戦場は地獄。誰かさんのせいで
「あの!豚が悪いのよ!陛下はまだ若い!血気盛んな時に戦争よ!それは参戦したがるでしょ!!!くそ!豚が!豚が!」
龍姫様はめっちゃキレていた。
「し、しかし、なぜ聖女は!?」
「分からないわ!連絡をする!」
龍姫様は遠距離会話妨害を解き聖女に連絡をすると
「話が違う!!!」
龍姫様ブチ切れモード
『完全に弔い合戦モードになって止まらないのよ!転生体が若すぎたのは失敗だわ』
「殺戮は止められない!それよりもマズい!陛下が大皇后様を監禁されて親征をされる!そっちにいくぞ!!!」
『な、なんですって!?この大陸はもはや空よ!?』
「仕方ない!カリスナダを使いなさい!カリスナダなら足止めはできるでしょう!あなたの力を使われたら陛下が死にかねない!」
『ではそうしましょう。こちらの兵士も可能なら助けてあげて』
「ソレイユは諦めて。あれは止めようがないわ」
2人が話している間にも、次から次へと遠距離会話がはいる。
「ミツレ!あなたも戦っていいわ!連中上陸する気よ!追い返して!!!」
『任せてください!フェルさん!ミカミ!行くわよ!』
「マディアは全力!連中は本気で襲いかかってくる!弔い合戦らしいわよ!援軍をあげる!3人送るから!」
『あいよ!』
『フェルライン!ジュブグランと話をしているが、軍の抑えが効かぬそうだ!』
「ジュブの脳足りんで調整きくわけないでしょ!?ヒルハレイズ呼べって伝えて!それが無理ならば仕方ないわ!戦いやむなし!」
『分かった!』
マズい。全力で来られると、ユレミツレとミカミの2人で止められる訳もない。
「龍姫様!館の守りはわたくし一人で勤めます!残りは海上の抑えに回らないと間に合いません!」
「フェルライン、そのようにしなさい。出来ればジュブグランを豚の大陸に戻して、カレンバレーは、館に戻すように。最後はこの2人の一騎打ちで決めるしかないわ。ここで遊んでいても仕方ない」
「畏まりました」
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転生直後の聖女は苦境に陥っていた。
「くそぉ……こんなにキツいのは始めてよ」
初代は危機の連続だった。
しかし、今回は質が違う。
臣下をコントロール出来ない。
死んだ先代の仇討ちにこだわり過ぎていた。
理由は先代が僅か二年で死んだ事だ。
聖女は大体三十年で入れ替わる。
こんな短期間での入れ替わりなど例がない。
今までの入れ替わりでは、世代交代も合わせ、過去の臣下は入れ替わっていた。
では今回は?
ただでさえ人材が抜けた現状では入れ替わりはない。
ではどうなるか?
その行き着く果てが
手柄争いだった。
先代を殺した龍姫を滅ぼす。
そうすれば、自分達の今後は安泰。
なので、各国全力で攻め込んだ。
転生直後の聖女は、軍隊をとどめ、侵攻はあくまでも暗殺部隊率いる直属軍のみ進める意向だったが、他の国々は勝手に攻め込んでいた。
「このままではお飾りにされる恐れもあるわ。マズい」
「聖女さん、わたしはどこで迎え討てばいいですか?」
カリスナダ。
もう宮殿には信頼できる臣下がいない。
重鎮は吹き飛んだ。
それ以外の連中は出陣中。
そうなると、まともに相談して動けそうなのは、目の前のカリスナダぐらいである。
(龍族なんだけどなー。この娘)
龍姫が変わり者扱いしていた意味を知っていた聖女はため息をつき
「軍船が来るのはしばらく先よ。それよりここにいて手伝って」
「分かりました」
「ジュブグラン!私達の戦場はここではない!お互い主君の場所に戻り!混乱を収めるべきではないか!」
カレンバレーはジュブグランに呼びかける。
「……最終決戦か」
「そうだ!人族の軍隊などで決着はつかん!最後は精鋭の一騎打ちだ。聖女が出せるのはお前しかいない!そして、お前とやり合えるはわたしだけだ!」
カレンバレーは然るべき戦場での一騎打ちという、龍姫からの提案に心が震えていた。
それこそが自分に相応しいと。
だが
「その提案は魅力的だ。だが断る」
「なに?」
驚くカレンバレー
「わたしは馬鹿なのだ。聖女様のおそばにいてもなんのアドバイスも出来ぬ」
構えるジュブグラン。
「悲しいことに、ここにいるダリスグレアもそうだ。戦闘馬鹿だ。聖女様のお役にたてるのは戦場だけだ。カレンバレー。提案は嬉しいが、私達は」
