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世界の街角探訪 ~西側諸国~

設定編を二回続けてやるのはどうかと思いましたがしょうがないのです(´・ω・`)

こういうのが好きな設定厨なので……そのうち地図もうpる予定です。


 五日後、都市国家群は何事もなくスルーした。通行税で金はそれなりにかかったが。通行税は「仕方ねえな」と思うぐらいの額が最適。ちぃ覚えた。

 特筆することもなく、危険な事件もなく、都市国家群越え経験者であるマシュさんらもいたので、観光旅気分でスムーズにハーティスサンランドへ到着、ヤン・ドール・ザンへ入ることもできた。まあここいらまでのの「有名な面白都市」の類はいずれまた寄ってみよう、ってことで。


 ヤン・ドール・ザン聖帝国は、総神ザーン・ディオン教会の「総神教」を国教に定めた宗教国家である――といわれるが、実態としては、「教会」と「帝国」が別組織として、共同で国を支配している、封建国家でよくみられる支配を行っているというだけのこと。まぁ双方の組織が黒いと、ダブルで搾取されるというブラック国家になるのだが、今ヤン・ドール・ザンはそのブラック化が進行しているらしい……おおこわいこわい。


 もちろん、教会も搾取だけではなく、一応は民のための慈善奉仕活動なんてものもやっている。その点も、かつての地球とよく似ている――大きく違うのは「魔法」の存在による実利だ。

 ゲームなどでは宗教で使う魔法は「奇跡」「神性魔法」などと呼ばれたりするが、こちらではそういった区別はない。魔法は全て魔導技術であり、魔導士ギルドの管理下に置かれている。

 ただし、各宗教には「独自魔法」があり、それぞれの宗教的儀式に使われたり、独自の教義を遵守するために使われたりするらしい。詳しくは知らんけど、職業魔法みたいなもんらしい。死んでも所持金を半分払えば生き返らせてくれる……とかいうシステムもないようだ。


 一応確認したが、聖帝王様は南の聖なる拳法とか使わないらしいし、ピラミッドも建設されてはいない。世紀末ではないようだ。

 ……まあそこは特に俺たちに関係することではないので、ここもスルーでおk。


 ちなみに、グルーガたちが目指しているらしいユプニック高原というのは、都市国家群とヤン・ドール・ザンの国境を南にずっと行くと突き当たる、海辺の高山地帯の中にある。周囲は馬車で十日ほどもかかるほどの広さ……といっても解りにくいが、ちょっとした地方都市が一つあるぐらいの大きさだ。前に見た地図の記憶からすると、面積にして概算で二百数十平方キロ前後、といったところだろうか。

 その中に、オーガ国への転移ポイントがある……一度は見ておきたいところだが、下手に使うとオーガのエサになるだけだから、関わらない方が吉か。生贄はいずれ、魔導士ギルドで選んでもらおう。

 それに高原は「巨人の国」だという噂もある。スウィフトかガリバーっていう名前の冒険者がいたら、是非そいつに行かせて欲しいね。指名するから。


 これはかなり昔から言われている噂だが、雲を割って空を飛ぶ「雷の巨人」がこの高原に降りたのを目撃したとか、そういうのが発端だったと言われるが、はたしてその目撃談自体が本当はどうだったのか……本当なら、つまりは「巨人のキャンプ地」じゃないだろうかと。そこグアムとか宮崎なの?

 ……とか考えていても、別に誰かに同意してもらえるわけでもツッコんでもらえるわけでもないのがちょっと寂しい。野球狂ブライト・ワルダーならツッコんでくれるだろうか……アメリカンやキューバ人だったら無理か。あっちの「ジャイアンツ」とは違うし。




 ヤン・ドール・ザンに入ってから、魔導士ギルドで西側諸国の情報収集をしてみる。西側っつっても、こっちが自由主義で東諸国が社会主義ってわけでもないが、地球人だとそういうイメージあるよね東西。だけどむしろ王国帝国ばっかりだし。共和国もあるけど少数だし。


 簡易地図(都市国家群以西の主要な地形や交易路や主要都市が書き込まれたもの)は魔導士ギルド・冒険者ギルド・商業ギルドなどでも手に入るし、さほど高くもない。そこに書き込まれた情報次第で価格が変わるので、各ギルドではメンバー向けに必要な情報を追記したバージョンが、「相応のお値段」で売られている。


 人類国家群西側には、東よりヤン・ドール・ザン聖帝国、ライ・マースト王国、アークゥエスミィ連合王国、パン・セリン君主国と南海沿岸に並ぶ。

 パン・セリンのさらに西にはオーガの帝国「オルガネラ」、そのオーガ帝国との間には、かつてオーガが乗り越えて侵攻してきた「西方大山壁」という南北に伸びる大山脈がある。この手前には未開の大森林(西方大森林帯)が広がり、パン・セリンは今もその開拓に血道を上げている。

 とはいっても、西方大森林の東側にあった開拓済の都市部平地が人鬼大戦の戦場になったこともあって、そこを復興するのに三十年ほどかかり、それからあらためて西方森林開拓が再開したこともあって、開拓の度合いは百年前の水準にやっと戻ったところらしい。


 これらの四国の北方には森林、山岳地帯、そして砂漠が東西に広がる。ヤン・ドール・ザン北部には砂漠を越える北ルートがあり、そこを越えると砂漠の北のクレセノント王国へと至る。

