脱出
牢には種族様々な女性や女の子。数は14人。今日の2人を足すと16人だから3、4日おきに2人の計算で1ヶ月弱といったところだろうか。
全員、後ろ手に吸魔石合金の手枷を付けられている。
中でもヤバいのが奥で倒れた今にも生き絶えそうな人達。ろくな食料や水も与えられていなかったのだろう。完全に虫の息だ。
「リョー様、こちらも証拠資料を全て集め終えました。」
「セナさん、資料庫に鍵なかったですか?」
「いくつかございます。」
「とりあえずありったけの鍵こっちに下さい」
鍵は全部で5本、どれがどれかなんてかわからないので一本ずつ手枷に差し込んでみる。
カチャカチャ
「違う。」
カチャカチャ
「これでもない。」
ガチャンッ
「これだっ!」
開放した手を楽なようにさせて寝かせる。
商品として補充用の回復・魔力ポーションを水で薄め、口からゆっくり流し込む。
口の端から少しこぼれているが関係ない。今は応急処置だ。何もしないより数倍マシだろう。
「すうぅー すうぅー」
呼吸が少し安定してきた。
「セナさん、匠、それからそちらの2人も手伝ってください」
「え…?は、はい」
「あ…はいっ!」
5人で手分けし、重症度の高い順にポーションを飲ませていく。
「あの…あなたは?」
少し落ち着いたのか、手伝ってくれた女性が申し訳なさそうに聞いてきた。
「お、俺は…えぇーっと…」
チラッチラチラッ(セナさんどうしましょう)
目線で助けを求める俺。
「リースからやってきたメイドと冒険者でございます。」
「セナさん!?」
「これからリースで保護することになるのです。遅かれ早かれ分かることです。」
いいのかよ。っていうかこの人メイドだったんだ
「あぁ〜…俺は冒険者のリョーっていいます。こっちのしゃべる鳥は相棒の匠で、そちらが」
「リースの領主のメイドをしております。黒豹族のセナと申します。」
全身黒ずくめの格好からは想像しにくいほど完璧な礼儀作法で挨拶する。さすがはメイドといったところか。
「皆さま、ご家庭に戻りたいとお思いでしょう。ですが申し訳ございません、一度リースで保護させていただきます。事件の事実関係がはっきり分かり次第、各ご家庭に送り届けさせていただきます。」
少しざわめく。
やっと開放されると安心した者、まだ家に帰ることができないと肩を落とす者、事の重大さが分かってない小さな子ども。
反応は様々だ。
「外に仲間が待機してます。動ける方から出ましょう。」
表には匠が呼んでおいた飛行板。
「無事に鎮圧したようじゃな」
「大人数…そんなに乗る?」
「この上に乗ってください。街を出ます。」
運転手2人+人攫い共8人+侵入組2人(匠はどこでも乗れるし飛べる。)+女性16人(行動不能者込み)、計26人。
二台の飛行板をピッタリ横付けで並走させても2メートル四方だと狭すぎる。
仕方ないので、スキルで追加の飛行板を作って、3台体制で運ぶ。
俺が運転する飛行板(新)には子供が4人と眠ったままの女性3人の計7人
メルタの飛行板(元飛行布団)にはセナさんと人攫い共8人の計10人
ティールズの飛行板(元屋台)には匠と動ける女性が8人の計9人+一羽
夜の闇の中、空をかける3枚の板は誰にも見られる事なくベスガの街を後にする。