「戦うことでしか生きられないって!?お前、龍族向きだ!!!今度こちらに来ないか!?」
カレンバレーが戦闘体制を整え弓を放つ。
「ありがたい誘いだ!そちらこそ聖女様にどうだ!カリスナダは仲良くやっているぞ!」
ジュブグランも迎えうつ。
2人は戦闘を開始した。
「交渉決裂だって、ダリスグレア」
不敵に微笑むサウザント
「ジュブさんの気持ちは私の気持ち。私も戦場だけしか居場所はない」
「あはははは!!!なら望み通り戦場で殺してやるよ!!!お前一人で私に勝てると思ってるのか!?」
サウザントの実力はユレミツレと同等。
5人がかりで五分だったのだ。
ダリスグレア一人で勝てる訳がない。
それは本人も分かっている。
だから
「ごめんね、みんな。でも、これで、私達は勝つ」
ダリスグレアは泣きそうな顔をしながら陣列を作る。
それを見て驚くサウザント。
「捨て構えか!兵士を壁にして私の体力を削り、隙を見て頭を吹き飛ばすと!なかなか愉快な事を考える!どうせ死ぬ兵士を壁にする発想はいいぞ!お前闘う才能はありそうだ!!!」
サウザントは喜んだ。
目の前の雑魚は頭を使う。
楽しめそうだ。
一方でダリスグレアは泣く寸前だった。
「みんな、ごめんね、わたしが、よわい、から。つよかったら、ジュブさんみたいに、ひとりで、たたかえるのに」
間違いなく千人は死ぬ。
兵士達は肉の壁。
襲いかかるサウザントの攻撃を兵士と、その死体で足止めして、隙を見て攻撃を繰り返す。
当然兵士は死ぬ。死ぬための陣列。
でも
「これしかない。一騎打ちで勝てる訳がない」
ダリスグレアは泣きながら兵士達にお願いしたのだ。
このままではサウザントに敗北は確実。
それだけならばいい。その後に兵士達に襲いかかる。
そうなれば生き残るのは不可能。
だから、その命をくれないか?と。
「勝つ。この陣列で、必ず勝つ」
悲壮な覚悟をし、ダリスグレアは闘いを開始した。
マディアクリアは動き回っていた。
「敵が多すぎる!!!」
三万の兵が結集していた。
援軍で3人来たので展開しながら撃退をするが
「たりなーい!」
国境は広い。いくら走るスピードが人外でも、追い付かない
「たすけてー、ふぇるー」
泣きそうになりながら、マディアは走りまわっていた。
ユレミツレは、暴れまわっていた。
「あはははははははは!!!爆ぜ!!!爆ぜ!!!爆ぜぇええ!!!」
ユレミツレは火炎魔法を使う。
船目掛けて火球を放ち、船を破壊、足止めして殺戮を繰り返していた。
「ほらほらほらほら!!!!惰弱な人間共!!!ひれふせぇ!!!!」
ミカミも船に乗り込み暴れていた。
一方的な殺戮。
だが、軍船が多すぎる。いくつかの軍船はこの殺戮する二人を避け、目的地に進んでいた。
だがこの二人は気にしない。
目の前の血の海に酔いしれていた。
テルネイトは闘っていた。
ソレイユ領に雪崩れ込んだ敵軍は、ソレイユ一人では止めきれず、軍勢の一部はソレイユの息子の領に侵入していた。
「せっかくの貴族の座ですよ!殺してでも守り抜きます!!!」
バトルメイスを振り回し、一人で敵軍の侵入を防いでいた。
ネイの奮戦ぶりに、敵軍の志気はがた落ちになった。
ソレイユを避ければ、侵略出来ると狙っていたのが、更に後ろに強烈なのがいたのだ。
そして
「ソレイユ、テルネイト、そしてこのレインメル。あなた方は好んで地獄に来られたのですわ。覚悟されてください」
レインメルも出撃していた。
最前線はソレイユによる虐殺。
突破してもテルネイト。
逃げようとすればレインメル。
この戦場は完全に地獄と化していた。
ヒルハレイズは各国への使者で走り回っていた。
とにかく犠牲をだすな。と。
聖女の信頼できる文官は全滅してしまった。
そのため、暗殺部隊では頭の回るヒルハレズを文官に転換。
そのヒルハレイズを各国の調整役として飛ばしていた。
だが、各国言うことを聞かない。
聖女への忠誠心がこじれてしまっている。
なにがなんでも復讐を。となってしまったのだ。
「ああ!もう!こんなの私向きじゃない!」
ヒルハレイズは、何回こいつらぶっころしてやろうかと思ったことか。
自分が文官向きとは到底思えなかった。
それでも
「聖女様の期待にお応えしなければ…」
歯を食いしばり、走っていった。