 パン・セリンからは海岸線が南に曲がり、さらに南下すると、獣人国家ウーゴ・ブオールへと至る。

 ウーゴ・ブオールの北西が西方大山壁から連なる大山系であり、そこを越えるにはたった一本の峠道を越えるしかなかった。

 が、オーガ軍の侵攻以後、その峠道も今では塞がれ、深い「不可侵大山系」とされている。


 ……で、今回の目的地である、アークゥエスミィ連合王国。

 昔から海運強国として知られていたが、パン・セリン発祥の冒険者ギルドと協業し、「運輸ギルド」なるものがここから発祥した。そのおかげで、西側の海上輸送、陸上輸送に関しては大体、アークゥエスミィ運輸ギルドの息がかかっている。西方では大体、商業ギルドとも組んでいる。

 外国との輸出入の際の通関手続きを一気にやってくれたり、地方都市への流通ルートを確保したり、同時に公共交通網を整備したりと、意外と社会インフラとしても重宝されていることもあり、ジシィ・マーダでもここの運輸ギルドと協業してインフラ整備をやろうではないか、とかいう話が持ち上がっているらしい。

 まあまだ東へ進出してきたばかりだそうなので、これからの話ではあるが、東側最初の運輸ギルド拠点はジシィ・マーダに作られたので、そこいらへんの話はすぐにでも進めたいだろう。


 インフラ整備はいいんだけど、なんか運輸業界というとハードスケジュールのブラックな業界じゃないの?なんて思ったりもするのだが、こちらではハードなのはともかく、運輸関係のスキルとか道路整備や河川管理、港湾整備・管理のノウハウも身に付くとかで、堅いしそれなりに実入りのいい職業なので、就職先としては非常に人気のある仕事なのだとか。

 そりゃまあ、やってる内容は多国籍にわたってインフラを整備・支配するスーパーゼネコンみたいなもんだし? そこから国の土木管理部門へ転職できたりするので、キャリア育成にも人気が出るのは当然だ。

 魔導士ギルドも、さすがにインフラ関係まで手が回ってないので、上手いこと棲み分けが出来ているのであろう。

 流通を押さえることで、各種有力ギルド、地方領主なんかとも関係が深くなるし、そこへの影響力も少なからず発揮できる……見事な計画だ!


 しかもこの運輸ギルド、冒険者ギルドとも組んで、護衛役の育成も行っているとか……それが今の冒険者ギルドの育成カリキュラムとして、東側にも伝わってきている。ククリグでやっていた新人冒険者育成プログラムも、運輸ギルドの簡易版なのだそうだ。

 簡易版、ということは詳細版もあるのだが、詳細版は運輸関係のノウハウとかも絡むので、協業しているギルド直轄運輸学校でないと解らないらしい。

 ふンむ、こちらの教育システムは実業直結の専門学校タイプなんだな……入った学校で囲い込みもあるし。

 地方領主がやってる寺子屋みたいなシステムもあるが、そういうのを開いている地方の町はまだ少ない。マシナはそういう意味では、教育環境には恵まれた先進的な「他よりマシな」町だったということだ。




 そんなこんなでヤン・ドール・ザンを五日かけて西へ横断、ライ・マースト王国へ。

 ヤン・ドール・ザンは宗教国家ならではの寺院とか聖堂とか、観光地はあるんだけど、聖地巡礼で参拝者が多い時期なので、遠目に見るだけでスルーした。

 ま、地元へ戻る時に観光もできるだろう。


 「魔法王国」ライ・マースト――魔導士ギルドの総合本部もある、魔導士が人類世界で一番多い国である。

 ちなみに「魔導王国」ではないのか?と思われるが――それは、八百年ほど前に滅んだ「魔導王国プロマノンドール」という古代王国があるので、そちらと違いを出すためと、プロマノンドールは「魔導士が統治する、魔導士の、魔導士による、魔導士のための国」であって、文字通り「魔導王国」と言ってよかったのだが、ライ・マーストは国王始め王族や貴族は魔法を嗜みはするが、全員が魔導士ではない。国民も同じく。

 なので「魔導王国を僭称するのはおこがましい」と、「魔法王」ライ・マースト四世は、「魔法王国」として、魔法の世間への浸透を目指したそうである。


 そんなこともあって、ライ・マーストでは「魔法は貴族の嗜み」とされ、社交界では魔導士もしくは魔法拳士や魔法騎士でなくては鼻にも引っ掛けられない、ということだそうだ。

 ただし極端な魔導至上主義ではなく、「ハイソな方々は教養として魔導をたしなむのは当たり前」なのであり、庶民はあくまで「生活を豊かにするには魔法習得していた方がいいよね」という思考でしかない。そのため、魔法の習得率は非常に高いが、世間一般では魔法が使えないからといって差別されるということはない。BCの習得はしてなくてもいいが、一般魔法の三つや四つは使えないと、社交界デビューも覚束ないとか……ある意味、魔法で差別されてる感じもないではない。


 だが、魔法浸透率が高いということは、教育が行き届いて識字率も高いということで、周辺国より一段高い「知識先進国」という評価があるのも確か。

 そのため、この国では「脳筋」な方々は肩身が狭く、都市圏では少々、魔法が使えない肉体労働者が下に見られるところがないわけではない。そういう脳筋な方々は、アークゥエスミィの運輸ギルド・護衛コースか、冒険者になって肉体スキルを磨くのが定番なんだそうで。

 まあ俺らにはあまり関係ない話ではあるが。どっちでも生きていけるし。



てれれれってってってー♪


『知識スキル:地理を獲得した!』



次回、ライ・マーストで衝撃の展開が! (゜д゜)

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