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第7話 ふゆこ

休憩室にて。


負傷したひよこの女剣士は、隅にある簡易ベッドに寝かされていた。


どんな内傷を負っているか分からなかったため、店主は彼女を動かすことを恐れ、気絶した時の「うつ伏せ」の姿勢のままにしておくしかなかった。


そのせいで、彼女のお尻に突き刺さったあのもやしは、依然として頑固に直立しており、彼女の微弱な呼吸のリズムに合わせて上下に揺れ、一際目を引いていた。


「ゴホン!」


わざとらしい咳払いが静寂を破った。


クスマは足早に歩み寄り、厳粛な表情を作り、汗を拭こうとしていたウェイトレスを翼で遮った。


「待たれよ!」


「うわっ!あ、あなた誰ですか?いつ入って来たんですか?」


恩人の世話に集中していた店主とウェイトレスは驚き、突然現れた見知らぬひよこを恐る恐る見た。


「俺は彼女の仲間だ!」


クスマは顔色一つ変えず、ベッドに伏せている女剣士を指差し、もっともらしくデタラメを並べ立てた。


「むやみに触れてはならん!彼女は奥義を使ったばかりで、今体内の魔力が非常に乱れている。下手に触れば反動で傷つくぞ!」


「き、傷つくですって?!」


ウェイトレスは怯えて翼を縮こまらせ、タオルを落としそうになった。


「その通り!非常に危険だ!」


彼らが怯んだのを見て、クスマは畳みかけるように、専門家のような口調で言った。


「彼女に今一番必要なのは安静、そして大量のエネルギー補給だ!悪いがすぐに用意してくれ……そうだな、店で一番高くて、一番栄養のある料理を!多ければ多いほどいい!ここは俺に任せておけばいい、早く行け!!」


「は、はい!ただいま!」


店主とウェイトレスはペコペコと頭を下げて休憩室から退出し、気を利かせてドアを閉めてくれた。


(ふぅ……やっと邪魔者を追い払えたぜ)


ドアの鍵が「カチャリ」と掛かる音がして、部屋にはついにクスマと昏睡状態の女剣士だけが残された。


クスマはすぐに達人の仮面を脱ぎ捨て、冷や汗を拭うと、振り返って女剣士のお尻にあるもやしの「田植え」位置を凝視し、眉をひそめた。


(おかしいな?こんな場所に当たって気絶するか?ここに急所なんてないだろ?)


クスマがこの「不可思議な戦果」に首を傾げている時――


(まあいい!とにかく証拠隠滅だ!)


彼は意を決し、震える翼の先を伸ばし、誰にも知られずにその罪証を抜き取ろうとした。


翼の先がもやしに触れようとした、その時――


「うぅ……」


微かなうめき声が響いた。


─ (•ө•) ─


意識が、底なしの湖の底から、ゆっくりと浮上してくるようだった。


目覚めたばかりの女剣士は、まぶたが千斤の重さのように感じた。


彼女は力を振り絞って目を細めると、視界はぼやけており、うつ伏せになっているため、最初に目に入ったのは下の木製の床板の木目と、ベッドの脚元の小さな影だった。


全身の力が吸い取られたようで、唯一はっきりしている感覚は、体の言い出しにくい部位――お尻から伝わってくる、奇妙な刺痛だけだった。


(私……あの悪党を格好良く倒したはずじゃ……)


彼女は辛そうに眼球を動かし、周囲の状況を確認しようとした。その混沌とした視界の端で、ぼやけた人影が徐々にはっきりとしてきた。


彼女がわずかに頭を傾けると、少し痩せた黄色いひよこが見えた。頭にはしおれた小さなもやしを乗せ、ベッドの脇にしゃがみ込み、心配そうに(実はやましそうに)彼女を見つめていた。


彼女の角度から見ると、相手はずっとベッドの傍を離れず守ってくれていたように見えた。


そしてこの密室には、彼の他に誰もいない。


(この方が……私を助けてくれたの?)


