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放課後アルバム『五芒星』  作者: 富士都


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第1話

新連載!

よろしくお願いします!

私立春野ヶ丘学園高等学校。


今日から俺、藤村夏希(ふじむらなつき)は高校生となり、ここに入学した。


学校大好きな俺にとって、高校の始まりというのはとても待ち遠しいものだった。


しかし…


「なあ、俺本当に今日からここに通わなきゃなのか?電車とか諸々面倒くさすぎるだろ」


とまあ、こんなノリのやつもいる。


吉野幸樹(よしのこうき)


俺の中学の頃から仲良い友達の一人だ。


こんなテンションの低いやつだが、運動はとても得意で、中学の時にも選抜リレーには必ず選ばれていた。


ちなみに野球部である。


「お前なんで朝からそんなテンション低いんだよ。しゃんとしろー」


永松翔太(ながまつしょうた)


こちらも中学からの大の仲良し。


サッカーがとにかく上手い。


完全初心者の俺にはよくわからないが、U18日本代表とやらのメンバーに入ったらしい。


まあ日本代表とつくくらいだから相当すごいんだろうな、ということしか俺にはわからない。


「幸ちゃん翔太の言うとおりだよー」


「そうそう。入学式の日の朝からそんなテンションで来られたらこっちまで気分下がるから。」


幸樹のことを幸ちゃんと呼んでいた方が谷中歩(やなかあゆみ)


歩は幸樹の彼女だ。


中学の頃は女子バレー部に入っていたが、高校では野球部のマネージャーをやろうかななんて言っていた。


俺としてはあのいちゃつきを見せられる野球部員が気の毒だ。


歩に便乗するように幸樹を攻め立てたもう一人は、浜上久美(はまかみくみ)


