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僕とぼっちな彼女達  作者: 中高下零郎
中学校1年 こんにちは赤石さん(文学少女)
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ごめんね赤石さん

 赤石さんに僕の書いた小説を酷評された翌日は土曜日で学校は休み。

 毎週土曜日は、みたきちゃんを自分の部屋に連れ込んでお医者さんごっこをする日です。


「あたるくん、げんきないね。どうしたの?」


 みたきちゃんを部屋に呼んでお菓子とジュースを与えていると、みたきちゃんは僕を心配そうな目で見つめてきます。


「何でもないよ」

「うそつかないで!」


 みたきちゃんには何もかもお見通しというわけか。純粋な子供の目は時として全てを見透かしてしまう。


「……お医者さんごっこしようか。さ、寝よう」

「うん」


 みたきちゃんに打ち明けられない僕は、赤石さんとの一件から逃げるように気持ち良いことに走る。お医者さんごっことは名ばかりのただの添い寝。ただの添い寝でも、少し成長した僕にとっては結構な意味を持つ。みたきちゃんの匂いを嗅いだり、彼女の顔を見ながら少し妄想してみたり。けれど、


「いたい!」

「……ごめん、みたきちゃん」


 僕の不安定な状況はお医者さんごっこにも反映されてしまったのか、強く抱きしめすぎてみたきちゃんを痛がらせてしまった。


「うー……きょうはぜんぜんきもちよくない!」

「……ごめん、本当にごめん」


 結局この日はみたきちゃんを満足させることができなかった。

 もう僕は男として失格だ。色々と限界状態の僕はポロポロと涙を流す。


「なんでなくの? ふとんよごれるよ?」


 そんな僕の目元をティッシュで拭いてくれるみたきちゃん。


「うう、みたきちゃん、みたきちゃん……!」


 みたきちゃんの優しさに、僕はそのままみたきちゃんを優しく抱きしめてリベンチマッチを開催するのだった。


「それじゃ、またらいしゅー」

「うん、また月曜日」


 事を終えた後、みたきちゃんを見送って僕は月曜日にどう赤石さんと接するべきか考えます。

 理由はわかりませんが、あれだけ赤石さんを不快にさせてしまったのは事実。

 とりあえず謝るべきなのか、ちゃんと理由を考えてから謝るべきなのかと色々考えましたが、答えは出ないまま月曜日になってしまいました。

 いつものようにみたきちゃんと途中の養護学校まで一緒に登校したあと、中学校へ。


「「あ」」


 中学校正門で、いきなり赤石さんと鉢合わせしてしまいます。

 僕はおはようと声をかけようと思ったのですが、なかなか言葉が口から出ない。

 そうこうしているうちに、赤石さんは気まずそうにさっさと学校の中へ入って行ってしまう。

 赤石さんを追いかけて教室へ。自分の席に座って、本で顔を隠している赤石さんにおはようと声をかけようとしましたが、やはり声が出てきません。

 授業が始まっても、ちらちらと僕は赤石さんの様子を窺います。まだ怒ってるんだろうか?

 向こうもこちらを窺っていたようで、たまに目が合ってしまう。

 目が合った瞬間赤石さんはばつが悪そうに本で顔を隠す。

 その後も昼休憩中本を読みながら、たまにこちらの様子を窺ってくる赤石さんをちらちらと見たりと、ストーカーまがいのことをしているうちに放課後になってしまいました。

 帰りの会が終わると、すぐに赤石さんはカバンを持って教室を出て行きます。部室へ行ったんでしょうか?

