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第14話 キラービークイーン(前編)




 僕達が間一髪で離れた瞬間、そいつは現れた!!



「キ、キ、キラービークイーンか、あれ?。」

「いや、でも。デカ過ぎるだろう、あんなの!!」



 僕達の目の前に現れたのは、今まで見た事も無い巨大な蜂だった。

 大きさは、優に3mはあろう蜂。


 僕は思わず鑑定をした。


 キラービークイーン:レベル38 HP 430/MP 183

 スキル 統率 レベル6 毒生成 レベル8

 麻痺生成 レベル8 毒耐性 レベル8 

 麻痺耐性 レベル8 硬質化 レベル7



「嘘でしょ。あんな大きさのクイーン何て、聞いた事も無いわよ。」


 くそ!!


「よりにもよって、またかよ。」



 僕達は油断しない様に、クイーンを見ながら会話をした。



「クイーンって何ですか?」

「そのままだよ。女王蜂さ。彼奴があの蜂を、全部産んだんだよ。あのデカさだ。まあ納得だな。」


「あんなデカい奴ならAランク。いやSランクって言われても、おかしくはないのう。」


「もしかしてAとかS何て言ったら、化け物じゃないですか?」

「そうよライト。あんな大きさの蜂何て見た事ないわ。普通なら半分よ。」


「どうするんですか?」


 蜂も動かず対峙したまま沈黙が流れた。



「お前達は逃げろ。俺が食い止める。助けを呼びに行け!」

「ゴードン。何言ってるのよ。」


「誰かがやらなきゃいけない。」

「あんた死ぬきなの。今から呼びに行けって言ったって、街まで往復急いだって6時間は掛かるわよ。それまで耐えられる訳無いじゃない。」


「だが此奴を街に行かせる訳には、いかないだろ。」


 再び沈黙が流れる。



「倒す方法は無いんですか?」

「普通のクイーンだったら、エルドのような弓と風魔法が使えるば、なんとかなるんだが。あの大きさだ。此奴にはそれも無理かもしれんが。」



 えっ!!


「普通だったら、倒す方法が有るですか?」

「まあな。ライト、よく見ろよ。此奴の体の周りを。」


「体?」

「此奴の体は、金属の板のような物で覆われているだろう。あれが厄介なんだよ。あの堅い殻で、弱点の火を防御して通じないんだ。」


「火が通じないって!」

「だから普通なら、エルドのような弓使いが居れば、風魔法で彼奴を閉じ込めて、殻と殻の間に弓を打ち込むんだ。体の中は脆いんだけどな。」



 そうなのか。

 体の中まで到達すれば脆いのか。



「それにしても彼奴。そうしたんだ。攻撃して来ないな。」


 ふっ!


「自分の子供を殺られたんだ。逆に俺達をいたぶってから、殺そうって思ってんじゃないか。」



「あの。もしかしてあの殻の下なら、火属性も通じるんじゃ。」

「ああ、そうだよ。あの殻は火に強いがあれさえ突破できれば、何とかなるんだ。」


「でも、ライト。あの殻と殻の隙間って、もの凄く狭いのよ。エルドの様な正確な弓が打てても、動いている間だと、当てるのが相当難しいの。」



 そんな時、キラービークイーンが急に動いた。



 ビイイイイイイイイイイイ!!



「来るぞ!!」

「早い!!」


 僕達は、一気に間を詰められた。


 キラービークイーンは、お尻から大きな針を出し向かって来た。


 ガンドウさんが前に出て、ハンマーを前面に出し食い止める。


「おいおい、何て力だよ。」


 ガンドウさんが、じりじり押される。


「ゴードンさん、ガンドウさん。僕に考えが有ります。そいつをしばらく足止めして貰ってていいですか?」

「ライト君。足止めって言われても、どれぐらいもつか保つか分からないよ。」


「分かってます。ミーサさん。彼奴に雷魔法を打てますか?」


 えっ!


「大丈夫だけど。彼奴に麻痺で足止めは出来ないわよ。」

「分かってます。その時に彼奴がどうなるか確認したいんです。」


「わ、分かったわ。ゴードン、ガンドウ。声掛けたら思いっきり下がってよ。」

「分かった。」



 ミーサは魔力を込めた。


「行くわよ。」



 クイーンと対峙していたゴードンとガンドウが、思いっきり飛び退いた。


「落雷!!」



 バリバリバリ!!



 ミーサの手から放たれた雷が、上空へ一旦上がりキラービークイーン目掛けて落ちて来た。



 ドオオオオオオン!!


 バリバリバリ!!

 ジジジジジ~~!!



