逃げられない運命
大雅は資料を読み終わると、ため息をついた。
「なんだよ、魔法少女ミヤビ? 聞いたことないし、こんな大切な書類をただの一般人に見せても大丈夫なのか?」
大雅はしばし動きを止め、とりあえず資料については見なかったことにした。それでも、魔法少女ミヤビという人物について無意識に考えるのを止めることはできなかった。
◆◆☆◆◆
学校から帰り、ふと大雅はポストに目を向けた。何も入っていないようだが、以前体験授業に行った塾から広告の葉書が来ているのかも入れないと思い、中を覗いた。
白い紙が束になって入っていた。
「またか、誰だよ……」
大雅は渋々紙を手に取り、部屋に帰る。孤独感と微かな恐怖で、大雅は焦りを感じていた。何に対してかは分からない。ただ、気を抜けば莫大なものに吸い込まれそうな感覚になるだけだ。
だからこそ、カイが大雅の部屋に訪れることへの高揚感も次第に薄れていった。最近のカイの言葉遣いを振り返る。どれも、大雅に気を遣って発せられたものだと分かる。大雅はそのことに申し訳なさと、自分がまだ中学生という子供であることに無力感を感じていた。
ピロン、と音が鳴り、鞄の中のスマートフォンが振動した。メッセージが来ているようだ。相手はカイだった。
『こんばんは。仕事が長引いて今日は行けなさそうです。夕食は自分で食べてね! ごめんなさい!』
ふっと肩の力が抜けた。今日はいつものように一人だ。
大雅ははっと顔をしかめる。肩に力を入れるほどの感情をカイに対して感じていたのか、と自分を非難する。自分を心配して、忙しい中自分のためにここまで来てくれているというのに。
夕食は何にしようとぼんやり考えた。しかし、その前に資料を読んでおきたいと思い、鞄の底に手を入れた。




