第十話 大手重工業メーカー共作の試作品RX28号機、コードネームは・・
「ロボットかよ!」
オレは叫んだ。
歓喜も混じっている。
男ってアレだろ?
あー・・話ずれるけどサ。
あんな巨大メカ、目の前に見せつけられたら興奮しないほうがおかしいって?
もちろん年齢なんて関係ない!
・・生きててよかった・・
正直な気持ち。
全長はアレだな。巨大とは言ってもおそらく大型トラックを縦にしたらあのくらいの大きさだろう。
しかも2足歩行だ。
最近搭乗できるロボットが市販されたとかで一部世間が騒いでいたがキャタピラー走行だぜ?
確かに腕みたいなモンはついているがどうやってナンに使うんだってシロモンだ。
しかしこいつは正真正銘「人型」ってヤツだ。
白地にトリコロールカラー。
頭部のメインカメラであろうヤツが単眼なのはおしいが・・
どうやら魔力で動かしているわけではないらしい。
さっきからモーター音だか機械音だかがウィンウィン鳴っている。
見とれていると・・
「照準!」
このロボットの仕掛人、切れ長美人、中嶋芳子が自身の手中にある携帯端末らしきものに叫んだ。
・・あれがコントローラーか?・・ったく!なんでもかんでもスマホかよ!
ロボットがオレに向かって手にしたビームライフル(たぶんな)を向けた。
さっきオレにぶっ放してきたヤツはアレだな・・
「どうだいワビル2世!攻撃をやめてくれないか?従ってくれれば悪いようにはしない。どうだろう?ボクらに手を貸してくれないか?」
ボクって言ったなアイツ?一人称はボクかよ?男装の令嬢ってヤツか。
サマになってるのがなんともイヤミだね?
「協力ね?オレ個人はまぁ悪くはないんだが・・」
とぼやいた瞬間・・
「チっ!!」
舌打ちがした。
戦闘メイド”アカ”が洗脳解除の魔法陣を張りながらこちらを睨んだ。
・・おおこわ!聞こえんのかよ今のが・・ったくオレはなんて世界にいるんだ・・
そんなオレの嘆きなど知りもせず男装の令嬢、中嶋芳子は続ける。
「同志になれワビル2世!アナタはきっと我々のよき理解者になる!」
どっかで聞いたセリフだな?
「確かに魅力的な提案だ?しかし知ってるか?そういうのってだいたい破滅へのフラグなんだぜ?」
「破滅を目前にしているのはこの国だと思わんか?」
オレにはよーわからんが・・
「お嬢さん。発展ばかりが世の流れじゃぁないんだ。いい時もありゃ悪い時もある。停滞する時もな。でもじゃぁみんなが不幸かっていえば案外そうじゃなかったりもするんだ」
オレは少ない知識をフルに活用して続ける。
「戦後って最悪があってそっからこの国は這い上がってきた。だから今生きてるオレたちは現代の状況がどうであろうとその時代に一生懸命生きてきた人タチ、すなわちオレたちの爺さん婆さんに感謝しなくちゃならない・・それでいいんじゃないのかい?」
「分かっているじゃないかワビル2世。ならば我々と新しい価値観をこの国に構築していこうではないか!」
中嶋芳子が腕を広げた。オレを迎えるかのように。そばではよろめきながら魔女っ子ミヨちゃんが立ち上がろうとしている。
やはり致命傷は与えられたなかった。
「大丈夫かい?ミヨ」
「当たらなければどうということはない・・んだけど・・ゴメン・・捕まっちゃた・・」
芳子がミヨの安否を気遣いミヨはそれに辛うじて笑顔で応えている。
今オレも攻撃魔法の魔力を充填中だ。いくら大砲を持っていてもそれを撃つ玉と打てるやつの体力がなければお宝にもならない。
しかしやはりかなり魔力の消耗がはげしい。息切れがごまかせるか?
「それはそうと、どうだいこのモビルスーツは?」
芳子が誇らしげに聞いてきた。
え、なに?モビルスーツなの?・・いいのか・・
「蜜微視重工と河先重工の共作RX28号、コードネームは・・」
と芳子がいいえ終える瞬間、オレは懐からガチャポンカプセル台のモノを取り出し芳子ご自慢の”モビルスーツ”とやらに投げつけた。
芳子もミヨも不意を取られてさすがに身動きできない。
悪いがオレには他人の理想に付き合う時間は残されていない。
この闘い、オレのありったけをぶつける!
「たのんだぞ!リオパルドン!!」
バーーーーーン!!!
ガチャポンカプセルは光を放つと同時に炸裂音を上げた。
周辺を白い煙が蔓延する。
「きゃー!!ヤダぁ~!!」
煙の中で悲鳴が上がった。ミヨのものだ。
効果覿面!思惑が当たった。
本当は対魔法少女の最後の切り札だった。
オレのビックリドッキリメカ!・・いや・・本当はメカじゃ無いケド・・
「いやぁー!こっちくるな!!」
薄れてゆく煙の中から衝撃波が飛んでくる。
ミヨがやみくもにぶっ放しているらしい。
「蜘蛛キラ~い!!」
オレが放ったのは巨大蜘蛛”リオパルドン”。
お茶目な赤と黒のまだら模様のボディが特徴だ。
虫一匹通さないはずの”ワビルの塔”の片隅で見つけた蜘蛛を文字通り”魔改造”したモノだ。
年頃の女子にぶつければかなりインパクトあると思ったがここまでとは・・
泣いてわめき散らすミヨのことなど目もくれず”リオパルドン”はモビルスーツに突進していく。
ぶぉー!
糸を吐き出すとその糸は鞭のように唸りモビルスーツのビームライフル(たぶんな)を払い落とした。
ヴォー!ウィンウィンウィンウイン~
モビルスーツは獰猛な機動音を上げるとリオパルドンに襲い掛かる。
ドッカ―!!!
双方取っ組み合いになる。
人型ロボットVS魔改造蜘蛛。
この世紀のスペクタクルな場面をもう少し眺めたかったが・・
「オジサマ。決着をつけましょう。ワタシみんなのために負けるわけにはいかないの・・」
ミヨがオレの前に立ちはだかった。
やはり攻撃をまともに喰らわされたことにプライドを傷つけたらしい。
にわか仕込みの魔法でしかもこんなヤツに・・って思ってんだろうナ?
「・・そうだろうな・・オレとは背負っているモノが違う・・エライよキミは・・」
オレは称賛の言葉を贈る。
どちらが合図するともなくミヨとオレはぶつかった。
読んでいただいてありがとうございました。
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明後日くらいが完結予定です。




