第3話 忍者
早朝の陽光が粟の村の広場に降り注ぎ、この静かな土地に金色の縁取りを与えていた。
広場の中央にある突き出た大きな岩の上に、クスマが立っている。
彼は両翼を腰に当て、自分自身が最高に格好良く、最も「忍者」らしいと思うポーズを必死に取っていた――片足で立ち、両翼を鶴のように広げ、深遠な眼差しで遠くを眺め、まるで世界の真理について思考しているかのように。
ただ、彼の頭頂部にある栄養失調気味のもやしが、朝風の中で力なく揺れているせいで、彼は絶世の達人というよりは、頭に雑草を生やした、造形の奇妙な安物の彫像のように見えた。
「今日はいい天気だな、そうだろう?」
クスマは深呼吸をし、誰もいない空に向かって感慨深げに言った。その口調には、強者ゆえの孤独が満ちていた。
「太陽さえも、この俺に微笑んでいるようだぜ!どうやら、これが選ばれし者――つまり、この俺様の待遇ってやつだな!」
台の下で、通りがかった三羽のひよこの子供たちが足を止めた。
彼らは顔を上げ、馬鹿を見るような目で岩の上のクスマをじっと見つめた。その中の一羽が、垂れ落ちそうな鼻水を「ズズッ」と音を立てて力いっぱいすすり上げ、声を潜めて仲間に言った。
「ママが、変なおじさんと話しちゃダメだって。早く行こう」
「ぶふっ――!」
岩の上のクスマは、見えない矢で膝を射抜かれたかのように、足の力が抜け、あやうく岩から転がり落ちそうになった。
(お、おじさん?!)
クスマは目を丸くし、心の中で絶叫した。
(俺はまだ成人したばかりだぞ!この顔には青春と格好良さが溢れているはずだろ、どこがおじさんなんだよ?!)
「待て!」
この貴重な(礼儀知らずだが)観客たちが逃げようとするのを見て、クスマは焦り、呼び方を訂正するのも忘れて叫んだ。
彼は岩から飛び降りた――着地の際によろめき、無様に転びそうになったが――翼を広げ、彼らの行く手を阻んだ。
「そう急ぐな、未来の強者たちよ!君たちは、伝説の忍者が誕生する瞬間を、その目で目撃したくはないのか?」
クスマは自分では魅力的だと思っている笑みを浮かべ、言葉巧みに誘った。 ひよこの子供たちは顔を見合わせたが、最後にはその「伝説」という言葉に丸め込まれ、不承不承といった顔つきながらも、大人しく地面に座り込んだ。
─ (•ө•) ─
過去三ヶ月、クスマは村で、ある意味「意気揚々」としていた。
あの隕石にチキンマックナゲットにされかけたとはいえ……彼は奇跡的に生き延びただけでなく、能力まで覚醒させたのだ!この輝かしい武勇伝は、彼を村のクソガキたちの間での……まあ、少なくとも「話題の人物」にはした(その話題のほとんどは「あの隕石で頭が壊れたおじさん」というものだったが)。
「ゴホン!」
(存在しない)ファンたちの歓声を聞きながら、クスマは得意げに胸を張り、自分が世界の中心であるかのように感じていた。彼はこの三ヶ月間の「地獄のような」修行の成果を披露し、この世間知らずのクソガキたちを震え上がらせてやろうと決心した。
「よく見ていろ!」
クスマは翼の先を伸ばし、ひよこの子供たちの前で勿体ぶって振ってみせた。
「これぞ――忍者秘伝・もやし召喚の術!」
彼は精神を集中させ、息を止めると、翼の先が緑色に一瞬光り、「ポン」という軽い音と共に、新しい、まだ露に濡れたもやしが一本、空中に現れて彼の手の中に収まった。
『硬化!』
彼は低く叫び、眼光を鋭くした。手の中のもやしは瞬時にピンと張り詰め、空気を充填されたかのように、微弱だが硬質な魔力の光沢を帯びた。
「おおおーっ!」
クソガキたちは、これがどんな高度な技なのかは分からなかったが、それでも空気を読んで、感嘆の声を上げてくれた。 あの鼻水をすすっていたひよこが翼を挙げ、無邪気な顔で尋ねた。
「変なおじさん……じゃあおじさんの能力は、硬いもやしを出すことなの?それ食える? 」
クスマの額に青筋が浮かんだ。
「第一に、『忍者のお兄ちゃん』と呼べ!変なおじさんじゃなくてな!」
彼は深呼吸をし、達人としての風格を保とうと努めながら、厳粛に訂正した。
「第二に、これはただのもやしじゃない!これは――忍者の飛針だ!暗器だ!命を奪う利刃だ!分かるか?利刃だぞ!これは敵の喉を貫くことができる恐ろしい武器なんだ!」
クソガキたちが呆気にとられている表情を見て、クスマは心の中でほくそ笑んだ。
(へへっ、見たか?これが気迫ってやつだ!やっぱり俺が気まずくなければ、気まずいのは相手の方なんだよ!)
