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【5巻電子書籍&POD化】神様のドS!!~試練だらけのやり直しライフは今日もお嬢様に手厳しい~  作者: 藍上イオタ@完全無欠の悪女です2月下旬発売
中等部二年

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49.初等部の運動会 2


 それから、午前の部を見ていなかったという光毅さまに、私の秘蔵修吾くん写真を見せてあげた。ヨソの子を撮影するなんてもしかしたら犯罪かもしれないが、弟の友達だからセーフとしよう。

 修吾くんは盛大に照れ、彰仁はあからさまに嫌な顔をし、光毅さまはとても喜んだ。


「姫奈子お姉さん、もう、データ消して!」


 珍しく修吾くんがとても困っている。そんな様子も可愛らしい。


「わかったわ。光毅さまにデータをお渡ししたら私のデータは消しておくわね。それでいいかしら? 修吾くんのパパやママにも見ていただきたいの」

「……それなら……いい……です」


 渋々といった感じで修吾くんが納得した。

 食事中に、光毅さまと修吾くん、修吾くんと彰仁の写真も撮った。


「お姉さんも一緒にとってください!」


 修吾くんに誘われて、私も修吾くんと一緒に写真に納まる。修吾くんの思い出に、私も一緒に入れてもらえることが嬉しかった。


 デザートの丸ごとバナナチョコロールサンドを頬張っていると、女の子の集団が袋をもってやって来た。


「白山くん、島津くん」


 活発そうなツインテールの女の子に声をかけられて、彰仁はめんどくさそうな顔をした。


 おい、ソレ、モテないぞ?


「どうしたの? 二階堂さん」


 修吾くんが尋ねる。


 うん? なんか、聞き覚えのある名前だな?


「おやつ交換しましょう?」


 二つに髪を縛った二階堂さんは、可愛くラッピングした袋を見せた。

 

「はぁ? そんなの持ってないよ。他行けば?」


 彰仁がつれなく答える。


 だからそれ、モテないんだってばよ!!


「えええー! 美味しそうなの食べてるのにー!」


 二階堂ちゃん、意外にめげない性格だな?


「これで良かったらどうぞ。二種類あるから、修吾くんの分と二つで良いかしら。日持ちはしないから早く食べてね?」


 私は丸ごとバナナチョコロールサンドとフルーツサンドを差し出した。それを見て、彰仁が迷惑そうな顔をした。


「姫奈子、余計なことすんなよ」

「きゃぁぁ、ありがとうございます! 可愛い! 素敵!」

 

 二階堂ちゃんはそういって、修吾くんと彰仁にお菓子の袋を押し付けた。


 私は私で、可愛い女の子に絶賛されデレっとしてしまう。


「ところで白山くん、この方は?」

「姉貴だよ」


 彰仁がブスッと答えた。


 あ、姉貴だって! 姉貴だって!

 前世では、知らないブタ、ぐらいに言われてたのに? 嘘でしょ? 姉貴だって!!


 ジーンと感動して彰仁を見れば、チッと舌打ちされてそっぽをむかれた。


 なんでもいい、お姉さまは嬉しいわ!


「お姉さま? 私は二階堂にかいどうともです。白山くんのお友達です」


 体操服の短パンの裾をチョンとつまんで、可愛らしくお辞儀する。アザとい。


「白山姫奈子です。彰仁と仲良くしてくれて嬉しいわ」

「姫奈子お姉さま、これからもよろしくお願いします」


 ともちゃんは元気良く頭を下げると、パタパタと駆けていった。


 彰仁を見れば不服そうな顔をしていたから、ニヨニヨと笑う。


「なんだよ」

「なーんでも」

「なにか言いたいんだろ?」

「いいえ、お姉さまからは何も言うことなどございませんことよ?」

「姫奈子お姉さんて、意地悪なこともするんですね」


 修吾くんが彰仁を庇うから、笑ってしまう。


「彰仁にだけ特別よ?」

「なんで、俺だけ!」


 彰仁が怒る。


「オレもわかるよ」


 光毅さまが同意してくれる。


「弟は何しても可愛いんだよね」

「そうなんです! 可愛いんです!」


 おもいっきり頷く。同志だ!