夢うつつの虚弱な状態で、彼女の単純な脳回路は一本の直線を導き出した。私が倒れた→この人が現れて一人で守ってくれていた。


結論:彼は英雄だ。


危機一髪の場面で挺身し、見知らぬ者を黙って守り抜く、無名の英雄。


その考えが一度生まれると、それは種が肥沃な土壌に落ちたかのように、彼女の心の中で瞬時に根を下ろし芽吹いた。この善良で、思考回路が真っ直ぐな灰色のひよこは、懸命に顔を横に向け、目の前のこのもやしひよこの姿を見つめ、その目に「崇拝」という名の光を灯した。


それと同時に、クスマは突然目を開けた女剣士を見て、翼の先を空中で硬直させ、心臓が止まりそうになった。


(や、やばい……現行犯で見つかったか?!)


彼は尻尾を踏まれた猫のように、その場で勢いよく跳ね起きて直立し、同時に無意識に一歩後ずさった。


抜き取るのが間に合わなかったそのもやしは、彼の目の前で緑色の蛍の光となって、空気中に自然消滅していった。


(ふぅ……危なかった、自動消滅したぞ)


……


「……こんにちは……」


虚弱で、掠れているが、敬意に満ちた声が突然響いた。


「うわっ!」


クスマは驚き、両翼を素早く背中に回し、視線をあちこちに泳がせ、ベッドの彼女を直視できなかった。


「き、君、起きたのか!ハハ、目が覚めてよかった、よかったよ……」


女剣士は身を起こして感謝を伝えようともがいた。だが動いた瞬間、お尻に残る幻痛で顔色が白くなり、「いっ」と息を呑んで、再びふにゃりと倒れ込んでしまった。


彼女は起き上がるのを諦め、その少し不格好なうつ伏せの姿勢のまま、懸命に首を捻り、ベッドの脇に立つクスマを見上げ、できる限りの大声で、誠実に言った。


「先ほどは……本当にありがとうございました!あなた様がすぐに助けてくださらなかったら、私はきっと……」


(助けた?ああ、確かに手は出した……でも君が思ってる「助け」とは、方向性が億単位でズレてる気がするんだが……)


クスマの額に冷や汗が滲み、彼女の底まで透き通るような瞳と視線を合わせることが全くできなかった。


「私の名前はふゆこです」少女の声は小さいが、一言一言が力強く、決意に満ちていた。「英雄様、お名前を伺ってもよろしいですか?このご恩、私ふゆこは、将来必ずお返しすると誓います!」


「ク、クスマ……」


彼はどもりながら自分の名前を告げ、両翼を激しく振って残像を作った。


「いやいや!お返しなんて!本当にいいから!これはただの……行きがかり上、通りすがり、手が滑っ……いや、人助けだ!気にしないでくれ!忘れてくれ!」


(頼むから恩返しなんてしないでくれ!君の言う「英雄」が、さっき君の尻に暗器をぶっ刺した犯人だなんて知られたくないんだ!知られたら変態扱い確定じゃないか!)


