国は滅ぼすわ、王子は○すは、やりほうだいとはこのことです
各戦場の状況を聞きながら、龍姫様に報告。
まず、頭おかしい事になっているのはソレイユ様。
攻め込まれてると言うのに、敵領に突撃。
固まってきた敵軍に破滅的な被害を与え進撃を続けた。
ソレイユ様を避け、領土に侵入した兵士はテルネイトとレインメルが撃退。
その結果、何故か攻め込まれたはずのソレイユ様は、前進につぐ前進で、敵の都を攻撃していた。
これに慌てた連合軍は全軍を都に集結し、攻防戦を繰り広げている。
つまり、攻守逆転してしまったのだ。
向こうは必死の防御も、かなり押されているらしい。
まさかの落城もありえる展開。
続いて、カレンvsジュグ。
こちらは互角。
兵たちの損害は最小限に抑えていた。
その最小限とは、ダリスグレア。
兵士たちを肉の壁にして、サウザントの攻勢を防いでいる。
実力に差がありすぎるが故の策。
ここは、当初の予定通りの損害で済みそうだ。
次、マディア。
一番押されている。
とにかく龍族が足りない。
そんな中、ヘイルカリ様が領土から出てきてもらい、援軍として闘ってもらえた。
おかげでなんとか凌いでいる現状だ。
次、海。
火玉で船を止めて殺戮を繰り返す二人。
それでもかなりの数は先に進んだ。
それを沿岸部で配置した龍族が撃退する。
こちらは、かなりの数を配置したため、なんとか防げている。
現状はこんな感じ。
「ソレイユ、頭おかしいわね」
「そう思います」
被害が凄い。これは聖女の力でも挽回が効かないのではないか?と思うほど。
万が一にも都が落ちれば、国の存続も危うい。
「他もなんとか防げているわね。ヘイルカリが出てきてくれて助かったわ」
「はい。優秀な方ですからね。ヘイルカリ様」
ヘイルカリ様は、自らの領土の兵も引き連れて来たのだ。
陣頭指揮をとり、戦場を駆け回っていた。
「とにかく、防いでいる間に陛下をお止めしないと。使者はあなたしかいないわ、フェルライン。誰かを呼び戻して……」
ここで、悲鳴のような声で、エールミケアから遠距離会話が届いた。
『りゅ、龍姫さま!フェルさん!大変です!!!オーディルビス王国が!帝国に宣戦布告!使者が今新都に!!!』
オーディルビス王国。
この世界には三つの大きな大陸がある。
私達のいる帝国が半分を占める大陸。
聖女が占拠する大陸。
そしてもう一つ。
広さは大きいが、山と氷河と、森で、人の住む地域が狭い、ラムロ大陸というのがある。
そこで唯一といって良いほど、国として成り立っているのがオーディルビス王国。
沿岸部の街々の連合に近い。
やってることは海賊紛いでもあり、あまり交流はない。
なにしろ貧しいのだ。オーディルビス王国は。
資源がない。
海があるので、飢えは無いが、それ以外が厳しい。
そんな国が宣戦布告?
「そうか!幼帝の帝国と、幼女な聖女か!今なら絶好だと思いやがったか!?あのヒゲ!?」
龍姫様は立ち上がる。
「豚と交渉するわよ!あのへぼ大陸に津波けしかけろって!」
『馬鹿じゃないの。龍姫。そんなことして私への信仰が揺らいだらどーすんのよ』
「揺らがないだろ。やつは帝国に喧嘩を売っている段階だ。現段階では無関係な聖女の仕業とは思わんよ」
『こっちまで押し寄せてきたらヤバいって話?大丈夫よ。最悪あなたが暴れれば全滅させてもらえるもの。わざわざやる意味なんてないの』
「性悪クソババア、死ね」
『わたし、はっちゃい』
「犯されて死ね」
しかし
『はあ???』
素っ頓狂な声を出す聖女。
「なんだ。急に」
『……オーディルビス王国の使者が、転移指定場所に来たわ」
「同盟か?挟撃して帝国を討つと。でなければ単独での進行などできるわけが……』
「宣戦布告」
?????はい???