「かわいいとか、嬉しくないし」


 彰仁はブスッと呟いた。

 それを見て、私と光毅さまは顔を合わせて笑った。




 午後の部が始まった。午後の応援も光毅さまと一緒にすることとなった。


 最初の競技は高学年の集団行動だ。長ズボンに履き替えた高学年の児童たちが、一糸乱れぬ姿で行進する。笛の音だけで向きを変え、颯爽と歩く姿は壮観だ。中央に集まって十字で風車のように回転したかと思えば、あれよあれよといううちにひし形を作っていく。交差しながら行進。中央の筒にはフラッグが入っていて、歩きながらそれを引き抜いていく。


 集団行動の後半はフラッグの演技のようだ。フラッグを持った子供たちが土に膝をついて音楽を待つ。


 音楽が始まった。中央にいた修吾くんが一人立ち上がり、大きな旗を振る。四隅にいた生徒たちが立ち上がり、対角線に走り抜ける。中には彰仁がいる。その後全員が立ち上がって、演技が始まる。


 大きな旗をはためかせ、色々な隊形ができ上がっていく。バサッバサッと強く風を切る旗が勇猛に感じられた。力強く凛々しい姿に、ああ最終学年にもなるとこんなにも違うのか、としみじみと感嘆する。


 最後に旗を空に投げ、各々がキャッチ。中央へ集まって輪を作りウエーブをする。ウエーブが終わったところの子供たちが膝をつけば、中から四人の子供たちが現れた。今年の各組の応援団長たちだ。彰仁もいる。


 その四人が旗を高く掲げ、お互いの旗の先端を合わせて山形を作る。そして外枠の子供たちが万歳をして、掌をひらひらとはためかせた。

 とても綺麗で、こんな大役を引き受ける彰仁が誇らしかった。


 校庭は拍手喝采であふれかえり、子供たちは充実したような笑顔を湛えている。

 柄にもなく感動してしまう。


 そして、その後は各学年の競技に、最終学年のリレー。

 白組の先頭は彰仁で、まずまずの出だしだ。手に汗握る接戦に息を飲む。最終ランナーは修吾くんで、二位だった白組を一位にし、尚且つ差をつけてのゴールだ。白組皆が飛び跳ねて修吾くんの帰りを迎える。彰仁が修吾くんとハイタッチしているのが、とても可愛かった。


 最後の最後は全校生徒でのタイフーンだ。

 これがなかなか面白い。四から五人ごとのグループで竹の棒を横並びに持ったまま走るのだ。高学年に挟まれて、棒の真ん中は小さい子たちが持って走る。小さい子にあわせながら、転ばないようにグルリとコーンを周って、チームに戻る。両端を持っていた高学年の子供たちが、棒を下に構えると、待ち構えていた子供達が声を合わせてジャンプする。その下に棒を潜らせて最後尾まで走ったら、今度は屈んだチームメイトの上に棒を通してバトンタッチだ。 

 この競技だけは高得点で、頑張れば巻き返せるとみんな真剣だ。


 白組もここで勝てば優勝できる。

 私は声を上げて応援した。


 白組は最後の最後に僅差でゴール。思わず私も飛び跳ねる。

 着地してから視線を感じてみてみれば、光毅さまが微笑んでいた。


 ……は、恥ずかしい……。


 咄嗟に目をそらす。変なところばかり見られている気がする。


 表彰式が始まって、修吾くんが優勝旗を受け取る。青空の中にはためく優勝旗。それを堂々と掲げる修吾くんがとても眩しかった。

 運動会の総評を各チームリーダーが発表し、優勝したチームはそれに湧き、最下位だったチームは泣いてしまう子たちもいた。


 何もかもが爽やかで、愛おしい、そんな運動会だった。


「姫奈子ちゃん、今日はありがとう」


 光毅さまに声をかけられ恐縮した。


「私こそ、強引にお誘いしてしまってすみませんでした」

「ううん、本当にありがたかったんだよ」


 光毅さまは微笑んだが、いつものようなキラキラエフェクトがかかっていなくて不思議に思う。思わずキョトンとして見つめ返せば、困ったように頬を掻いた。


「オレ達の親、今日来れなかったでしょう? 修吾は何も言わないけれど、寂しかったに違いないんだよね。だけど、オレ、ここに一人でいるのも気まずくてね、午後はどうしようかと思ってたんだ。姫奈子ちゃんと一緒に応援できて良かった」

「そうだったんですね」


 確かに大学生が一人、場所取りして応援するのはなかなかに苦行だろう。ゆっくり応援できて良かったと思う。何しろ、修吾くんは大活躍だったのだ。


「あの、写真データ後で彰仁に渡しますね」

「うん、ありがとう。でね、姫奈子ちゃん」


 光毅さまはそう言葉を区切って、私の後ろにいたお父様とお母様の顔を見た。


「もしよろしければ、姫奈子ちゃんの連絡先を頂いてもよろしいですか?」


 私は驚いてお父様とお母様を振り返った。二人とも笑って頷いている。


「姫奈子ちゃん、いいかな?」


 光毅さまは改めて尋ねる。


 もちろん断る理由なんかない!! 


「もちろんです! 嬉しいです!」

「弟大好き同盟で仲よくしよう」


 光毅さまはスマホを出して、私に向かってフリフリした。


 はぁ、最高……どうしよう。私、明日には死ぬんじゃないかしら? 


 お願い神様。死ぬならせめて、光毅さまと連絡を取り合ってからにさせてください。





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