 僕も掃除を終えた後、部室の前まで到着します。

 けれどなかなか扉に手が伸びない。

 ドアを開けて、中にいるであろう赤石さんに挨拶をして謝る。ただそれだけの事じゃないか。

 どうしてそれができないんだ? このチキンが。

 情けなくも部室の前で手を痙攣させて僕がフリーズしていると、


「……そんなところに突っ立ってないで、入りなよ」


 部室のドアが開いて、赤石さんが顔を覗かせます。


「……失礼します」

「部員なのになんでそんなにかしこまるのさ」


 部室へと入った僕は定位置へ。向かい側に赤石さんも座る。

 そのまま本を読むでもなく気まずい時間が流れる。

 一体どうすればいいんだ? 何て言えばいいんだ?





「その、先週はごめん」


 先に口を開いたのは、赤石さんだった。


「先週の僕、どうかしてたよ。どう謝ればいいのか僕もよくわかってないんだけど、本当にごめん」


 机に顔を押し当てて土下座のポーズをする赤石さん。


「いや、僕が悪いんだよ、ごめんね赤石さん。読み手の気持ちも考えずに自己満足な作品作ったんだからさ」

「高下君は悪くないよ、僕が悪いんだ」

「いや僕が」


 日本人ならではの謝り合戦に突入してしまう。このままじゃらちが明かないので、


「わかった、もうこの話題は水に流そうよ。それでいいでしょ?」

「……高下君がそう言うなら」


 一旦凍結させることにした。赤石さんがなんであそこまで怒ったのかはまだわからないけど、今すぐに知るべきことでもないような気がするから。





「で、赤石さんの書いた小説読ませてよ」


 僕の書いた小説に対する赤石さんの反応の一件は置いといて、そもそも僕が小説を書いた理由は赤石さんの小説を読むためだ。

 水に流した後にぶり返しているような気もするけど、約束は果たして貰わないと。


「……完成するまで時間がかかるから、しばらくは読むなり書くなりしてて」


 ちょっと顔を赤くしてそう言う赤石さん。最初に出会った頃に比べると、大分感情を表に出すようになっている気がする。気のせいかもしれないけれど。

 赤石さんの言うとおり、僕は部室にある本を手に取って読み始める。


「この本って、赤石さんの?」

「うん」


 つまりここにある本は赤石さんの好みだということか。

 ここにある本を読むことで赤石さんの好み、更に言えば赤石さんの理想なんかがわかるかもしれない。

 赤石さんの小説が完成するまで、僕は読書をしながら本の内容についてこっそりまとめることにした。



 それから数日、赤石さんの好みの本を読みながら特徴や共通点についてまとめる。

 全体的に主人公は女の子の作品ばかりだ。恋愛系が多い気がする。

 そして何かひっかかる、後もう少しでわかりそうな気がするんだけど。


 「あたるくん、なにむずかしいかおしてるの?」

 「ああ、ごめんごめんみたきちゃん」


 おっと、せめてみたきちゃんとの登校中はみたきちゃんに集中しないとね。

 いや待てよ、みたきちゃんの意見も聞いてみよう。

 みたきちゃんのような純粋な人間にしか出せない意見というのもあるからね。


 「みたきちゃんは、本とかでどんなお話が好き?」


 とりあえずみたきちゃんの好みを聞くことにしよう。


 「うーんとね、めでたしめでたしなおはなし!」


 つまりはハッピーエンドというわけか。

 そういえば赤石さんが怒った部分は、最後の最後でバッドエンドになっていたところだったな。

 ここらへんに何かあるのかもしれない。

 とりあえずは赤石さんの書いた小説を読もう。それできっとはっきりするはずだ。


 「あたるくん、いまべつのおんなのひとのことかんがえてる?」

 「え゛?」


 な、何でそんな事までわかるんだよみたきちゃんは。


 「うわき?」

 「どこでそんな言葉覚えたの、違うんだよみたきちゃん、違うんだ」

 「じっかにかえらせてもらいます」

 「みたきちゃん、違うんだ、みたきちゃーん!」


 ドラマを見て影響されたのか、きゃっきゃと嬉しそうに物騒な事を口にしながらみたきちゃんは養護学校へと消えていく。

 あーびっくりした。

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