クスマは満足げに手の中のカチカチになったもやしを弾き、その澄んだ音を聞きながら、かつての血と涙の歴史を思い出していた。
覚醒したばかりの頃、彼の哀れな『硬化』能力は、三回使ってようやく一回成功する程度だった。しかもその硬度はたった十秒しか持続しなかった。
つまり、もやしを具現化させてから発射するまで、躊躇できる時間は十秒もないということだ。さもなければ、暗器は空中でふにゃふにゃの野菜に戻り、敵にただ食材を提供するだけになってしまう。
「だがな……」
クスマは咳払いをし、再び口を開いた。その口調は誇りに満ちていた。
「今や!この俺様の熟練度は少し上がった!」
彼はその硬化したもやしを、聖火のように高々と掲げた。
「三回に二回は成功するようになったぜ!それに……」
彼はわざと間を置き、子供たちの期待(実際は呆れ)に満ちた視線を楽しんだ。
「持続時間は、三十秒に伸びた!相変わらず自分が具現化したもやしにしか効かないが……これだけで十分だ!」
「良い方に考えよう」と彼は心の中で密かに付け加えた。
(俺のもやし飛針が、飛んでる途中で食料に変わることはもうない……たぶんな)
「おじさん!変なおじさん!もう一回やって!もう一回!」
一番小さいファンが囃し立てた。どうやら彼を奇術師だと思っているらしい。
「だから『お兄ちゃん』だって……まあいい」
クスマはため息をつき、クソガキ相手に呼び名で目くじらを立てるのはやめることにした。彼らのその崇拝の眼差しは本物なのだから。
「ふん、欲張りなガキどもめ」
クスマは気前よく、手の中のまだ硬いもやしを、その囃し立てた子供に手渡した。
「ならば、連発というものを見せてやろう!」
クスマは大喝し、再び精神を集中させ、二本目のもやしを具現化して『硬化』を発動し、達人の風格を見せつけようとした。
『硬化!』
彼は力いっぱい手を振った。
……
新しく現れたもやしはふにゃふにゃで、何の反応もなく、まるで死んだ虫のように彼の翼にぶら下がっていた。
「……あ」
クスマの笑顔が完全に凍りつき、顔の筋肉がひきつった。
「あれ?」
子供たちは首を傾げ、その目は困惑に満ちていた。
空気は三秒間、静止した。風がもやしを吹き抜ける音だけが聞こえる。
失敗の気まずさを誤魔化すため、クスマは何食わぬ顔で翼を振り、この「不良品」をこっそり後ろへ捨てようとした。
しかし力が入りすぎて……
「ぺちっ」
そのふにゃふにゃのもやしは飛んでいき、寸分の狂いもなく、あの鼻水をすすっていたひよこの頭頂部に着地した。
ひよこは頭の上のふにゃふにゃのもやしを取り、隣の友達が持っているカチカチのもやしと見比べ、一秒ほど首を傾げて考えた。
そして、彼は手の中のふにゃふにゃの方を口に入れ、「ムシャムシャ」と噛み始めた。
「……ちょっと生だね、変なおじさん」
(この期に及んで変なおじさんかよ!俺のまだ始まってもいない青春を老人ホーム送りにする気か!?)
クスマの口元が激しく痙攣した。
(くそっ!きっと朝飯が足りなくて、魔力供給不足だったんだ!ファンたちの前で恥をかいた!)
