グレー・アンカーとティアナ・ライムの人間観察記。前編
その日、一つの物語が紡がれる
「人間観察をしようと思います!」
高校三年生の春後半、ティアナ・ライムはそう言った。
「…なんでこの時期に、そんなことするんだよ。」
同じく三年でライムのクラスメイト、グレー・アンカーがそう返事をする。
「だって、面白いから。」
ライムは、少し微笑んでそういった。
「このノートにみんなのことを書き混んでいくんだ。ああ、ワクワクするなぁ。」
「…へえ…そうかい、なら初めに誰を観察するんだ?」
グレーは呆れながらそう呟いた。
「例えば、あそこの連中とか。」
ライムはグレーの数メートル先の男子たちの集まりを指差す。
あの辺りには、レッド・テッド、オランジ・サンシャイン、ピンキー・カッシュその他諸々がいる。
「あいつら、いつもはしゃいでる奴らだよな。で、一体彼らから何を監察するんだ?」
グレーはライムに尋ねる。
「まずは、彼らの喋り方でしょ。」
ライムは言う。
「彼らは明るいから、奇抜な言葉をよく使ってる。ほら、「マジ⁉︎」とか「ヤバ〜」とかよく使ってるでしょ。」
「確かにそうだな。」
グレーは言った。
「次に髪型。彼らは目立ちたいから、人の注目を集める髪型をしている。レッドは四方に棘が生えたような髪型、オランジはリーゼント、ピンキーは短めのサイドテール。どれも個性全開なんだよね〜。」
「ふーん。」
「あとは身につけているものでしょ〜それから〜・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
グレーは、夢中になって彼らのことをノートに書き留めるライムを見ながら
『こいつはこんな小さなことに楽しさを感じるんだな』と思った。
グレーはここ最近、勉強ばっかりで誰かと話したり、遊んだりしたことがあまりなかった
もちろん、スマホやゲームにも一歳手をつけていなかった。
それ故に、日常がつまらなく見えた。
黒でも白でもない灰色の日常。
授業の合間にクラスメイトと話していても、話題に何の興味も湧かなかった。
この、たった1人の話し相手のライムと話す時を除いて。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中編へ続く)
中編、5月1日0時0分公開。




