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転生少女は欲深い  作者: 白波ハクア
少女学園編
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第27話 不穏な空気

第二章『少女学園編』始まりです

あとがきにお知らせを書いています

「えっと、私の名前は……」


 張り出されたクラス表から私の名前を探す。

 生徒数が多いせいで沢山のクラスがあって、中々自分の名前が見つからない。


「あ、あった!」


 カタカナで『ナンジョウカガミ』という名前を見つけた。

 どうやら私は特生クラスに入るらしい。名前からして嫌な予感しかしないけど、気のせいだろうと無理矢理思ってこれ以上は考えないようにした。


 教員から学園案内図を貰って、校内を歩く。

 中には同じ新入生が歩き回っていて、ごちゃごちゃしていた。肩とかぶつかったら、どこぞのヤンキーのように絡まれるかもしれない。そうじゃなくても私はエリスのことで悪目立ちしてしまっている。だから、間違ってぶつからないように気を張って廊下を進む。


 なんで廊下を歩くだけでこんなに警戒しなければならないんだ。と内心愚痴りながら、ようやく私は特生クラスの教室に辿り着いた。


「すぅ、はぁ……」


 扉の前で立ち止まり、深呼吸をする。

 この扉の向こうにいるのは、これから三年間共に過ごすであろうクラスメイトだ。


 前世では学校に行けなかった。

 そんな私にとって、学校は憧れの場所だ。それを今私は体験しようとしている。

 エリスと離れるのは寂しいけど、ガイおじさんのおかげで私の夢が叶う。そう思うと感謝していいんだろうけど……だからってこんなやばい学校に通わせるのはないわ。もう少し下の学校あったでしょ。


 私知っているよ。この王都には若い冒険者用の学校があるってことを。

 なんでそっちにしなかったの? ってガイおじさんに文句を言ったら「お前くらいの規格外な奴を普通の学校に通わせられる訳ねぇだろうが」と酷いことを言われた。この野郎殴ってやろうかと思ったけど、流石に王様だから我慢した。

 その代わりエリスに沢山慰めて貰ったから、その場は許した。


「──よしっ!」


 パチンッと頬を叩き、気合いを入れる。

 そして扉に手をかけ、開く。


「──ヒュゴ」


 私の中から何かが飛び出た。


 そうなるくらいの目線が私に注がれた。


 人はよく質より量だと言うことがある。でも私は、断じてそれは間違っていると主張したい。

 質より量? 逆だ。どんなに数が集まったところで、たった数人の圧倒的な質には勝てない。絶対にだ。


 興味や期待、嫉妬、羨望。様々な感情が混ざり合って気持ち悪い。

 こんなクラスで三年間を過ごすの? え、本当に? 無理じゃない?


 ──エリス、エリスは何処? エリスぅ。


「っと、ダメダメ……しっかりしないと」


 と言っているけど、なるべく下を向いて適当な席に座る。なるべく隅の方に。

 この学園が自由席でよかった。真ん中の席を指定されていたら、精神的にやばかったかもしれない。


 早速エリス依存症になっているけど、発作を起こさなかっただけ頑張ったと思う。


「頑張るよ、エリス……」


 左に差してある純白の剣を撫でる。そうすればエリスが近くで見守ってくれているような気がする。

 だから、まだ私は────


「隣、よろしいでしょうか?」


 ごめん。もう無理かもしれない。


「は、はい……どうぞ……」


「ありがとうございます」


 隣で誰かが座る音がする。

 それと同時にアロマのいい匂いが鼻腔をくすぐった。


 教室の中がざわめいたことに、私は気付けなかった。そんな余裕がなかっただけとも言う。


 ……気まずい。

 絶対どこかのお嬢様だ。私が話しかけたら、何を言われるかわからない。


『下民が私に話しかけないでいただけますか?』


 ──胃がストレスで死にそう。うおぇ。


「あなたはどうしてこの学園に……?」


「えっと、とある人に推薦させられて。いきなり入れって言われちゃって……」


「そうなのですか……まぁ、そうでしょうね。ただの平民が、実力だけで特生クラスに入るのはあり得ませんからね」


「──へ?」


 私は一瞬、何を言われたのかわからなかった。

 驚いて隣の人を見ると、その人は明らかにこちらを馬鹿にしたように笑っていた。微笑むとかではなく、口元を吊り上げた気味の悪い笑顔。

 きっとこの時の私は、とても呆けてた顔をしていたんだろう。それだけ信じられないことを言われた気がした。


「あら? 聞こえなかったのかしら? やはり、育ちの悪い平民は耳も悪いのでしょうか?」


 ──クスクスッ。と周りから嘲りの笑いが漏れ出る。

 その対象は勿論、私だ。


「ここは選ばれた者だけが集うクラスですのよ? それなのにズルをして這い上がって来るなんて……汚らわしい。推薦とは一体誰のコネを──ああ、あの王国騎士隊長様ですか」


「(──ピクッ)」


「どのようにしてあのお方に擦り寄ったのでしょうかねぇ……」


「きっと、平民らしく尻尾でも振ったのでしょう」


「まぁ! それはお似合いですわ。実に汚らしい」


「エリス様も可哀想に……」


 気がつくと、私の周りには人が増えていた。

 隣に座っている人を含めて三人だ。

 その三人が右と正面から私を逃がさないように囲んでいる。隅っこに座ったのが間違いだった。


「ええ、本当に。平民に騙されるなんて……あの方も見る目がないのでしょうか?」


「そういえば。あの方も平民の出だとか」


「あらあら。それでは、同じ平民の情でも湧いたのでしょうか?」


「人の情に付け入るなんて……酷いお方ですわね」


「でも、エリス様もエリス様です。……やはり、平民同士惹かれ合うものなのでしょうか?」


 彼女達は好き勝手に喋る。


「エリス様も所詮は平民ということでしょう。騎士の座に着く時も──陛下に尻尾を振っていたのではないですか?」


 ──プツン。

 私の中で、何かが切れた。

 我慢しようと必死になっていた黒い感情が、止めどなく溢れ出てくる。でも、入学初日から荒事を起こすのは避けたい。それをしてしまったら、私を信頼して送り出してくれたエリスに申し訳ないから。


「エリスの悪口は言わないでください」


「──何ですって?」


「私のことは何て言っても構いません。でも、エリスの悪口だけは、やめてください……!」


 私は拳を握りしめて叫んだ。


 これだけは許せなかった。

 自分の夢に血反吐を吐く思いで頑張ってきたエリスのことを、平民だからという理由で悪く言うのだけは許せない。

 彼女がどんな思いであの地位まで上り詰めたのかを知らない人達に、私の大切な友達の暴言を無視することは出来なかった。


「っ、この──!」


 でも、私が言い返したのが彼女達の逆鱗に触れたのだろう。

 一人が怒った様子で手を振り上げた。そして、勢いよくその手を降ろす。


 私は甘んじてそれを受け入れることにした。

 ビンタ一発で彼女の気が晴れるのならそれでいい。


「──おやめなさい」

悲報、完全にストックが無くなりました。

だからって急に毎日投稿を止めるのも読者の皆様に困惑を与えると思うので、事前に報告をしておきます。

2月10日を最後に毎日投稿を停止します。他の作品とのことを考えて、おそらく週一投稿になると思われます。日付は後に活動報告にて知らせますので、続報をお待ちください。

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