Who is in control3 コントロールしているのは誰3
どういうことだ。
アンブローズはヒューマノイドを凝視した。
そもそもナハル・バビロンの政府施設内を延々と監視するはめになったのは、アリスのメッセージがもとだ。
その裏に、ドロシーがいたらしいことまでは分かっている。
そして、先ほどのドロシーの口調の語り。
「時代にそぐわない」「法の解釈の問題どころか」
ここは悠長に考えをまとめているような場所ではないと思うが、議事堂内の意外な様子にいまいち優先順位がつけられずにいた。
「アン」
ジーンが声をひそめてコソッと話しかける。
「いまさらだけどさ、ドロシーちゃんて作戦によっては携わってるメンバーにすら明確なメッセージを伝えることができないんじゃないの?」
アンブローズは、窓ぎわのヒューマノイドを凝視した。
それはあるだろう。
おなじ諜報にたずさわる隊員にすら都市伝説と思わせるレベルで潜伏する。「ステルス」の呼び名は伊達ではない。
「それでもギリギリの方法でお兄ちゃんに何か伝えてきた。もちろん、お兄ちゃんを諜報員として信頼してなんだろうけど」
「……兄さん言うな」
「お兄ちゃんって言ったよ?」
ジーンが返す。
口調は軽口だが、表情は真剣だ。ヒューマノイドから目を離さないアンブローズの代わりに議事堂を観察している。
「推測くらいは浮かんだけど、ここでゆっくり話はできないでしょ。ドロシーちゃんがぜんぶ “誤射” してくれたし、アン、ここはいったん脱出しない?」
ジーンが提案する。
アンブローズは、ホッと息を吐いた。
議事堂のあの様子が何であるのか、ドロシーが何か伝えたいのだとしたら何なのか。
それをあきらかにするのが無事脱出につながるのか、それとも何も考えずにまず脱出するほうが安全の確率が高いのか。
軽く迷っていたが、ジーンのセリフで判断がついた。
「できれば議事堂のあの様子を画像かなにかに保存していきたいところだけど、まあ、あとでどっかのシステムに侵入すれば何とかなるでしょ、たぶん」
ジーンがそうつづける。




