外に広がる森の空気は、欺瞞めいた性質を帯びていた。湿った土と熟れゆく野生の果実の香りで重くなった大気は、夜明けの最初の光が厚い樹冠を通して濾過されるにつれて、和らいでいくようだった。


節くれだった枝々からは小鳥がさえずり、苔むした地面に落ち葉がかさこそと落ちる音だけが、静寂を破ることを敢えてする唯一の音だった。


レイの目はゆっくりと震えながら開かれた。視界は金色がかった光でぼやけていた。彼女は柔らかな苔の寝床の上に横たわり、厚手の旅用の毛布で保護されていることに気づいた。


感覚が戻るにつれて、森の香りは、一時的に錆と古い鉄の幻臭に圧倒された。


記憶が、ぎざぎざの痛みを伴う断片となって戻ってきた。重く冷たい鎖の重み。


時間が意味を持たない虚無に浮かんでいた感覚。赤と紫のルーンの苦悶の脈動。


そして、その絶対の深淵を通して差し伸べられた手の記憶――不可能を粉砕した手。


彼女は首を右に向けた。首はこわばっていた。クロウがそこにいた。洞窟の入り口に静かに座っていた。


彼は完全にまっすぐに座り、銀の髪は朝日を受け、目は不自然に近い静けさで地平線に固定されていた。


「あなたが…私を救ったの?」と彼女は囁き、声は壊れやすいものだった。


クロウは振り向かなかった。視線は遠くの木々に向けられたままだった。


「お前は使えるかもしれないと思った」と彼は答えた。声は救世主に期待されるかもしれない温かみを欠いていた。それは建築家が新しい材料を評価する臨床的な口調だった。


レイはまばたきし、混乱のちらつきが顔を横切った。「変わったお礼の言い方だね…」


ついに、クロウの目が彼女に移った。その虹彩の深い紫は、八歳という年齢をはるかに超えた重みを宿しているかのようだった。


「感謝は不要だ」と彼は淡々と述べた。「俺には必要ない。ただ、邪魔をするな」


レイはひるまなかった。代わりに、柔らかく疲れた微笑みが彼女の唇に触れた。


「あなたは変わり者だけど」と彼女は静かに言った、「悪人じゃないね」


その日の午後遅く、二人は森の外れに到着した。そこには頑丈な木の家が、ヴァレリオンの詮索の目から隔絶されて建っていた。


レイはわずかに足を引きずって歩き、古い大きな服をまとい、銀の髪は簡単な布で後ろに結んでいた。


クロウの両親であり、元A級冒険者であるダルケンとリラ・ヴェルグリスが待っていた。


息子がぼろぼろの無言の少女と近づいてくるのを見たとき、彼らの表情は安堵から深い驚きへと変わった。


「お友達かい、クロウ?」とリラは、母としての心配を声に滲ませて尋ねた。


クロウは森に見せるのと同じ無表情でうなずいた。「彼女の名はレイ。当面ここに滞在する」


広く純粋な笑みがダルケンの顔に広がった。「おお、うちの息子にもついに友達ができたか!」


彼は古参の鋭い目でレイを観察し、彼女に家がないことと、その目に残る影に気づき、ゆっくりと理解のあるうなずきを見せた。


リラはそれ以上の説明を待たなかった。彼女は前に出て、そっとレイを抱きしめた。少女は凍りついた。こんな一方的な温かさに彼女の体は慣れていなかった。リラは彼女を中に導き、温かい濃いスープの入った椀を彼女の手に握らせた。


レイは椀から立ち上る湯気を見下ろした。「私…一度も…」


彼女は言葉を止め、目はあふれそうな涙で輝いていた。「ありがとう、ございます」


その夕方いっぱい、精霊灯の輝きに照らされた木のテーブルを囲んで座る間、レイは呆然とした沈黙の中で食事をした。彼女のそばで、クロウは無関心の彫像のままだった。


彼は彼女に何も言わず、慰めも提供しなかった。それでも、彼が彼女に出て行くべきだと示唆したことは一度もなかった。彼の二度目の人生で初めて、彼のプロジェクトには心臓の鼓動があった。