クスマの心は絶叫していたが、表面上は無理やり平静を装い、気まずくも失礼にならない微笑みを保つことしかできなかった。


このとてつもない誤解が、休憩室の空気を、一時、凝固するほど気まずいものにした。


─ (•ө•) ─


クスマが言い訳を必死に考えて、その場から逃げ出す口実を探していた時――


「バン!バン!バン!」


乱暴に店を壊す音と、店主の慌てた制止の声が、ドア越しにはっきりと聞こえてきて、一瞬でその気まずさを打ち破った。


「旦那様方!入ってはいけません!中は私的な休憩室で……ああっ!」


それは店主の悲痛な叫び声で、食器が割れる音も伴い、明らかに相手を止めようとして痛い目を見たようだった。


「どけ!クソじじい!外を探してもいねえんだ、ここに隠れてるに決まってんだよ!」


「ドカン!」


脆い木のドアが蹴り破られ、ドア板が壁にぶつかって轟音を立てた。


見ると、先ほど逃げ帰った二人の手下が、今回は七、八人の、より厄介そうで人相の悪い助っ人を連れて、意気揚々と舞い戻ってきたのだ。


彼らの視線は探照灯のように部屋の中を一巡し、すぐにその場で呆然と立っているクスマと、簡易ベッドにうつ伏せで動けないふゆこをロックオンした。


「あいつらだ!一人が主犯で、もう一人が共犯だ!やっちまえ、一人も逃がすな!」


(終わった、仇討ちに来やがった!)


クスマは心臓が止まるかと思った。彼自身の実力は自分が一番よく知っている。一対一でも勝てるか怪しいのに、こんなに大勢相手では……しかもふゆこは「お尻重傷」の怪我人だ……まともにやり合えば死ぬしかない。


「逃げるぞ!」


生死存亡の危機を前に、クスマの遺伝子に刻まれた「危機回避」の本能が瞬時に体を乗っ取った。


彼はもはや一切躊躇せず、まだ弱っているふゆこを背負い上げると、彼女のお尻が痛かろうが構わず、身を翻して休憩室の窓へと突進した。


「逃げる気か?追え!」


背後から追っ手が迫る。


クスマは高尚な身のこなしなど知る由もなく、ただ強烈な求生意志だけで、ふゆこを背負って窓から飛び出し、王都の入り組んだ路地裏で、ドタバタの大逃走劇を開始した。


ふゆこを背負い、息を切らしながらも、彼の足取りは異常なほど軽快だった。


追っ手を撒くため、彼は時に雑多な物が積まれた袋小路に潜り込み、時に慌てて壁をよじ登り、時に路上のゴミ箱や物干し竿を掴んでは、考えもなしに後ろへ放り投げた。


しかし、彼が慌てて角を曲がった時、足が急に止まった――


前方に巨大な泥水溜まりが現れたのだ。


「うわっ!」


クスマは急ブレーキをかけようとしたが、足が滑り、バランスを崩して、ふゆこごと――泥水溜まりに突っ込みそうになった!


「うわああ!」


手足を振り回す中で、クスマは無意識に頭上の物干しロープを掴んだ。


このロープは意外にも丈夫で、二人の重さと前方への勢いによる二重の負荷で、一瞬にしてピンと張り詰めた!


「ヒュンッ――」


この予期せぬ張力が、奇跡的に転びそうになった二人を一緒に「吊り上げ」、二羽のひよこは巨大な振り子のように、華麗に(実際はスリリングに)その泥水溜まりを飛び越えた。


「ダンッ!」


クスマの両足が重く着地し、二人の衝撃を受け止めて膝が砕けそうになった。だが彼は歯を食いしばって耐え、よろめきながら重心を立て直し、背中のふゆこを支え直して、狂ったように走り続けた。


一方、後ろから追いかけてきた一人のチンピラはそこまで運が良くなく、ブレーキが間に合わずに「バシャン」と音を立てて、泥水たっぷりの穴に頭から突っ込んだ。


「うわっ!なんだその技は?!」後ろのチンピラが驚きの声を上げた。


背後の混乱に乗じ、クスマは振り返りもせず、先ほどの勢いを借りて軽やかに着地し、足を止めずに風のように走り続けた。


ふゆこはクスマの背中に張り付き、体が宙を舞う感覚を味わい、極めて危険ではあったが、クスマのその「流れるような」動きを見て、心の中に強烈な安心感が湧き上がってきた。


彼女はクスマの横顔を見つめた――


彼が、あの全く予測不能で、型にはまらず、甚だしきに至っては極めて無様で見苦しいとさえ言える姿勢で、何度も何度も絶境の中で、最も馬鹿げた方法で追っ手を振り切るのを見ていた。


彼女の厚い「崇拝フィルター」のかかった目には、その全てが自動的に、眩いばかりの、英雄のような金色の光に包まれて見えた。


(す、すごい……!彼の全ての動作がこれほどまでに自由奔放で、全く予測できない!)


