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第11章: 時の瞬間

凍てつく夜、闇のロードが指を鳴らす。それは、世界の理が崩壊し、神々がその傲慢を知る合図。

圧倒的な深淵のマナが、現実の織物を切り裂き、聖域へと侵攻する。四大元素の神々ですら、彼の前では無力な影に過ぎない。

「俺の法則に従え」。

運命の時計が逆回転を始める時、世界は真の恐怖を刻み込む。

夜 ― 王都の外


ヴァレリオンの上の空気は、研がれた刃だった――薄く、凍てつき、肺から血を引き出すほど鋭かった。


上空では、月は砕けた幽霊であり、インクのように空を横切る雲の息苦しい覆いを突き抜けようと奮闘していた。首都の曲がりくねった路地の奥深くでは、世界は木炭と黒曜石の濃淡へと還元されていた。


二人の影がこの闇を通り抜けた。物理的な存在としてではなく、夜の織物の中の波紋として。


主とレイは、乏しい光を呑み込む重い黒いマントをまとっていた。仮面、無貌の陶器の一致した顔貌が表情を隠し、ただ目だけが意思を通わせることを許していた。


主の目は強烈な、計算された菫色で燃えていた――自然界には見られない周波数で振動するかのような色合い。

傍らで、レイは致命的な優雅さの典型だった。


学院の昼食時に笑う陽気な少女の姿は消えていた。その代わりにいたのは影の従者、深淵によって鍛え上げられた武器だった。集中力はあまりにも絶対的で、呼吸は主のものと完璧に同調していた。主と従者の間の律動的な綱だった。


「悪魔ギルドのネットワークは、この都市の骨髄に深く食い込んだ腐敗だ」と主は囁いた。声は臨床的で、正義の熱を欠いていた。彼にとって、これは聖戦ではなかった。清掃だった。


「奴らは鉄木王の法の死角で活動している。レイ、結節点を見つけろ。この都市の皮を剥ぎ、腐敗がどれほど深く進んでいるか正確に突き止めるんだ」


レイは頭を下げ、動作は鋭く鍛錬されていた。「承知しました、主様。真実と共に戻ります。さもなくば奴らの首と共に」


返事を待たなかった。影の中に溶け去り、出立はあまりにも静かで、降る雪さえ空中で揺らがなかった。


主は一瞬独り立ち、感覚を拡張した。都市が呼吸するのを感じ取れた――チェス盤がまさにひっくり返されようとしていることに気づかない、何千もの魂の狂乱的で不規則な脈拍。


大気の緊張は物理的な重みであり、不可視の力の振動だった。


「目が多すぎる」と主は呟き、視線を星々の隠れた天へと漂わせた。


「力が多すぎる。その重みを理解せぬ者たちに浪費されている」


主は歩いた。移動に魔法は使わず、霜に噛まれた土の上でのブーツの律動的な crunch を好んだ。


市壁のはるか遠く、王国衛兵の巡回ルートと文明の安全な境界を越えて移動した。歴史が忘れ去ろうとした場所に到着した。古の要塞だ。


石壁はモノリシックで、忘れられた巨人の古の肋骨が大地からそそり立っていた。男の腕ほどの太さの蔓が石造りを窒息させ、ここの空気は単に冷たく感じられるだけではなかった――古く感じられた。闇魔法の神ウムビャスの共鳴でブンブンと鳴り、主の魂が恐ろしい親密さで認識する周波数だった。


中央広間に入った。ひび割れた天井を通して濾過される青白い光の柱の中で、塵の微粒子が踊っていた。広間の中央には、ぎざぎざした暗い石の玉座――影の玉座――が座していた。沈黙し、何世紀もの浸食に触れられずにいた。


主は高座に上り、座した。指が冷たい石の肘掛けに巻き付き、目を閉じた。内部では、闇のマナの海が渦巻き始めた。それはこの世界の元素マナではなかった。地上での死の間に航海した深淵から引き出された、原初の何かだった。


