鋼の弁慶、孫に嫌われる。
今週分です。ほぼ同時投稿を4話行きます。
まずは1話目。
「ワシもうダメじゃ…主よ、もうほっといてくれ…」
どうした?メルタが負のオーラをまとって部屋の隅で三角座りをしていて、心なしか部屋が暗く感じる。
「どうしたの?」
「もういいんじゃ…ワシはこのまま錆びてしまえばいいんじゃから…」
うわー…何事か分からないけど重症なのは確かだわ。
気のせいかもしれないけど鉄でできているはずの身体にシワが入って見える。
「何があったの?話してみ?」
「実はの…」
sideメルタ
非番じゃったワシはアムとおつかいに行っておったんじゃ。
「今日はカレーじゃな?」
「うん!タクミが言ってた。」
「ならば最初はここから近い野菜からじゃな。」
「そういえばレグはどうしたんじゃ?昼寝かの?」
「うんん、お兄ちゃんとかくれんぼ」
「そ、そうか…主もムキになるのう」
そんな話をしながら順調に買い物をしておって、食材はあと肉を買うだけのところまでいっておったんじゃが…
「待てぇ!」
「メルタさん!ソイツ捕まえてください!」
衛兵2人に追われとる男がカバンをがっしり抱えて走っとったんじゃよ。
「アムよ、離れてなさい」
「う…うん。」
何があったのかは知らんがワシも街を守るべき衛兵の一員。買い物をそっちのけにしてでも捕まえなばならん。そう思うて男の前に立ち塞がったんじゃが…
「どけどけぇ!」
「まずいっ!」
ナイフを手に持ってアムがおる方に方向転換しよったんじゃ。
「【ロックウォール】!」
アムが人質に取られたらまずい。咄嗟に岩壁を作ったんじゃ。
ビッターーンバタッ
目の前に壁が現れたからの。きれいなまでにぶつかって倒れよった。
「ゼェ…ゼェ…ハァ…ヒィ…メ、メルタさん、ありがとうございます。助かりました。」
「何があったんじゃ?カバンを抱えて走っとったところからみて、盗みかなんかかの?」
「い、いえ、おそらく麻薬です。」
「まっ?!本当なのか?」
「ええ。この男の表情から違和感を感じて声をかけたんですが、その時にカバンを落として中から麻薬と思われる白い粉が。」
「この者がただの薬師だと言う可能性は?」
「薬師なら逃げなくてもいいはずですし、この男を見ればメルタさんも違和感を持つのでは?」
「まぁの。いや、疑う根拠を聞いておきたかっただけで、お主らを疑っとるわけではないんじゃ。気を悪くせんでくれ。」
「大丈夫です。メルタさんがそういうことをなされないことは知ってますから。」
この男の話は今はどうでもよい。
問題はここからじゃ。
衛兵2人に気を失ったままの男を任せて、アムの方に戻ったんじゃ。
ガシッ
「アム!怪我はないか?何もされてないか?どこか痛いところは?」
「痛〜い!」
ワシの反応が遅れてアムに怪我をさせてしまったのか?思わずアムに肩に置いた手に力が入った。
「どこがじゃ?!まさか刃が当たったのか?!どう痛いのじゃ?!」
「おじいちゃんの手〜痛い!!かた〜い!!」
ワシの身体がアムに痛い思いをさせてしまったんじゃ…。