(さっきの足が滑ったのも……地形を利用して危機を脱し、私を連れて泥水溜まりを飛び越えるためだったなんて!これぞ伝説の、『自由自在』の最高境地なのでしょうか?こんな……こんな逃走の身法まで、これほどまでに深遠だなんて!)


しつこい追っ手を撒くため、クスマは道など構わず、路上の木箱を踏み台にして高所へ飛び上がり、二人の戦場は瞬く間に泥濘の道から滑りやすい屋根瓦の上へと移った。


最後には、クスマが足を滑らせ、背中のふゆこごと屋根の縁から転がり落ち、その勢いで「ガシャーン」と腐った木の窓を突き破り、廃倉庫の干し草の山に重く突っ込んだ。


「ゲホッ、ゲホッ……」


舞い上がった埃にむせたが、幸い干し草が厚かったおかげで、二人に怪我はなかった。


しかし、息を整える間もなく、窓の外から突然、乱雑な足音が聞こえてきた。


二人は慌てて口を塞ぎ、干し草の山の奥深くで息を潜めた。その足音と罵声が遠ざかり、追っ手が通り過ぎたのを確認して、ようやく彼らは安堵の息を吐き出した。


危機が去ると、体を支えていた力が一瞬にして抜けたようだった。クスマは干し草の山からもがき出ると、すぐに両足の力が抜け、泥のように地面にへたり込み、大口を開けて死にそうに喘ぎ、舌まで出してしまった。


それに比べてふゆこは、終始クスマに背負われて走っていたため、少し目が回る以外は、顔色も変わらず息も切れず、体力は有り余っていた。


今、彼女の顔には疲労も恐怖もなく、かえって極度の興奮と熱狂が輝いていた。彼女は体の埃も気にせず、地上のクスマを見て、激動して言った。


「あ、あなた……先ほどの身法は何ですか?まさに神業です!特にあの地形を利用し、危機を好機に変える戦術……どうか……どうか私に教えてください!」


彼女はなりふり構わず一歩前に出ると、クスマに向かって深く一礼した。その角度は分度器で測ったかのように完璧だった。


彼女は深呼吸をし、全身全霊の力を込め、クスマに向かって、今彼女が抱く最強の願望を叫んだ。


「弟子にしてください――師匠!」


その大声は、空っぽの倉庫に響き渡り、クスマの耳をワンワンと言わせた。


クスマは苦労して地面から這い上がり、口元を激しく引きつらせ、泣くよりも酷い表情を浮かべた。


「いやいやいや!君は勘違いしてる!俺は本当に達人なんかじゃ……」


彼は慌てて翼を振り、このとんでもない誤解を解こうとした。


「師匠!あなたが私の誠意を試そうとしているのは分かっています!」


ふゆこは全く聞く耳を持たず、かえって何かに励まされたかのように、眼差しをより一層堅定なものにし、再び深くお辞儀をした。


「どんなに厳しい修行でも、絶対に退きません!」


「試練じゃないって!俺は本当に……」


「どうか私を追い出さないでください!必ず努力して学びますから!」


「俺は……」


「師匠!」


「いや、聞いてくれ……」


「師匠!!」


「……」


目の前の、瞳をキラキラさせ、彼に話す隙も与えず、強引かつ一方的に弟子入りを宣言したふゆこを見て、クスマは完全に抵抗を諦めた。


(師匠?俺が?さっき君の尻に暗器をぶっ刺して、ただ逃げ回ってただけで、あやうく君と一緒に泥水溜まりに突っ込むところだった……師匠が……?)


彼は口を開き、何か言おうとしたが、この重く盲目的な崇拝を前に、どこから説明すればいいのか全く分からなかった。


(これ……とんでもない厄介事を背負い込んだんじゃないか……?)

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