「十パーセント」と彼は囁いた。


言葉は命令だった。石に掌を押し付け、要塞が呻いた。地底の鐘のように深く共鳴する魔法の脈動が、核から放射された。


それから、指を鳴らした。


閃光。


世界はただ爆発しただけではなかった。砕け散った。純粋な心理的圧力の菫黒の奔流である闇のエネルギーが、要塞から噴出した。


それは熱の物理的な爆風ではなく、現実の織物そのものを貫く概念的な衝撃波だった。空気は、一度に千の鏡が割れる音でひび割れた。


要塞の下の地面はぎざぎざした裂け目に割れ、数マイルにわたって、ヴェルグリスの驚異的な世界は継ぎ目で引き裂かれるかのようだった。


宇宙の最も硬い法則である時間が、よろめいた。爆発は消散しなかった。空中に掛かったままだった。破壊の凍った花。


---


神々の領域 ― 衝撃波


雲のはるか上空、永遠の光と黄金の柱の次元で、領域の神々が天空の玉座に座していた。中心には世界の女神エルミリア、髪は超新星のように輝いていた。周囲には四体の元素の神々。火のイグニル、水のマリス、地のテラニス、風のシルファー。


指鳴らしが起こった瞬間、神の領域は震えた。黄金の柱々が呻き、下界を映す鏡である天空の広間の床は、ひび割れ始めた。エルミリアは立ち上がり、恐怖に境を接する衝撃で目を見開いた。


「何だ!?」イグニルが吠え、炎のたてがみは激しくちらついた。「世界が…裂けている!」


「魔法の嵐が宇宙を駆け巡っております」とシルファーが震え声で付け加えた。「魔族の力でも、人間の力でもありませぬ。それは…我々がかつて知ったどんな力も凌駕しております」


神々は領域を安定させようとしたが、圧力は絶対的だった。それは霊にかかる重み、自らの神性の無意味さを感じさせる暗黒心理学だった。


「奴はもはや単に定命の者たちを脅かしているのではありませぬ!」と神の一人が声を張り裂けさせて叫んだ。「奴は秩序そのものを脅かしているのです!」


エルミリアは沈黙を守り、下界の菫色の裂け目に視線を固定した。彼女はそのオーラに見覚えがあった。一世紀前に戦った闇魔法の神ではなかった。


それは新たな何か――神なき世界の論理によって鍛え上げられた人間の魂だった。鋭い仕草で、目を閉じ、乱れの源を自らの領域へと引き込んだ。


世界が変わる中、主はひるまなかった。ある瞬間には石の玉座にいた。次の瞬間には、無限の光の虚空に浮かんでいた。


玉座は彼と共に来て、虚無の深淵へと落ちていったが、彼はその上に座したままで、姿勢は精密で静かだった。


突然、恐るべき深い笑いが唇から漏れた。喜びの笑いではなく、臨床的な観察の笑いだった。


「ふむ…不可能だ。もう彼らは理解していると期待していたのだが」


現れる前に感じ取った。四体の小さな神的な人影が周囲に物質化し、体は元素の憤怒で包まれていた。彼らはここに彼を転移させ、神の領域の優位を握っていると考えていた。


火の神イグニルが手を上げ、太陽のように明るい炎の柱を召喚した。マリスは地平線を覆う津波を呼び寄せた。


テラニスは彼を押し潰す天空の石の山々を隆起させ、シルファーは真空の刃の嵐を解き放った。


しかし力は決して玉座に届かなかった。主の闇はそれらと戦わなかった。それらを呑み込んだ。炎は触れる前に灰と化した。水は影へと蒸発した。石は塵へと崩れた。


「神々よ…」主の声は虚空全体を満たす囁きだった。「お前たちの自然法則が、俺に適用されると、本気で信じたのか?」


神々は再び攻撃した。今や必死だった。「貴様は魔族だ! この世界を滅ぼすために生まれた厄災だ!」とテラニスは咆哮した。


「貴様のような異端者が息をするのを、神が許すと思うな!」とイグニルは叫んだ。


主の目は冷たく捕食者的な怒りで燃え上がった。「俺は闇…お前たちの光と光の間にある虚空。俺は、お前たち神が己の輝きに目を眩まされているが故に見えないものだ」


手首の何気ない一振りで、闇が拡大した。それは爆風ではなく、消去だった。


一体ずつ、四体の元素の神々は影に包まれた。光は消え、声は、まるで決して存在しなかったかのように掻き消えた。彼らは虚空へと消え去り、本質は主の内なる深淵に消費された。


