3日に1回がノルマらしい
ピコンピコンピコン。
6日目の夕方。
なぜか、簡易トイレの入り口に埋め込まれたランプが点滅している。
ランプだったのか……今まで光ったことなどなく、明かり取りの小窓だと思っていた。
ここが『淫魔のゲームPOMERON』の世界だかなんだか知らないが、俺たちG班のサバイバル生活は、意外にもなかなか順調だった。
テントと寝袋のおかげで寝るところはあり、野外にしては十分な休養が取れる。釣竿に虫をつけ魚を釣り、ナイフで果物などを切り、集めた枝にマッチで火をつけて持ってきた鍋で調理した。山間にある小川で、飲料水の確保、水浴び、軽い洗濯もできた。
林間学校のために準備したアウトドアグッズ様様である。
食べられる果物など食糧が豊富で、朝晩は冷えるが過ごしやすい気候なのもありがたい。
さらに、『アウトドア入門』という本を柚原が、『サバイバルガイドブック』を陽一が持ってきており、そこに書かれている情報に助けられることが本当に多い。準備のいいクラスメイトを持って、本当に幸せだ。
地形の把握もだいぶ進んだ。ここは、ぐるりと外周を回ると4時間くらいかかる無人島で、山の方は探索しきれていないが、全体像は掴めてきた。最初に目が覚めた開けた切り株と草のところは砂浜と反対側の岸に近く、その岸は切り立った崖を背にした岩場で、漁場ではあるが山側からは行けないところだった。
そんなこんなで、忘れていたのだ。否、慣れないサバイバルに必死だったのもあるが、あえて考えるのを避けていたのだと思う。
POMERONーーそう、あのざぼんのことを。あの柑橘系果物のことを。
ミッションをこなさなければ元の世界に帰れない『淫魔のゲームPOMERON』の世界であるかもしれないということ、そのミッションが何やらエッチな内容だということを。
トイレの小窓ーーもといランプが点滅し始めて、俺たちは動揺する。
点滅の意味がわからない。赤く点滅するそれは、警告のように感じられた。
2日目に出現した簡易トイレは、不思議なことに紙は無くならないし、水洗トイレである。いろいろ調べたつもりだったが、トイレ内部にも扉の外側にも、何も書かれていなかった。
「うわ! 上に何か書いてある!」
簡易トイレの外側上部をよじ登って見た陽一が、声を上げる。
「なんて!?」
「えっと、なんか色々書いてあるんだけど…。ミッションは3日に1回は遂行しないといけません。3日目には、警告ランプが点滅します。ランプが点滅して3時間以内にミッションを遂行できなかった場合、ペナルティが課されます。ペナルティ1回につき、クリアまでに必要なミッション数が2倍に伸びます…」
色々と疑問が浮かぶ。クリアまでに必要なミッション数、ってなんだ。元の世界に帰るまでにこなさなきゃいけないミッション数が決まっているのか。え? それが倍になるっていうのか?
とんでもないペナルティだ。
俺もよじ登って、文言を自分の目で確認する。まさか天井、いや、屋根部分に何か書かれているとは、盲点だった。
確かに色々書いてある。さっき、陽一が読み上げたところはそのまま書かれている内容だった。
日が暮れてきて、小さい文字で読みづらい。これ以上解読するのは、明日明るくなってからにしたほうが良さそうだ。
「点滅してから、どれくらい経ってる?」
「…多分、一時間くらいだと思う…」
沼山が、持ってきた腕時計で確認する。時間の流れはそんなに変わらないようで、俺たちは沼山の時計を時間の基準にしていた。
「ミッションって、POMERONのことよね? あの、ざぼん食べると頭の中に聞こえてくるやつよね?」
更谷が聞く。間違いなく、あれだろう。
実は、2日目に食べた2個以外、俺たちはまだ食べていない。
POMERONは3日目、4日目に計2個発見したが、島の探索を優先した。特典が出るものならば、後回しでもいいと思った。やらなければならないことを聞くのが怖くて、後回しにしていたところもある。
2日目に実行したミッションコード002は、1人が裸で海に入るというもの。それは俺がやり、あの簡易トイレが出現したのだ。
もう一つのミッションのコード018は…3人が手淫、だったか……。
自慰行為を、淫魔王とやらが見えるようにするってことなのか?
さすがに抵抗がある。
ゲームを模した企画で、異世界とかではないという可能性もあると、俺は思っている。
「POMERON、食べてみるか。ミッションの内容確認してから、どれやるか決めよう」
俺の提案に、異論はなかった。
3日目、4日目に見つけた2個のPOMERONをむき、6人がそれぞれのPOMERONをひと房ずつ食べる。
『コード004 ミッション 背の高い女性が好きな男性とディープキス 報酬 お米3kg及びPOMERON2個発生』
『コード011 ミッション 1組の男女が裸で抱き合う 報酬 醤油と塩胡椒』
次々と頭の中に音が流れ込む。
…俺たちの中には、付き合っている人とか、いないのである。
男子にも遊び慣れているほどの人材はいないが、女子は地味グループで色恋に不慣れで真面目な子ばかりだ。
これから2時間で、どうしろと。
「男3人が自慰行為するのが1番早いかもな…」
陽一が呟いたその言葉を、俺は否定できなかった。
サバイバルの設定はゆるゆるです。すみません。




