表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【6巻電子書籍&POD化7/25】神様のドS!!~試練だらけのやり直しライフは今日もお嬢様に手厳しい~  作者: 藍上イオタ@神様のドS!!完結6巻7/25配信
中等部一年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/289

26.テスト明け 2


 そこで、ザワリと声が上がった。入ってきたのは氷川くんと八坂くんの二人で納得する。一年生ながら注目度はナンバーワンだからだ。


 氷川くんはガラスケースの前の詩歌ちゃんを見つけて、さっそくそちらへ向かっていく。

 横並びで何かを話している姿は釣り合っているなぁ……なんてワザと意識を飛ばしてみた。


 そう、もう一人の有名人を見たくないからだ。


 しかし。突然目元を手で隠された。


「だーれだ」


 そんな甘い声、一人しか知らないし、そもそも入ってくる時にバレてるから。本当に意味がわからない。


「八坂くん……」


 ため息交じりで即答する。


「晏司でいいって」

「遠慮いたします」

「あの日は晏司って呼んでくれたくせに」


 パシリと手を払う音がして、八坂くんが手を放した。綱が八坂くんの手を払ったようだ。

 どうにも綱は八坂くんが苦手らしい。これから先、高校三年まで同じ芙蓉会でやっていくのだ。できれば仲良くしてほしいものだ。


 八坂くんは当たり前のように、私の隣の椅子を引いた。

 

「そこ、詩歌ちゃんの席です!」


 慌てて咎めれば、ニヤリと八坂くんは笑った。


「姫奈ちゃんは気が利かないなぁ。和親と浅間さんを二人にしてあげようって思ってさ」


 チラリと八坂くんが二人に視線を送った。

 確かにお似合いの二人だ。二人でお茶の方がいいのかもしれない。

 しかし、この人ライバルに塩贈っちゃう余裕あるわけ? それとも無自覚? はたまた何かの罠なのか。


 戸惑って判断しかねているうちに、詩歌ちゃんが戻って来た。


「八坂くん、そこどいてくださいな」


 にっこりと詩歌ちゃんが笑った。


「ええー……」


 ガックリとした声で八坂くんが応える。


「まだ、注文してないんでしょ?」


 詩歌ちゃんがおかしそうに笑う。氷川くんは詩歌ちゃんの後ろで、困ったような顔をしていた。

 席を決めかねているのだろう。


「僕と和親二人だけだと何かと面倒なんだもん。混ぜてよ」


 八坂くんは、ワザとらしくほっぺを膨らました。

 確かにそうかもしれない。女の子がわらわらと集まっているところをよく見かける。

 モテるのも大変らしい。


「テスト明けぐらいダラけたいよ、ねぇ? 和親」

 

 八坂くんがぼやけば、氷川くんも頷いた。


「そうだな」

「浅間さんと姫奈ちゃんがいると、あんまり寄ってこないんだよね」

「たしかにな」


 詩歌ちゃんと二人で顔を見合わせた。


「私たち弾避け? ですか?」


 思わず尋ねれば、淡島先輩が噴き出した。


「白山さん、面白いよね」


 そう言って椅子を少し詰めた。


「ちょっとずつ詰めれば、二客くらい入るでしょ?」


 淡島先輩に言われて、慌てて私は立ち上がって椅子を寄せた。


「風雅」


 凛とした声が響いて、そちらを見れば二年生の女子がいた。長い黒髪にカチューシャをした美しい女の子だ。葵先輩と芙蓉会の一年生から呼ばれている人だ。二年生の中で才色兼備と有名で、あの優秀な明香ちゃんが憧れるほどの人なのだ。

 なぜか不愉快そうにこちらをねめつけた。


 お、怒ってる? 美女が怒ると怖い。でも、綺麗。


 思わずビビりながらも見惚れてしまう。


「葵? どうしたの?」


 淡島先輩が名前を呼ぶ。


「一年生に席を譲ってあげたら? 少しくらい気を利かせなさいよ」


 呆れたように笑われて、淡島先輩が肩をすくめて席を立つ。

 じゃあ、と淡島先輩は軽く右手をひらつかせて、葵と呼んだ女子の元へ歩いて行った。


「何だか悪いことをしたな」


 氷川くんがつぶやく。


「気にしなくていいんじゃない? 二年生は二年生で話すこともあるでしょ。体育祭もあるし」

 

 八坂くんはいつも通り軽い。

 詩歌ちゃんは、八坂くんと私の間に新しい椅子を詰め込んで、そこに座ることにしたらしい。氷川くんは淡島先輩が座っていた席についた。


「期末テストが終われば準備が始まりますもんね」


 詩歌ちゃんが微笑めば、氷川くんが頷く。


「芙蓉会は忙しくなるな」


 そうか、色々な準備があった気がする。前世の私は邪魔しかしていなかったけど、今回は邪魔しないようにしなければ。


 芙蓉学院の体育祭は縦割りで合計点を競う形式だ。F(白)・U(青)・Y(黄)・O(赤)の四チームにわかれて行う。最低でも一種目は参加することになっていて、運動が得意な人は掛け持ちで出ることも可能だ。

 ちなみに、氷川くんと詩歌ちゃんはFクラスで、私と綱と八坂くんはYクラスだ。



「何するんだろうね」

「まあ、大まかなことは先輩方が決めてくれるだろうけどな」


 八坂くんが言えば、氷川くんが答えた。


「今年はパン食い競争を提案したいわ! 姫奈ちゃん出るでしょ??」


 詩歌ちゃんに、にっこりと微笑まれて脱力する。


「私そんなに食いしん坊キャラ?」

「パンじゃなくてバナナがいい?」

「そうじゃないでしょ!」


 綱はそれを見てくすくすと笑っている。


「生駒は運動は?」


 氷川くんが綱に話しかける。なんだか瞳が好戦的だ。


「私はそれほど」


 確かにスポーツを習ってはいなかった。でも苦手でもないと思う。綱はそつなく何でもこなすから、正直ちょっとムカつくのだ。


「和親は掛け持ちするんだろ? 名物のウォーウォーボールは絶対出るよね」


 八坂くんがニヤニヤとして尋ねる。


「ああ。晏司は?」

「僕は怪我しない競技じゃないと事務所からダメ出し出そう」

「だったらパン食い競争いいですよ!!」


 私は八坂くんに意地悪く提案してみる。


 カッコ悪い八坂晏司を学園内に知らしめたい!!


 八坂くんがニッコリと笑う。


 ひ、怖い。イケメンのマジ切れ五秒前怖すぎる。


「調子に乗ってスイマセンでした……」

「姫奈ちゃんのアフォガート美味しそうだよね」


 八坂くんが強請るように言うから、すごすごと立ち上がる。無礼を許す代わりにパシれ! という圧力だろう。


「え? 姫奈ちゃん?」

「アフォガートだけでいいですか? 何か他に食べます?」


 問いかければ、八坂くんは気まずそうに頬を掻いた。


「そういう意味じゃなかったんだけどね、……じゃ、おすすめのものをお願いします」

「わかりました」


 私はガラスケースに向かった。


 それにしても、私、パン食い競争キャラなわけ?

 可愛いお嬢様を目指してるはずなのに、おかしくない?

 やっぱり、少しダイエットした方がいいかしら?


 さりげなく、横っ腹を摘まんでみる。


 フランス語のバレエレッスン行ってみようかなぁ。きっと、綱は体育祭の準備で忙しくなるだろうし。学校にあんまり暇してる友達いないし。


 あ、自分で言ってて少し悲しくなってきたぞ。

 やっぱり、バレエ真面目に考えてみよう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