久美は俺の幼馴染で、ずっと仲良くしてきた。


今一緒にいるこの四人の中でも、一番俺が信頼をおいているのは久美だろう。


とまあ、こんな5人で中学の頃からやってきた。


クラス分けにドキドキしながら校門をくぐり、掲示板へと足を運ぶ。


普段なかなかにうるさい久美も、この時は珍しく静かだった。


深呼吸をし、『新入生クラス掲示』とある紙に目を向ける。


1組………だれもいない。


2組………いた。


吉野幸樹。


谷中歩。


………以上。


「あちゃー。全員一緒は無理だったか…」


「流石にね…」


翔太と久美が揃って声を上げる。


歩は彼氏と同じに慣れただけでも満足そうで、幸樹もクールを気取りながらなんだかんだ嬉しそうにしている。


「じゃあ私たちは…?」


くみが言うと、翔太の顔が青ざめている。


「なあ、俺だけ一人なんだが…」


『え!?』


慌ててみると、4組に永松翔太の文字が。


しかし、4組の掲示に名前があるのは翔太のみ。


俺と久美は7組だった。


「あっと…」


久美が申し訳なさそうな声を上げる。


俺も、


「まあ、みんなで休み時間とか集まろうぜ。」


と励ましの声をかけるが、翔太は俯いたまま、


「夏希と久美、幼稚園から13年目の同じクラス、おめでとう……」


とだけ呟く。


しかしまあ、こう言う時に限って要らぬことをいうのが幸樹。


「ボッチ」


ニヤつきながら呟く。


この後しばらく、掲示板前には翔太の発狂する声が轟いた。


—————————————————————————————————————


「今年この7組の担任を持つこととなりました。松本唯子です。よろしく」


正直松本先生の第一印象は…口うるさそうなおばさんだった。


本人には口が裂けても言えないけど。


「ねえ、なんかあの先生小言ばっか言いそうじゃない?」


久美が後ろを向いて嫌そうな顔を向けてくる。


浜上と藤村。


出席番号はいつも前後だった。


正直「は」と「ふ」の間に一人くらいいてくれてもいいと思うのだが、未だかつてそのような人間がクラスにいたことはなぜかなかった。


そろそろこの後ろを向いて話しかけてくる幼馴染地獄から解放されてみたいものである。


「まあそうだな。お前みたいな成績の悪い奴にはうるさそうな先生だな。」


「あ、言ったな。大して変わらないくせに。」


「ふざけんな。クラスで下から2番目のやつと上から3番目の俺のどこが大して変わらないんだよ」


「うるさい。」


「は?おいおいお前な…」


結局先生の話がほとんど頭に入っていなかったのは、間違いなく組にこうやって延々と話しかけられていたからだ。


断じて俺は悪くない。


—————————————————————————————————————


クラス顔合わせが終わり、入学式も無事に終了した。


「はあ、疲れた…。なんで知りもしない奴らの自己紹介なんて延々と聞かされなきゃなんないんだ?」


「幸樹…お前どこまでひねくれてるんだよ…」


翔太が呆れたように言う。


無事高校初日…というか入学式が終わり、俺たちは近くのファミレスで集まってご飯を食べていた。


「幸ちゃん、こんなこと言ってるけど、初日から席後ろの男の子に話しかけてもらえて、仲良くなれて、嬉しそうなの顔に出てたんだよ。」


歩の暴露に俺たちは目を丸く………はしない。


こいつがツンデレ野郎だってことくらいみんなもうわかっている。


そもそもそんなにひねくれていたら歩からの告白だって受け入れないはずだし。


ただでさえ顔を赤くして歩を制止しようとしていた幸樹は、俺たちのこの反応を目にして今度は怪訝そうな顔をした。


「なんだよ、その納得してる顔は。俺のことツンデレ野郎だとか思ってんだろどうせ。」


…………………ほんと、こいつの間の良さにはつくづく驚かされる。


「歩はどうだったの?友達はできた?」


久美が聞くと、歩はケロッとした顔で首を横に振る。


「流石にね。でも、自己紹介の時に、しっかり出席番号38番の吉野くんの彼女ですって言ったから、ちょっとは面白いやつと思ってもらえたんじゃないかな?」


「そんなこといったのか?さすがとしか言えないけど、ちょっと幸樹が可哀想に思えるな。中学の頃を見ていても、歩は相当モテるし…」


「まあ、でも、嬉しかったし…?」


翔太が心配して言うも、こういう時にしっかりとタイミング良くデレの方を出してくるのが幸樹だ。


やっぱり歩のことは好きなんだろうし、歩が傷つくかもしれないと思ったらツンを全部捨ててデレを全面に出してくる。


こういうとこはやっぱり彼女思いだし、いいやつだよな。


まあ、この優しさを俺らにも向けてくれる日が来たらなお良いが。


「で?そっち2人は?夏希」


翔太がニヤニヤしながら聞いてくる。


「まあ、掲示板見て知ってると思うけど、今年も出席番号は前後。ほんと、別にそんなに極端に近い苗字でもないし、そろそろ間に入ってくる人が現れてもいいと思うんだけどなあ……」


「まあ運命ってやつなんじゃないんですかー?ねえ、久美。」


「歩まで…ないって。夏希とはあくまで幼馴染。親友。その域を出るって言うのはやっぱりなんか違う気がするんだよねえ」


「そお…?お似合いだと思うけどなあ…」


「でも、夏希たちまで付き合っちゃうと俺の居心地が悪くなっちゃうな……」


「だから、付き合わないって!」


翔太がわざとらしく寂しそうな顔をして見せるので、はっきりと言っておく。


「まあただ正直、運命と言えばもっとでかいのがあるんじゃないか?」


俺には思い当たる節…というか、運命としか言いようのないことを一つ知っている。


「だってさ、この中学の頃中良かった5人が、一切の打ち合わせなしに同じ高校を第1志望にして、全員受かって、今こうして同じ制服着て飯食ってるんだぜ?」


そう。


学力も違う、やっているスポーツも違う。


ただ日常を一緒に過ごしていた友達が全員同じ高校にいる。


「本当にな。いろんな可能性があるからって、高校決まるまでは志望校すら共有してなかったわけだもんな。あの状況からなんでこうなったのか…」


笑みを漏らしながら翔太が言う。


「まあでも、結果的にこうやってまた集まったわけだし。高校生活はこれから始まるわけですから!部活も違うし、ともなればやっぱり帰宅時間とかも休みの日とかも全然合わないとは思うけどさ。でも、これからの3年間、今まで通り仲良くいこーよ!」


「ほんとに、久美はこう言うの上手いよな」


幸樹が言う。


「へへっ、まあね。」


「まあ、久美の言う通りだよ。仲良く行こう」


俺はこうしてまたみんなと同じ学校で同じ日々を過ごせることがどれだけ幸せなことか、改めて噛み締めた。

どうでしたか?

更新は今のところ不定期で行く予定です。

更新されたら読みにきていただけたらなあと思います。

それから、ぜひ他作品も読んでいただけたら嬉しいです!

読んで良い作品だと思ってくださった方はぜひ!

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