RPG
ここは魔王の城、玉座の間。
空は暗雲が覆い稲光が窓から玉座の間を照らす。
竜すら飛び回れる広大な石造りの広間には、既に焼け焦げ見るも無惨な様相を呈している赤い絨毯と精緻な細工と華美な造りの壊れた玉座が転がっている。
広い室内に佇むは四人の人間と、一人の魔王。
激戦を物語る玉座の間の荒れようと両雄の激しい息遣いが戦いの終わりの近さを示している。
「ハアハア、それが限界か、魔王!」
フルプレートメイルを着込み幅広の大剣と身の丈にも勝る大盾を装備した剣士が、その大剣を魔王に突きつけて見栄を切る。
ちなみに勇者はダウン中。
原因はビックリする程の軽装備と頭部を守る防具を「ダセェ」の一言からつけなかったものと思われる。
散々勇者に体を張って尽くしてきた魔法使いとシーフのチャンネーはそれにビビり隅で震えている。無傷。
タイトルを付けるとするなら『剣士、頑張る』。
片や豪奢なローブをボロボロにし、片腕を斬り取られ息も絶え絶えな魔王は、こう思っていた。
(やべえ、剣士さん半端ねえ)
勇者をワンパンで沈めてチャンネーを頂いてついでに世界も頂きますと思っていた魔王に予期せぬ出来事。
剣士がビックリする程強かった。
ちょっ、こいつマジ勇者? あんだけニヒルな笑み浮かべてこの世界云々って口上垂れてワンパンとかwww後は勇者に散々仕込まれてる赤い長髪の胸のデカい女と青い短髪の胸の残念な女に俺も夜のご指導をお願いします。あざっす。あと世界も。と誰もが怯え慄く邪悪な笑みを浮かべながら考えていたら、強烈な斬撃に左腕を飛ばされた。
今やトドメを決めようとしているこのビックリ人間(剣士さん)に、魔王は覚悟を決めた。
切り札を切る覚悟。
「私をここまで追い詰めたのは貴様が初めてだ」
喧嘩初めてだしね。
「敬意を表し……私の真の力を見せよう!」
いわゆる第二形態。
「くっ、なんという魔力!」
律儀に待つ剣士さん。お約束は破らない二児の父。二十七歳、城勤め公務員。
魔王の奥の手は倍加。全てのステータスが二倍になるとかいう、マジかよ最初から本気でやれよ、てか常に倍加でイケよ、という優れもの。
今まで戦っていた相手の強さが二倍に!?(注:界○拳とは本作は微塵も関係ありません。訴えるとかやめて)訴訟も辞さない販促…反則技。
「ふはははははははは、ハアーハッハッハッハ!」
アキバのマッドサイエンティストではないよ?
「ぐっ」
激しい魔力に翻弄される剣士さん。魔力は荒れ狂う風を呼び、その中心で陶酔する魔王。
風が止み、瞬間共に駆け出す剣士と魔王。互いに相手の強さを確認するために鑑定を発動する!
剣士さん
基礎攻撃力100(20)
魔王
基礎防御力20(5)[20]
剣士さん
「………………」
魔王
「………………」
………………
魔王
「ちょっ待って、世界の半分」
剣士さん
「くたばれ魔王!!!」
魔王
「ぎぃゃああああああああああああああああああああ!」
こうして世界に平和が訪れたとさ、めしうまめしうま。
モレ
「っていう夢を見た」
友達
「いい病院紹介しますねー」




