表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女ミヤビを探しています  作者: 雨宮 叶月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/17

みんなでしあわせになりませんか

 あるオカルト掲示板に寄せられたもの※現在はリンク切れ


【みんなで幸せになりませんか】


 1:名無しの口裂け女

 こんばんは。高みに行けて気分が高揚しているので書き込みました。文章がおかしかったらすみません。

 僕は高校二年生だったんですけど、そろそろ受験に本腰いれなきゃいけないじゃないですか。特に英語がヤバくて、夜11時くらいまで英単語の勉強していたんです。でも全然覚えられなくて泣きそうになって、ちょっとだけ休憩しようかと。赤シートを目に当てて、ぼんやりしてたんですね。親は寝てて、外から木の葉がこすれる音だとか、大音量の音楽を流した車が通りすぎていくのとか、そういう音を聞いていました。自分が空気に溶け込んでいる気がします。


 何か、変な音がしたな、と思ったんです。


 外じゃなくて、比較的近くから。耳元で聞こえるようで、でも恐らく玄関か洗面所辺りで何かが動いているような音でした。布がこすれる音、まさにそれです。あと足音。一歩踏み込んで、こちらの様子を窺うために一時止まって、また一歩、近づいてきているんです。視界は真っ赤、だからぐにゃりって歪んでいる錯覚を覚えたりもします。

 余計怖くなって、赤シートを目から外しました。そしたら、しーんって静まり返ってるんです。当たり前ですよね。で、もう一回目に赤シートをかざす。今度はチッチッチッチっていう時計の針が秒針を刻む音、外で車がクラクションを鳴らして、あとパチパチ何かが燃えてる音。言い出したらキリがありません。

 それだけだったら勘違いですむんですよ。ああ僕疲れてたんだな、眠かったんだなって思います。分かりますか?衝撃的なものを目で見たとき、僕たちは一生忘れることができないんです。もし忘れてしまったら、それは僕たちのせいではありません。

 赤シートの端っこに、赤い字で「縺セ縺サ縺?§繧?◆縺吶¢繧上◆縺励≠縺ゅ♀繧鯉ス舌≧縺?ス弱○縺?℃縺ゅ≠?舌≧縺?>??↑縺?∞縺翫>?」(エラー:文字化け)って書いてたんです。誰かにすり替えられたのかもしれません。そういえば大きさ合わないなって思ってました。僕、もう一回赤シートを目にかざしたんです。化け物がいました。綺麗な服を着た化け物。みんな笑ってました。怖いですよね。怖いはずなのに僕は、安心したんです。僕はこれでもう大丈夫だ、そう信じてやまないんです。みんなを愛したい。愛されたい。そしたら、廊下の奥からのこぎりが運ばれてきました。みんな笑ってました。みんなのこぎりを持っていました。僕は目から赤シートを外せませんでした。夢みたいに。金縛りにあったみたいに。ずっとずっとこのために生きてきたみたいに。忘れてしまった何かを思い出すために。

 幸せになるために。

 僕はいつの間にかのこぎりを持っていました。赤シートは床にひらひら落ちていく途中です。でも残像は消えませんでした。

 みんな笑ってました。

 なら大丈夫か。僕はのこぎりを首にあてて、そのときはっとしたんです。僕はいったい何をしようとしたのか。

 みんなすごい顔で僕のことを見ていました。睨んでるんじゃなくて、憎んでるんじゃなくて、ああもったいないことをしたなあって可哀そうに思う顔です。なんで僕が選ばれたのか分かりません。

 夢を見ました。僕が小さな子供をかばって、不審者に刺される夢です。現実味がない。僕は子供が好きですけど、見ず知らず、たとえ知っていたとしても子供なんてかばいません。自分の命が一番ですから。

 でも、すごく泣きそうな気持ちになるんです。僕を見て泣かないでほしい、助かってよかったなあ。それだけです本当に。愛おしい。その子は僕にとってどんな存在だったんでしょうか。たかが夢ですがね。

 僕はそんな夢をふらふらさまよっていました。みんなみたいにきれいな部屋で、狭いのに広い。そこに自分が映し出されるんです。一年後の夏であったり、大学生、結婚してから、あと、小学生のとき。でも全部、僕の最期なんですよ。どうやって死ぬか。どんな気持ちを残しているのか。本当に、幸せだったのか。

 そんな夢を見ているうちに、僕はみんなと幸せになることになったんです。目を開けたら、痛くて。みんな笑ってました。異常に顔が膨らんでるきれいなひとに、首をつかまれてのこぎりでぎりぎりぎりぎりどくどく。これ以上説明するとBANされるので(笑)

 黒い液体です。正義の液体です。別に成分は分かんなくていいんですよ。ほら、この世に知らなくていいことってたくさんあるじゃないですか。それと同じです。

 皆さん知ってますか!?僕たちの人生は、Aメロを飛ばしてBメロに進んでしまったんです。サビもですよ。だから、僕たちはAメロから人生をやり直すんです。みんな優しいですから。やさしい世界。アットホームな世界です。おいしいものを食べるとか、成功したとか、やっと愛してもらえたとか、それよりももっともっと幸せな世界です。ここに比べたら前は地獄でした。

 僕はより幸せになるために頑張りました。僕もきれいになって、黒い液体が流れることはなくなりました。生きているってこんなにいいんですか?

 地獄で、もうちょっとだけ頑張ることにしました。急にいなくなるのはよくないですからね。

 今日はね、褒めてもらえたんです。頑張ってるね、えらいねって。なんていい気分なんだろう。頑張ってよかった。抱きしめてもらえました。頭を撫でてもらえました。孤独を感じて泣くなんてことはもうありません。

 質問があったらできるだけ答えます。嬉しいので。皆さんも幸せになれたらいいなあ。


 2:名無しの口裂け女

 釣りならやめてください


 3:名無しの口裂け女

 >>2

 釣りじゃありません


 4:名無しの口裂け女

 黒い液体が気になります。教えてください


 5:名無しの口裂け女

 >>4

 知らなくていいことです


 6:名無しの口裂け女

「みんな」のことについて教えてください!


 7:名無しの口裂け女

 >>6

 いつだって頑張ってる人たちです。僕よりもずっときれいで、優しいです。


 8:名無しの口裂け女

 赤シート目にかざしてみました!何も起こりません……


 9:名無しの口裂け女

 >>8

 貴方はまだ選ばれていないだけです。いつか幸せになれる日が来るはずです。頑張ってください!


 10:名無しの口裂け女

 あなたは誰なんですか?


 11:名無しの口裂け女

 >>10

 僕は幸せになりたかった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