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エピローグ

「何とかなったと言えば良いのか、微妙な所よね」


 暗黒神の恩恵を失った肉塊は、あの後触手の一本すら動かせない醜悪なオブジェと化し、バッシュと一緒にやって来た応援の神官達の手によって運び出されていった。行方不明者も無事救助し、普通に考えればめでたしめでたしである。


「一時的とは言え、使徒になったせいで目立つし、拝まれるし……と言うか、光神の使徒じゃ無いのに拝んで大丈夫なのかって何度ツッコミ入れたくなったことか」


 逃げ出さないにしてもひっそり暮らしていけたらなと言うあたしの希望はもうこの時点で叶わないのは明らかであり。


「お、お姉ちゃん、また独り言?」


「あ、ブラッド。ひょっとして、また昨日の話?」


 現れた光神殿三美形のショタ担当に気づけばあたしは問いかけていた。地下墓地でのアレク達の反応を見れば、使徒についての情報が秘されていたか失伝したのではないかと言う予測は簡単に立った。そして、根掘り葉掘り聞かれるんだろうなと思えば案の定。昨晩、漸く解放されてへろへろになりつつ我が家兼神殿に戻ってきたあたしは夕飯を簡単に済ませ、すぐにベッドに潜り込んだ。疲労で限界だったか、すぐに意識は落ちてぐっすり眠れたが、目を覚まし、朝食を食べ終えたあたしが箒片手に神殿前の掃除を始めつつ回想していたらブラッドがやって来て、今に至る。ブラッドにわざわざ昨日の話と聞いたのもその辺が理由だ。


「人は時間の経過で色々と忘れて行くものらしいけど、流石に今日も質問会は勘弁して欲しいわ。やることがあるのよ」


 このショタからすれば、どうしてそんなことをと疑問に思われることが確実な内容だったから、何をやるのかは具体的に明かせない。


「それより、あの子、思いとどまってくれたかしら?」


「あ、んー、完全に納得してたとは思えないけど」


「『思えないけど』と言われてもね……色々拙いでしょ、光神官辞めてこっちの神官になるとか」


 そう、昨晩のことだが、あたしの助けた行方不明者の一人があたしの仕えるのと同じ神に仕えたいと言い出す一幕があり当然の如く大騒ぎになった。


「あたし、この国で信者獲得は無理だから諦めろって遠回しに言われたことがあった気がするんだけど?」


 いくら活躍したとは言え、酷い詐欺だと思う。正体を悟られる訳にはいかないあたしとしては、信者なんて集まらない方が都合が良かったのに、信者どころか神官希望者が現れるとか。


「はぁ」


「ふ、不満なの?」


「そう……ね」


 いずれ去るつもりだったこの国に後ろ髪を引かれる存在なんてアレクだけで充分である。


「って、あたし別にアレクの事なんて――」


 妙に意識してしまった気がして、慌てて頭を振る。


「と言うか、アレク……大丈夫かしら?」


 そして、昨日おんぶしてくれた人の事を考えたからこそ思い出したが、帰還後アレクは凹みまくっていた。無理もない、、あたしをおんぶしてたぐらいで殆ど何もしないうちに事件は片づいてしまったのだから。一応、アレクで駄目ならヴェゴンさんだってアレク以上に何もしていなかったが記するが、ともあれ、自画自賛する気はないものの、肉塊を無力化したのも、行方不明者を助けたのもあたしなのだ。結界の解除もやったし、下っ端っぽいのもやっつけた気がする。


「バッシュは応援呼びに行ったし、ブラッドは結界を解除するあたしにアドバイスしてくれたけど……」


 ただおんぶして走っただけだったのだから、凹むのもなぁ。


「やっぱり、慰めに行くべきよね、ブラッド?」


「えっ? あ、う、うん。だけど、お姉ちゃん、やることはいいの?」


「あ」


 忘れていた。あたしは思いつかねばならなかったのだ。この神殿の神官になりたいという人を完全に納得させられる様な話を。また、嫌が応にも注目を浴びることになるであろうこの神殿とあたしをどう人の目につかなくするかも。


「前途多難、ね」


 一難は去ったはずなのに、解せない。


「英雄の物語とかなら『めでたしめでたし』で終わって、幸せになれるのに――なんで この せかい は こう も むじひ なのかしら?」


 もういちどため息をついてみるが、どうにもならない。


「ところでブラッド、アレクは神殿に居るの?」


「んー、ど、どうだろ……一応事件を解決に導いた人の一人って事になってるし、神殿もまだ昨日の事でてんてこ舞いだから」


「猫の手も欲しい状況って訳ね」


 それならアレクが神殿に駆り出されていても不思議はない。あの状態で役に立つならの話でもあるが。


「って、だったらブラッドはこんな所で油売っててもいいの?」


「あ……え、えっと、それは」


「……ひょっとして、逃げてきたとか?」


「ち、違うよ。お、お姉ちゃん。昨日の話が関係してるんだけど」


「へ?」


 あたしが墓穴を掘ったことに気づいたのは、この直後。ブラッドから話を聞いてだった。


「ひょ、表彰?」


「うん。あ、あれだけの功績をあげて何もしないのは沽券に関わるって……」


 まぁ、無理もないと言えばそうなのだろう。以前のして突き出した残念暗黒神官三人組よりあの肉塊の方が明らかに大物なのだ。


「逃げられない、わよね?」


 出来れば逃げたい、だが今は無理なのは明らかであり。ブラッドの返事が返ってくる前にあたしは空を仰いだ。白い雲が流れて行く、青い空を。



勝った、第一部完!


みたいな感じです。他にも書きかけのお話しがあるので、第二シーズンがあるかは不明。


ご愛読ありがとうございました、とは言いません。続く可能性を断っちゃうのは良くないことでしょうから。


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