『オーディルビス王国の使者の用件は、宣戦布告だそうよ。こちらに向かってくるって』
「世界中がめちゃくちゃじゃない!戦争してないところ、どこよ!」
『南群島あたり?島は平和でしょ』
「主要大陸全部戦争とか……」
そして、私と聖女、同時に叫んだ
『アラニアが落ちた!!!!!』
ソレイユ様からの遠距離会話
『おとしたぁぁぁあ!!!!!!』
絶叫。
城が落ちた。国王が死んだ。
アラニアが滅んだ。
15年以上にわたる抗争の果て。
攻め込んだのが完全に裏目に出た。
今までのように、分散して足止めをすれば良かったのだ。固まれば絶好の餌食。
固まった軍勢を皆殺しにし、ソレイユを避けた軍も、テルネイト、レインメルの2人に仕留められた。
都まで遮る軍がいなくなった。
そこを突いた。
全力で死守したが、精鋭は既に死んでいる。
そして、固まればやられる。
結果、恐ろしいほどあっさりと城は落ちた。
国王は自害。
王族は何人か逃げ延びた。
復興するにしても、肝心の軍隊が全滅状態だ。
かなり厳しい。
このアラニア滅亡の話は、陛下にもすぐ伝えられた。
船で聖女の大陸に向かう予定だったのだが、このアラニア滅亡で、計画は変わった。
まずは、この大陸から聖女の国を追い出す。
そして、すぐに龍姫様に指令が来た。
「親征に龍族も来るように」と。
「ソレイユに味をしめたわね」
「あれは例外中の例外なのですが」
「しっかし、信じられないわ。龍族は一人が軍隊並みとは言え、国を滅ぼすほど?本当にソレイユはおかしいわ」
ええ。ヤバいですね。
ソレイユ様、城を落として絶頂を迎えて、興奮が治まらず、その国の逃げ遅れた王子を逆レイ○してたみたいですよ。
本当にアナーキーですね。ソレイユ様。
しかし、度重なる宣戦布告に受け身になっていた帝国だが、陛下の親征、アラニア滅亡で、かなり盛り上がっていた。
そして、今度はユレミツレがやらかした。
敵は聖女の国、なのだが。船を追いかけているうちに、遠くへ流されたらしい。そして、なんかボロい船を見かける。
鉄で覆っていない、木の船。
火球でよく燃えるので、面白がって燃やしまくったユレミツレ。
よく見ると、後ろにもそんな船がたくさん。
よし、じゃあ焼きまくってやるー!もえろー!もえろー!
さて、なんの船でしょうか?
答え、オーディルビス王国。
意気揚々と宣戦布告し、軍船に大量の兵士を詰め込んで送ってくる最中、こんな事故にあったわけです。
兵士だけなら良いんです。
そこには、国王もいました。
国王は、こんな貧しい大陸から脱出したかった訳ですね。そのための宣戦布告。
国ごと移動してやろうとした。
ところが、海には火の玉を撒き散らす怖い女がいたわけです。
ご愁傷様。
「ヒゲが焼け死んだ」
龍姫様がソファーで倒れている。
「……ユレミツレ、ですか」
「誰も帰らないんじゃないか、みたいな状況よ。伝えたらパニックになるでしょうね。あそこの国」
「あの国王だからこそ、あの国は、まとまっていたと思うのですが……」
「その通りよ、フェルライン。これであの大陸は確実に戦乱に巻き込まれるわ」
「アラニアは国王の遺族をたてて抵抗をするそうです」
「まあ、ソレイユに統治能力はないわ。ゲリラと泥沼の闘いに突入でしょうね」
どこもかしこも地獄。
一方で聖女はかなり苦しんでいた。
アラニア滅亡の報は衝撃だったのだ。
聖女の信仰に関わる。
しかも、今は八歳の子に乗り移っている。
迫力不足だった。
懸命に力を奮い、立て直すが、まだ足りない。
各国の兵を引くのにも時間がかかりそうだ。
「とりあえず陛下の親征にはエールミケアを付けます」
「まあ、妥当ね」
龍姫様と打ち合わせ。
他の国でも続報が入り続ける。
私は苦労しながら整理するが
『あ、フェル?』
「ソレイユ様、どうされました?」
ソレイユ様からの遠距離会話。
『一応報告しようかと。あのね、わたし再婚するから』
「は?」
『アラニアの王子と』
「はあ?」
『セッ○スの相性良かったし』
「はあ」
『よろしく伝えておいて』
「待ってください!ソレイユ様!つまり、アラニアを二つに割る気ですか!?」
アラニアは既に国王の遺族がゲリラ化している。
それに対抗し、ソレイユ様は、亡国の王子と結婚。
よりによって、長男なのだ、そいつ。
血筋的には正当なのである。
正当な王子だが、敵国の将軍が妻
あのゲリラは王族だからこその正当性があったのだ。
これでは単なる内輪もめになる。
『そうなの?まあ、旦那いなくなって寂しかったのよ。ちょうどいいわ』
ああ、もう。どうなるんだ、この戦乱。