それからの日々、ヴェルグリス家の家庭的な生活は、クロウが禁断の術を修行する秘密の洞窟の冷たい現実と釣り合いが取られていた。


ある晩、クロウは複雑で輝く魔法陣の中心に立っていた。レイは彼の向かい側に立ち、呼吸は鍛錨されており、目は新たに見出した目的で鋭かった。


「お前は力が欲しいと言った」とクロウは言い、洞窟の中の影が彼の言葉に合わせて長く伸びるかのようだった。


「もっと強くなりたい」とレイは固い声で答えた。「理由はわからない、でも必要だと感じるの」


クロウは手を上げた。闇の魔法が油のような煙のように彼に絡みつき始めた――濃密で、息苦しく、絶対的。


これは彼が深淵から持ち帰った力、彼の魂を鍛え上げた憎悪と心理的圧力の具現だった。


「俺のものの一部をお前にやる」とクロウは警告した。「死ぬなよ」


彼は二本の指を自分の胸に当てた、影核の刻印のすぐ上だ。


「転移 ― 影核 ― 十パーセント」


反応は即座だった。洞窟は、まるで地殻プレートが動いたかのように震えた。黒曜石のエネルギーの波が空気を裂き、物理的な打撃の力でレイを襲った。彼女は頭を後ろに投げ出し、静脈が激しい紫に輝き始めるにつれて、本能的な叫びが喉から引き裂かれた。


影が局地的なハリケーンのように彼女の周りで渦巻き、彼女の精神を引き裂こうと脅かした。


クロウは片腕で顔をかばい、一歩後退した。強すぎる、と彼は思った。彼女の精神が持つはずがない…


しかしレイは倒れなかった。鼻から血が滴り始めてさえ、彼女は無理やり立ち続けた。両手はぼやけるほどの激しさで震えたが、彼女はそれを握り拳にした。


「私…できる…」と彼女は喘いだ。


最後の粉砕するような叫びと共に、彼女は膝をついたが、混沌としたエネルギーが突然静かになった。それは消えたのではなかった。固定されたのだ。彼女の体は移植を受け入れたのだった。


続いた静寂は重かった。


「俺は彼女に与えすぎたのか?」とクロウは自分に囁き、声には実際に疑念の色が滲んでいた。


「あの十パーセントは…一国を滅ぼすに足る」


彼はゆっくりと彼女の方へ歩いた。レイは顔を上げたが、表情は驚愕していた。彼女の目はもはや単なる紫ではなかった。それらは周囲の光を呑み込むかのような深い黒曜石の輝きで輝いていた。


「クロウ…」と彼女は囁いた。「…ありがとう」


クロウは彼女を見下ろし、頭の中で計算を巡らせた。彼女が適応できるはずがなかった、と彼は悟った。彼女は見かけ以上の存在だ。今や彼女の中には、ヴェルグリスのまさに神々に匹敵する力が宿っていた。


その夜遅く、レイは自分たちの部屋の奥にある大きな暖炉のそばに座り、両腕を膝にきつく巻き付けていた。薪のぱちぱちという音が家の中の唯一の音だった。


クロウは彼女の後ろの影に立ち、火の光が彼女の顔に揺らめく様子を見つめていた。


「自分の過去はあまり覚えてないの…」とレイは振り返らずに静かに言った。「でも…何かが私を追いかけている気がするの」


クロウは沈黙したままだったが、表情は読めなかった。


「でもあなたと一緒にいると、心が落ち着くの」と彼女は続けた。「あなたは優しいと思う、笑わなくても」


クロウは窓越しに冷たく遠い星々を見上げた。彼は地上での生涯を考えた、彼を空洞にした暗黒心理学と、彼が解体しようとしているこの世界を。


お前は俺について何も知らない、と彼は思った。お前は、俺がお前を利用するために救ったことを知らない。お前は、俺が破壊する世界について知らない。


そしてそれでも、彼の最初の人生の論理と二番目の使命にもかかわらず、彼は立ち去らなかった。彼は部屋の影に留まった、今や彼の魂の一部を運ぶ少女によって、錨を下ろされて。


---


数百マイル離れた、東の魔王の要塞のぎざぎざした影の中で、異なる種類の夜警が行われていた。


水の鏡の前に人影が立っていた。それは長い銀の髪と、グロテスクに縫い合わされた口を持つ半魔人だった。


彼は暖炉の場面――少女と少年――を見つめ、傷跡の下に暗くぎざぎざの笑みが浮かんだ。


「よろしい…彼女がもっと彼に近づくがいい」と人影は伝えているようだった。目は消え入りそうな残り火のように赤く。


「時が来たら、私が彼女の魂に埋め込んだ鎖がきつく締まる。そうすれば…」


彼は鏡に近づき、その存在感が水を凍てつかせた。「自らを主と呼ぶあの少年でさえ、もはやそれを止めることはできぬだろう」


---


✦ つづく…

第4章を読んでいただき、ありがとうございます!

ついにクロの力の10%を手にしたレイ。ですが、その背後には不穏な影が迫っています。彼女の魂に埋め込まれた「鎖」とは一体何なのか……?

この不気味な予感とダークな展開にワクワクしていただけたら、ぜひ下の**「★」評価やブックマーク**をお願いします!皆様の応援が、私の執筆の原動力です。

次回、鉄木王国を揺るがす「ある事件」が。二人の絆が試される時が来ます。

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