『奴隷だった私が美麗な冷血伯に愛されている』
黄金週間もいよいよおしまいという今日は、読書の話題です。
アマゾナイトノベズルという電子書籍レーベルより、つい昨日刊行された『奴隷だった私が美麗な冷血伯に愛されている』を購入し、現在読書中です。買って一日でちょうど半分まで読みました。
いわゆるファンタジー設定の異世界を舞台にした恋愛劇で、「えっ、アンタは恋愛なんて読むの?」と言われてしまいそうですが|(笑)、そこはそれ、これは「小説家になろう」でも数多くの話題作を輩出しておられる「くまのこ」さまの商業デビュー第一作目なんです。氏の腕前には一目どころか五目ご飯を置いている私としては、これは是非読ませて頂かねばなるまい。学ばせて頂かなければなるまいと……似合わないのは承知の上で購入いたしました。
かねてより、王道の設定を主軸に映画的な展開を見せることで話題をかっさらっている「くまのこ」氏の作品ですが、それは本作でも健在で、かつ編集部の手が入ったであろう文章はさらにエッジを増しており、読み応えは抜群です。普段ノベプラで上梓されている作風より、硬質の文体というか、ハード寄りになったかも。
レーベルゆえにセックス描写は多めです。ただ、よくあるポルノまがい小説のように、「ああっーでるうううう!」とか「イク! イっちゃうううう!」とか「どびゅるるるるる」みたいな下品な表現は一切ありません。むしろ、こういうことを書いちゃう私が一番下品です、はい。とにかく、しっとりと艶めかしく淫らに……文芸作品として成立させているのはさすがとしか。
なんでわざわざこんなことに触れるのかと言いますと、意外と「こういうところをきちっと押さえているポルノグラフィー」は少ないと感じるからです。これは、かのフランス書院文庫だの、幻冬舎アウトロー文庫だのも読んでいる私が言うから、たぶん、説得力があるのではないかと! いや、どうだろ……(汗。
と、いきなりパンチをかましてしまいましたが、セックスだけの小説ではございません。前面に打ち出されているのはあくまでも、不遇な境遇に落とされた主人公が、周囲の人々の温かさによって世界へ羽ばたくという人間賛歌であり(これは、くまのこ作品共通のモチーフと言えましょう)、そこに立ちはだかる難関を、共にクリアする楽しさ……痛快娯楽恋愛劇になっているとも言えるでしょう。悪者もきちっとでてきて、きちっと裁かれますし、氏の趣向であろうSF的な仕掛けも、伏線として随所に張り巡らされているように思います。
個人的には、ちょっとだけ「時代劇」の作法が取り入れられているのかなとも思いました。
というのは、いわゆる「ドラゴンボール」に顕著な、まず「すげえやつ」がいて、その「すげえやつ」を凌駕する「ものすげえやつ」が出てくるんだけど、その「ものすげえやつ」をあっさりはねのける「超すげえやつ」がいる……みたいな人間模様なのね。
もちろん、別に武力でバトルするわけではないんですが、そういう「強さ」が社会的地位で立ち表されており、いかんともしがたいそこへ立ち向かう主人公達の劇が、後半のメインテーマになってゆくのかな、とも。だから、かなりワクワクさせてくれます。だって、現時点では覆しようがない展開なので……。
というわけで、感想はいったんここまで。
後半の読書にまいりましょう。