神の領域は、死のように感じられる絶対的な静寂に落ちた。


エルミリアだけが残った。彼の前に立ち、静かで動じなかったが、両手はきつく握りしめられていた。


「ふむ…どうやら私だけが残ったようね。教えて、主…これが最初からのあなたの計画だったの? 私たちがどれほど脆いかを見せつけることが?」


主は彼女を見つめ、菫色の目が彼女の目を貫いた。


「ずいぶんと俺をご存知のようだ、女神エルミリア」


玉座を背に向け、口調は氷へと変わった。


「二度と俺に干渉するな、女神よ。もし俺の手を導こうなどと試みれば、部下以上を破壊するぞ。貴様の記憶そのものを破壊する」


「二度と?」エルミリアは息を呑んだ。目が見開かれ、気づきが襲った――知るはずのなかった時間線の記憶。


「ありえない! あなた…以前にもこれを!」


彼女は彼の視線を受け止めたが、言葉は喉で死んだ。もはや怒りは残っておらず、ただ深遠な虚ろな理解だけがあった。今や彼の中の闇を知っていた――それは単なる力ではなかった。それは存在そのものへの怨恨だった。


主が手を上げ、神の領域は最後にもう一度震えた。転移し、マナ放出の緊張を感じて手首をこすった。空間へと戻り、天国の廃墟に女神を独り立ち尽くさせた。


玉座のある空間に戻り、主は玉座の前に立った。深く息を吸い、目の菫色の光が薄れた。


「出でよ、クロナエル。死の時計」


背後で、巨大な機械仕掛けの時計の文字盤が物質化した。移ろう影と骨の歯車から鍛造され、ローマ数字はかすかな幽かな光で輝いていた。針は、苦悶するほど遅い機械的なカチカチという音と共に動いた。


カチ…カチ…カチ…


主は手を伸ばして空気を掴み、不可視のダイヤルを回した。第十一の針――時渡りの針――に集中した。


「まだ世界を破壊してはいない」と彼は囁いた。「終局の時はまだだ」


時計の針は逆回転し始めた。大地のぎざぎざした亀裂はジッと閉じた。要塞の瓦礫は所定の位置へと飛び戻った。菫色の衝撃波は主の掌へと吸い戻された。


時間が逆転し、指鳴らしの前の正確な瞬間へと戻るにつれて、世界は集合的な息を吸った。主は息を吐き出し、力は休眠状態の一パーセントへと戻った。再び、ただのクロウ・ヴェルグリス、"完全に平均的な"人物になった。


しかし結果は残った。神の領域で、一般の神々は今や人間の中に何が住むかを知った。自らの死を覚えていた。彼の目の冷たい虚無を覚えていた。


ヴェルグリスの世界は日常を続けたが、表面下では、闇の主が再び指を鳴らすのを、息を潜めて待っていた。


---


✦ つづく…

第11章を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

まさかの神々を圧倒し、さらに「時間逆行」で何事もなかったかのように日常に戻る……。クロウ(主)の計り知れない実力と、冷徹な戦略が光った章でした。

「神様たちが不憫すぎる!」「クロナエルの時計が格好いい!」と感じていただけたら、ぜひ下の**「★」評価やブックマーク**をいただけると嬉しいです!

次回、刻まれた恐怖を抱える神々と、何も知らぬ人間たち。

学園生活の裏で、闇の勢力が本格的に胎動を始めます。

第12章も、どうぞご期待ください!

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