 プッシュウウウウウウウウ!!



 キラービークイーンからは煙が上がっている。


 少しの間はその場で止まって飛んでいるだけだったが。

 


 パリイイイイイン!!



 何かガラスが割れるような感覚。


 それから一瞬、間があった。


 すると煙を吐きながら、クイーンがこちらに突進して来る。

 クイーンが向かって来る途中から煙も消え、又対峙する。



「ライト。やっぱり、効いて無いわよ。」


 まあ、そうなんだな。

 効か無くても構わなかった。


「ガンドウさん!!」

「なんじゃい。わしゃ、忙しんじゃが。」



「キラービーを攻撃していた時に出した石の壁で、箱を作れますか?」


 おおっ!


 突然のライトの質問にガンドウが躊躇うが。


「そうじゃなあ。出来ん事も無いぞ。もしかして此奴を閉じ込める気か。此奴は動きが早くて無理じゃぞ。」

「分かってます。それで箱の後ろ側になるキラービークイーンの背後だけは、壁を開けた形でも作るのは出来ますか?」


「んっ、ああ、作るのには余り変わらんのう。別に問題ないぞ。」


 ぐうううううう!!


「此奴は疲れを知らんのか!!」


 ガンドウをクイーンが、徐々に押し始めていた。



 早くしないと。

 後は僕があの隙間に突き刺せれば。


 でも突き刺すって言っても、この剣しかないけど。


 僕の考えている通りとしても、この剣が魔力を通すかも分からない。


 どうする?

 どうする?

 考えろ!


 あっ!

 そうか。



 確かあの時エリンさんは、「発動するのであれば味方を傷つける様な範囲では、魔法を発動しない。効果を抑える事が出来るのが魔法使いよ」って言っていた筈だ。



 それならある程度は範囲を固定して、炎の効果を内側にすれば。


「ライト。今までの疲れもあるわ。また押されだしたわ。早く何か!」


 僕はもう何も入っていない肩から下げた袋を、手にグルグル巻きつけた。



「ゴードンさん、ガンドウさん、ミーサさん。話を聞いて下さい。」

「ライト。何か思いついたの?」


「僕が合図をしたら、ミーサさんはさっきと同じように、雷魔法をクイーンに撃って下さい。」

「もう一回やるのね。」


「ガンドウさん。クイーンは雷を喰らったら一瞬、動きが止まります。それは麻痺を解除する為です。その隙にクイーンの周りに壁を作って下さい。さっき言った通りクイーンの背面は、壁を空けて下さい。」

「おう、分かったわい。」


「ゴードンさん。ミーサさんが撃つまでは少し一人でクイーンの相手をしてもらえますか?」

「分かってるよ、ライト君。どうせ確実な策は無いんだ。君の考えに賭けるよ。」


「有難う御座います。」

「ゴードン。さっきと同じよ。合図したら思いっきり、下がってよ。」

「分かってる。」


「じゃあ、僕が合図します。」

「ライトよ。お主と居ると楽しいのう。」


 僕はクイーンの後ろに回り込んで、肉体強化でダッシュすれば届く位置まで移動した。



 後は、僕の考えが正しくて、剣が出来れば。


 駄目だ、弱気じゃあ。

 出来る!

 出来る筈だ!!


 僕は自分の剣を見つめる。

 剣の刀身を炎が纏うイメージ。

 そして刀身を熱するイメージ。


 僕は、剣を見つめながら魔力を込めた。



 すると剣の周りに炎が出た。



 プシュウウウウウウウウ!!


 プスッ!!

 プスッ!!



 駄目だ。

 一瞬だけは火が出るんだけど。

 もう一回。



 プシュウウウウウウウウ!!


 プスッ!!

 プスッ!!


 駄目だ。



「ライト。もう、もたないわよ。」

「待って、もう少し。」



 僕が失敗したら、みんなが、みんなが、........。

 そんな気持ちで、僕は焦った。


 駄目だ。

 やっぱり出来ないのか。


 僕は、.....、やっぱり駄目な奴なのか。



 もう一回。


 プシュウウウウウウウウ!!


 プスッ!!

 プスッ!!


 駄目だ。


 駄目だ!

 駄目だ!



 やっぱり、僕何かに出来る筈がない。

 今までだって、偶々、出来ただけ。


 前世と変わらない。

 何の才能も無い。

 駄目な奴。


 僕は駄目だ。

 出来ない。

 涙が出た。



「御免。」




当方の作品をお読み頂いて、感謝の言葉しかありません。


宜しければ、感想や励まし、続きが見たい等お言葉を頂ければ幸いです。


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