「ゴ、ゴホン!」
彼は気まずそうに翼を引っ込め、強引に話題を変えて、少しでも面目を保とうとした。
「こ、これはわざとだ!虚実入り混じる、これぞ忍者の真髄!敵を油断させるんだ!分かったか?今日のショーはこれでおしまい!解散!!」
言い終わると、彼は逃げるように、もやしを噛んでいる子供たちを放置して、ぎこちない足取りで、振り返りもせずにその場を去った。
─ (•ө•) ─
クスマはうなだれて家路につき、無実の小石を蹴飛ばした。
「ぐぅ……」
腹が間の抜けた長い音を立て、彼のわずかに残っていた『達人の風格』を粉々に打ち砕き、無情にも現実へと引き戻した。
疲労と空腹で、クスマは自分が最高に惨めだと感じた。 だが彼をさらに絶望させたのは、帰宅後に待っているあの「万年不変」の食事を思い出したことだ。
「食料といえば……」
「はぁ、来る日も来る日も粟粥ばっかりだ」
彼はぺちゃんこの腹をさすり、恨めしそうに空を見上げた。
「正直、俺は今あの黄色くてネバネバした液体を想像しただけで吐き気がする……これ以上食べ続けたら、自分自身がネバネバした黄色い重湯になっちまいそうだ……」
その考えがよぎった瞬間、彼の脳内のあの謎の青い点が突然活発になった。
鮮明すぎて涎が出そうな映像が、一瞬にして脳裏に浮かんだ。湯気の立つ濃厚なスープ、縮れたコシのある黄色い麺、そしてその上に乗った分厚いチャーシューとメンマ、濃厚な香りさえ漂ってくるようだ。
「……ラーメン。ああ、あの『ラーメン』ってやつが食いたいなぁ!」
クスマはゴクリと喉を鳴らし、腹の音がさらに大きくなった。だが、ここには小麦すらなく、あるのは無尽蔵の粟だけだと考えると、彼は絶望した。
「もういい!」
彼は激しく頭を振り、その魅力的な映像を振り払おうとした。
「嫌なことは今は忘れよう!いつか俺は強いひよこになるんだ!世界中を旅して、各地の美食を食べ尽くす!」
彼は拳を握りしめ、自分を励まし、その瞳には食いしん坊の炎が燃えていた。
「なぜなら俺は特別だからだ!俺には『神々』の知識がある!!」
過去三ヶ月の間に、彼は自分の脳内の青い点が、時々あの「青い惑星」の知識の断片を伝えてくることに気づいていた。
そして彼はある法則を発見した。彼の感情の起伏が激しいほど――極度の興奮であれ、極度の悲憤であれ、あるいは極度の気まずさであれ――その青い点が伝える知識の断片はより鮮明になるのだ!
(これはきっと『神々』からの贈り物に違いない!)
彼はそう確信していた。
(あの青い惑星こそ、『神々』の住む場所に違いない!でなければ、聞いたこともないようなクールなものがたくさんあるはずがない!)
クスマは考えれば考えるほど嬉しくなり、足取りも軽くなった。 彼は自宅の裏庭に行き、よく練習台にしている古木を見つめた。
「ふふん」
彼は両翼を腰に当て、得意げに胸を張った。
「俺の『硬化』の熟練度はまだ低いが、俺はもう強い『忍者』と言えるだろう!」
「なぜかって?」
「この三ヶ月で、俺は超――たくさんの忍者のポーズをマスターしたからだ!」
あの日々を思い出す。彼の脳内の青い点はいつも異常に活発で、知識を伝えるだけでなく、映画のように、いくつかの不思議な映像を彼に見せてくれた。
それはピンク色で角の丸い四角いカメラのアイコンの中で見たもので、中に虫眼鏡があり、その上にはこう書いてあった:
#忍者コスプレ
「あれは間違いなく神々の戦う時の構えだ!」
続いて、彼は深呼吸をすると、突然腰をありえない角度まで後ろに反らし、片方の翼で顔半分を隠し、もう片方の翼を天高く掲げ、今にもギックリ腰になりそうな超絶ポーズをとった。
「でなけりゃあんなにカッコいいはずがない!」
「ポーズがあんなにカッコいいんだ!!戦闘力も高いに決まってる!!!」
「おお!俺はなんて天才なんだ!神々のこんなに複雑な戦闘体術まで完璧に再現できるなんて!我ながら感心するぜ!ハハハハハ!!」
……
誰もいない裏庭で、一羽のひよこが木に向かって、そのねじれたポーズを維持したまま狂ったように笑っていた。 遠くの家の中で、父さんが窓越しにトチ狂っているクスマを見て、呆れたように首を振っていた。
彼は無意識にまだ痛む尻をさすり、この子は前回自分が殴って頭がおかしくなったんじゃないかと思い……その後、長いため息をつき……そっとカーテンを閉めた。




