10話 上京頑張りますっ!
前回の最後は不穏な雰囲気だったな。
私と澪との間に一体何があったのか。
今回はそれを回想するぜ。
そう。あれは、ミンミンゼミとツクツクボウシの声が混ざり合っていた夏の終わりだった……
◇◇◇
「何してるの?」
私がバイクの整備をしていたところに澪が声をかけてきた。
「うん? バイクの改造だよ。自作カウルを取り付けてるんだ」
私の目の前にあるのはすでに原型のわからなくなったバイク。
コンセプトはあれだ。オーラ力で動く生体兵器。
あれは面白い異世界転移ものだったよな。世界観がよかった。だから後半の主役メカはちょっと違うかなってなるよな。うん。
てなわけで、青く塗られた曲線的な昆虫のようなカウルをこれでもかと取り付けて、マフラーはあの薄く艶やかな翅を模したものを取り付けた。
ん? ああ、某アセンブリが楽しいメカアクションのネタしか入れないはずじゃなかったのかって? ネタが尽きちゃうからしょうがないね!
そう! だからこれからはいろんなネタを入れていくよ。バリバリな!
元にしたバイクはバリバリネタを入れるということで、もちろん鈴木さんとこの刀にしました。
「なんだか生き物みたいね。私はいいと思うけど、好みが分かれそうね」
「澪はこいつの良さがわかる人なのか⁉︎ ……こほん、失礼。でも、いいよなこのフォルム! こう、くるものがあるよな」
「え、ええ。そうね……」
む。なんだか少し引かれたような気がするけど、私は気にしないからな。気にしないったら気にしないんだ!
「あ、それでこいつでちょっと東京まで行ってくるわ」
「これまた急ね」
「ほら、無線があったら便利だろ? だからちょっとアキバまで行ってこようと思って」
「確かにね。わかったわ。動物の世話や水やりは任せて」
「おお、一を言って十を理解するとはこのことだな」
「ふふっ……私、できる女ですから」
キメ顔でそう言った澪と二人で笑いあう。
そして、いってきますのハグをしてから私のバイク――オーラバトラーに鍵を差し込んだ。
鍵を捻れば空気を震わす重低音。いい音出してるな。
私はヘルメットをしてはないけど、みんなはしないとダメだからな! ノーヘルで乗りたければ、頭突きで岩を砕けるようにならないとな。
この前転んだ時にぶつかった岩の方が割れた時はひびったぜ。
怪力といい、私ってば人間やめてる?
「おっと!」
……こうやってガードレールキックターンをすると、ガードレールが壊れちゃうし。抵抗が急になくなるから逆に危ないよね。
そんな感じでいくつかのガードレールを破壊しながら走っていたら、東京にはすぐ着いた。
信号にかからないし、他の車もいないとすぐだな。
普段からこんな風にストレスなく乗りたいよな。
バイクから降り、エンジンを止める。
騒音まみれだった東京は今は打って変わって静かだった。
人口が多いだけあって徘徊している死人も多い。
首都高速一号上野線から下を見下ろすと自然とため息が出た。
うようよと不規則に動く死人の群。
さすがに多すぎるんよ……
まあね、ここでまごついててもしょうがない。
ほら、変態企業の尻拭いとして下水道で生体兵器の駆除をするよりはマシと考えよう。
あいつらは自爆するし、酸も吐くだろ? でも死人は大人しい。楽勝じゃないか……ごめん、嘘だ。
でも、あれよな。あのダニみたいなやつってよく見ると可愛いよな。え? 私だけ?
「よし! 行くか」
首都高から下道へと飛び降りる。
そして、そのまま車道を全力で駆け抜ける。
歩道にはたくさんの死人がいたが、それをトレインすることはなかった。
たまにいる死人をソードで殴り倒しながら進んで行く。
強引にシャッターを引き裂き店の中に押し入った。
うん、やばいな……無線のことなんて知らない。
どうしようか……あっ! アマチュア無線の本がある。とりあえずこれを読んで必要そうなものを持っていくかな。
ぱらり、はらり。ページをめくること20分。
だいたい分かった。必要なものって割と多いのね……
まあいいや。私は重量を気にしなくていいからな。
とまあそんな感じで必要なものを揃えた私はバイクを停めたところに戻るのだった。
あ、帰りは駐屯地から盗ってきた拳銃をメインウェポンにしました。
さすがにカバンをいくつも持ちながらじゃ剣を触れないからね。
首都高に乗り捨てられていたトラックにオーラバトラーと戦利品を積み込んだ私は雲を見ながらぼうっとしていた。
……そうだ! 都合良くトラックも手に入ったし、もう少し持って帰ろう。
メイド服とかな! 澪のメイド化計画はまだ頓挫していないのだよ……!
東京遠征編。次回に続くぜ!
異世界もの流行ってますし、中世風異世界ものの先駆けの聖戦士ダンバイン再放送しましょうよ。




